できるだけわかりやすく書くように気をつけますが、中身が中身だけにちょいと難しい話になってしまうので、興味がある方だけお読みください。
まず「デスクトップLinux」ってなんじゃい、ということですが、これはLinux(正確にはLinuxディストリビューション)をデスクトップ用途、すなわち我々が日常的に使用するOSにする、ということにします。
PCはいわゆる"IBM PC/AT互換機"なので、特殊なものではありません。
現在デスクトップ用途のOSは、いうまでもなくMicrosoft Windowsの寡占状態で、Macがそれに続いています。
その寡占状態に風穴を空けると期待されているのがデスクトップLinuxだったりします。期待されているだけでいまのところはたいした成果を出していませんが。
とりあえずどのディストリビューションがシェアを取るのか、という話はやめておきましょう。現状は
TurbolinuxがシェアNo.1ということですが、OS全体で見たらたいしたことはないので、騒いでもしょうがないです。
現在ほとんどのディストリビューションは、使い勝手が統一されている(と言われている)「
デスクトップ環境(Desktop Environment)」を採用しています。
代表的なのは
GNOMEと
KDEです。
どちらもそれぞれに人気があります。
現状デスクトップ環境として出来がいいのはKDEですが、KDEに含まれるソフトは完成度がそれほど高くないものが多いのも事実です。
GNOMEはデスクトップ環境としてはKDEには劣るものの、GNOMEに含まれる…というより、GNOMEと同じ
GTK+が使われているアプリケーションの完成度はわりと高いです。
日本で作られたソフトはGTK+を使っているものが多いです。
デスクトップ環境はKDEで、でもアプリケーションはGTK+を使ったもの、だとどうしても統一感が失われてしまいます。
GNOMEもKDEも日々進歩しています。
プロジェクトはKDEのほうが先にスタートしているので、そのぶんGNOMEよりも優位な点があるのですが、最近の話を見聞きしているかぎりでは、今後はGNOMEのほうが普及していくのかな、と思っています。
(単にGNOMEの方がこれからのプランがよく見えるだけかもしれませんが)
GNOMEは2.4から2.6で大幅な変更があり、これはあまり評判がよくありません。
What's New In GNOME 2.6の"Simplified file management"と"The new File Chooser dialog"が特に評判の悪い点です。後者はGTK+の変更点ですが…。
まぁこれらは改善されていくでしょうから、あまり心配はしていません。
GNOMEは現在、主要アプリケーションの統合を進めています。
オフィススイートの
OpenOffice.org、メーラ兼スケジューラの
Evolution、インスタントメッセンジャーの
Gaimなどであり、ほかにもWebブラウザ・スイートの
Mozillaとも連携話が持ち上がっています。
これらの統合が完了すると、「デスクトップ環境」としての完成度は大幅に向上するでしょう。
国際化という観点で見ても、現状GTK+は有利です。特に日本語入力(Input Method)はKDEと比べるとかなり進んでいますね。
日本には日本語という言語の壁があります。
その壁は大きく日本語入力、フォント、印刷といわれます。
日本語入力に関しては、ようやく
uimという次世代のホープが出てきました。
uimのステータスを出すアプレットはGTK2+を使って作られています。
フォントに関しては依然不透明であり、かつGNOMEとは直接関係なのでパスします。
印刷は根本的な解決法はないものの、
CUPSという印刷システムがGNOMEに統合されて使いやすくなりつつあります(これはKDEのほうが進んでいるかな…)。
とまぁそんなわけで、確実に使い勝手が向上しています。
GNOMEががんばったらKDEもがんばるはずで、お互い切磋琢磨してどんどんよいものになっていくと思います。
日本でも広く使われるようになるのはそんなに先の話ではないかもしれません。
ひょっとしたらLonghorn(Windowsの次のバージョン)のリリースよりも先かも…。
これからが楽しみですね。