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大阪都構想 住民投票 出口調査 各社比較

2015-05-21 18:28:27 | 評論
大阪都構想 住民投票 出口調査 各社比較
 
■ 出口調査
 出口調査とは、選挙結果を予測するため、投票所の出口で、投票した人に直接投票行動を聞く調査の手法である。
選挙情勢調査とは違って、実際に投票した人に、“投票結果”を聞くので、選挙結果を予測する場合に、確度の高いデータとして、放送局の開票速報番組などで、利用される。
最近の開票速報番組では、NHK、民放ともに、投票終了時間を過ぎると、開票がほとんど進んでいない段階で、出口調査の結果から、一斉に“獲得議席”予想を競って出す。
選挙情勢調査の最大の問題点は、有権者がどんな意識をもっていることは把握可能だが、調査対象になった人が、実際に“投票所”に行くかどうかが分からないことである。最近の選挙結果を左右する「支持政党なし」のいわゆる無党派層の投票率は、毎回、大きく変動する。事前の選挙区情勢で“優勢”というデータが出ても、その人が棄権する可能もある。一方で、投票率が予想以上に上がると、事前の情勢では、“苦戦”とされた候補者が、当選する場合もある。
 そこで、出口調査の結果は、“信頼”できるとして、重要視されているのである。
 その一方で、出口調査を行う投票所のサンプリングのやり方や投票所で面接をして投票結果を聞くという調査手法が調査対象者にプレッシャーを与えることで、調査結果はバイアスをかけて評価しなければならいという意見もある。
 また、期日前投票や不在者投票がカウントされないという欠点もある。特にここ数年増加している不在者投票は、接戦になった場合には、投票結果を左右する場合も生じるだろう。大阪の住民投票の場合、投票総数の約26%、約37万票が、出口調査の対象外であった。
“誤差”の幅も相当考慮する必要があるだろう。
 しかし、これまでの総選挙や、参議院選挙では、出口調査を元にした当落予想は、概ね、“好結果”を獲得していた。
 今回の「大阪都構想住民投票」の場合は、出口調査はどうだったのだろうか。


■ NHKの出口調査
 賛成・反対 ほぼ同数
(投票所40カ所で投票を終えた4400人余から出口調査を行い、約67%に当たる2991人から回答)
  2015年5月17日 NHKニュース


■ 産経新聞 関西テレビ
 出口調査は「賛成51・7%」…せめぎ合う賛否、最終盤に賛成派追い上げ
賛成 51.7% 反対 48.3%
「これまでの世論調査では、反対が賛成を上回る結果が出ており、午後9時から始まる開票作業では、賛否は拮抗(きっこう)するとみられる。
 調査結果などからは、橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会を中心とする賛成派が最終盤に激しく追い上げていることがわかり、有権者の約17%が投票した期日前・不在者投票の結果も加えると、賛否が競り合うと予想され、大勢判明はずれ込む可能性もある」
(調査は共同通信社、毎日新聞社、毎日放送、関西テレビと協力して行われ、投票を終えた有権者2781人から回答)
2015年5月17日 産経新聞


■ 朝日新聞・ABC調査
 20・30代は6割賛成 都構想 朝日・ABC出口調査
「今回の住民投票で、朝日新聞社と朝日放送(ABC)は17日、投票を済ませた有権者を対象に出口調査を実施した。賛成は20~30代にとりわけ多く、反対は70歳以上に多かった。全体では男性の59%が賛成だった(女性については記述がないので不明 筆者)。賛否の理由として最も多かったのは、賛成が「行政の無駄減らし」、反対が「住民サービス」だった。
(大阪市内60カ所の投票所で実施した。有効回答は2625人)」
2015年5月17日 朝日新聞


■ 日本テレビ・読売新聞調査
「大阪都構想」出口調査 賛成と反対きっ抗
 「いわゆる『大阪都構想』の賛否を問う住民投票は17日午後8時に締め切られた。出口調査の結果、「賛成」と「反対」が激しく競り合っている。
 読売テレビの出口調査によると、期日前投票では反対が優勢の一方、17日の調査では一転、賛成が優勢とねじれていて、賛否は極めて拮抗(きっこう)している」
 (2015年5月17日 日本テレビNEWS24)
 民主、公明、共産各党の支持層は反対が大半を占めた一方、自民党支持層では賛成と反対が割れたことがわかった。
 国政の支持政党別でみると、橋下徹大阪市長が最高顧問を務める維新の党支持層は94%が賛成。一方、民主、公明、共産各党の支持層は反対がいずれも8割近くだった。これらに対し、自民党支持層では賛成45%、反対52%、無党派層は賛成51%、反対47%とそれぞれ賛否が分かれた
(2015年5月17日 読売新聞)


■ TBS・JNN調査
大阪都構想」住民投票、出口調査は賛否がきっ抗
「大阪市を廃止・分割し、大阪府と再編するいわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われ、JNNの出口調査では賛成・反対がきっ抗しています。JNNが行った当日の出口調査では、賛成が反対を3ポイントほど上回っています(賛成51.7% 反対48.3%)。支持政党別では、維新の党の支持層では賛成が97%と反対を圧倒していますが、都構想に反対する自民党の支持層でもおよそ42%が賛成しています。民主党、公明党、共産党支持層では、いずれも反対が賛成を大きく上回っています」
(2015年5月17日 TBSニュース)

■ 事前の情勢と世論調査
 投票日前の事前の世論調査では、“反対派”が圧倒的に“優勢”だった。
 2015年3月の世論調査では、“賛成派”が43.1%、“反対派”が41.2%で、“賛成派”が上回っていたが、4月の世論調査では、“反対派”が47.5%、“賛成派”が36.7%と10%以上の差をつけて逆転した。5月の世論調査でも“反対派”47・8%、“賛成派”39.5%と8%の差がついていた。大阪の自民党が、民主党や共産党と、“前代未聞”の“共闘体制”を組み、5月10日には3党合同街頭演説会を開き注目を集めた。
 しかし、政治生命をかけた橋下市長の激しい巻き返しで、一気に差がつまったと言われている。 維新の会は運動費を5億円も投入したといわれている。最終盤になって、“賛成派”の勢いが増しているのを見て、各メディアや政治評論家は賛成派”が“逆転”したのではないかという見方をしていたようである。


■ 予想を超えた投票率
 焦点の投票率は66.83%と、大阪市長・府知事のダブル選挙の投票率60.02%を大きく上回り、予想以上の関心の高さがあったのも衝撃的だった。投票率を嵩上げしたのは、夕方から8時までの締め切り時間間際の投票者の急増で、とりわけ無党派層の多い若い層が列をなしていたという。事前の世論調査では、年齢別に見ると、20台や30台の若い層では、“賛成派”がかなり優勢であった。
 こうした状況の中で、開票日の夜に「Mr.サンデー」の開票速報番組に出演していた田崎史郎時事通信解説員は、「維新の会や政府関係者は何とかいけたのではないかと今の段階では見ている」とコメントしている。
 とにかく、大差で“反対派”が優勢だった情勢が、終盤で一気に変わったようだ。



■ 各社の出口調査をどう見る
 各社の出口調査では、産経新聞・関西テレビでは、「“賛成派”僅差で優勢」、朝日新聞・ABCでは、集計した数字は不明だが、「“賛成派”逆転の可能性」、NHKは、「ほぼ互角」、また、日本テレビ・読売テレビでは、「“賛成派”激しく追い上げ 賛否は拮抗」、TBS・JNNは、「“賛成派”僅差で上回る」と読めた。
 いずれにしても、ニュアンスの違いは多少あるが、各社とも、大激戦で最後まで勝敗はもつれるとい見方であった。


■ 期日前投票が重要に
 出口調査は、期日前投票や不在者投票は対象外である。今回は、期日前投票が35万9203票、不在者投票が9014票、合わせて約37万票、投票総数の26.4%という膨大な票の行方が分からないのである。
 読売テレビでは、期日前投票の出口調査も実施していたとしているが、調査の内容や結果の詳細は不明である。
 結局、出口調査だけでなく、事前の世論調査や情勢取材を丹念に分析して、投票結果を予想しないとミスリードが起きる懸念が大きい。
 今回の住民投票のように、情勢が投票日の当日までも激しく動いている場合は、“票読み”が極めて難しい。


■ 開票状況とメディアの報道
 開票は午後8時から大阪市内24の開票所で行われた。開票率80%の段階では、約1万票の差をつけて“賛成派”が“反対派”を上回っていて、やや“有利”であった。しかし、開票率89%では、僅差で“反対派”が逆転し、90%になると“反対派”が“賛成派”に3000票の差をつけてリード、差は少しずつ広がり始めていた。
 結果は、反対 70万5585人(50.38%)、賛成69万4844人(49.62%)、僅差で反対が賛成を上回った。
NHKは、午後10時34分に「反対多数確実」を伝えたが、「この時点で開票率81%。賛成は57万1395票、反対は56万5093票で、賛成票が6302票上回っていた」(朝日新聞 2015年5月17日)という。
大接戦の中で、まだ“賛成派”が“反対派”をリードしている段階で、見事な“票読み”である
 一方、フジテレビは、「Mr サンデー」内で、否決のテロップを流したのは、午後10時35分で、NHKの1分後だった。


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2015年5月18日
Copyright (C) 2015 IMSSR

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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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憲法改正 世論調査 各社比較 メディアリテラシー

2015-05-20 10:40:26 | 評論
「憲法改正」 世論調査の“読み方”

 憲法記念日を迎えると新聞各社は相次いで世論調査を実施し、その結果を記事にする。今年の世論調査の最大のテーマは勿論、「憲法改正」だ。

▼ 朝日新聞  改憲不要40% 必要 43%
▼ 読売新聞  改正する方がよい51% 改正しない方がよい46%
▼ 毎日新聞  改正すべきだと思わない55% 改正すべきだと思う27%
▼ 産経新聞  憲法改正賛成40.8% 反対47.8%
▼ 日経新聞  現状のままでよい44% 改正すべきだ42%
▼ NHK    改正する必要があると思う」は28%
          改正する必要はないと思う」は25
「憲法改正」支持が上回ったとしているのが、読売新聞とNHK、「護憲」が上回ったのが、朝日新聞、毎日新聞、日経新聞だった。
世論調査の場合、“設問の文言”や“設問の仕方”が違うと、データに“差”が生じるのは、経験的に解っているおり、今回の調査でも各紙、表現などが微妙に違っているので“差”がでるのは当然かもしれない。
 しかし記事にする場合は、数字の意味をしっかり読み解いて、読者に伝えなければならない。
また、ここ1年、「集団的自衛権」論議や「憲法改正」論議が焦点になって、かつてないほど「憲法」に関心が集まっている。
 各社の記事から世論調査の“伝え方”を検証してみよう。


■ 朝日新聞
改憲不要48%、必要43% 9条改正、反対63% 

 憲法記念日を前に朝日新聞社は憲法に関する全国郵送世論調査を実施し、有権者の意識を探った。憲法改正の是非を尋ねたところ、「変える必要はない」が48%(昨年2月の調査は50%)で、「変える必要がある」43%(同44%)をやや上回った。
  調査手法や質問文が異なり単純に比較できないが、憲法改正の是非は、中曽根内閣時代の1980年代の調査では、反対が賛成を上回っていた。次に改憲の是非を聞いた97年の調査以降は賛成が反対を上回ってきたが、安倍政権が憲法解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにする議論を進めていた昨年の調査から再び逆転していた。
 また、憲法9条については「変えない方がよい」が63%(昨年2月は64%)で、「変える方がよい」の29%(同29%)を大きく上回った。女性は「変えない方がよい」が69%に及んだ。
<調査方法> 全国の有権者から3千人を選び、郵送法で実施した。対象者の選び方は層化無作為2段抽出法。全国の縮図になるように338の投票区を選び、各投票区の選挙人名簿から平均9人を選んだ。3月18日に調査票を発送し、4月27日までに届いた返送総数は2115。無記入の多いものや対象者以外の人が回答したと明記されたものを除いた有効回答は2052で、回答率は68
(2015年5月2日)

改憲不要48%、必要43% 9条改正、反対63% 朝日新聞社世論調査

 設問の表現は、「変える必要がある」、「変える必要がない」で、回答者にとっては“柔らか”表現である。結果は、「変える必要がない」が「わずかに」上回った。
97年以降は「改憲派」が反対を上回っていたが、安倍政権になって、憲法解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにする議論を始めたり、憲法改正を唱え始めたりした昨年からは、「護憲派」が「改憲派」を逆転し始めたという。
このポイントは、憲法改正に対する民意をはかる上で、見逃せない重要なポイントであると思う。重要な指摘だ。


■ 読売新聞
憲法「改正する方がよい」51%…読売調査

 読売新聞社は、憲法に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。憲法を「改正する方がよい」と思う人は51%で、「改正しない方がよい」の46%を上回った。
政府が昨年7月に憲法解釈を見直す閣議決定を行い、集団的自衛権を必要最小限の範囲で行使できるようにしたことを「評価する」は53%で、「評価しない」は45%。 
昨年の閣議決定直後の緊急調査(電話方式)では、「評価する」は36%だった。調査方法が違うため単純に比較はできないが、その後の国会の議論などを通じ、理解が進んでいるとみられる。
戦争放棄などを定めた憲法9条については、「これまで通り、解釈や運用で対応する」が40%で最多。「解釈や運用で対応するのは限界なので、9条を改正する」は35%、「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」は20%だった。
(2015年3月22日)
憲法「改正する方がよい」51%…読売調査

 読売新聞の設問も、「改正する方がよい」、「改正しない方がよい」で、朝日新聞同様、“柔らか”な聞き方である。しかし、結果、「改憲派」51%と「護憲派」を上回り朝日新聞とは逆の結果となった。
 さらに、集団的自衛権を必要最小限の範囲で行使できるようにしたことを、「評価する」と答えた人が53%だったことを、「その後の国会の議論などを通じ、理解が進んでいるとみられる」としている。
 しかし、憲法9条については、「これまで通り、解釈や運用で対応する」、つまり「改正しなくて良い」とした人が40%と最多となったとしている。
 戦後70年、憲法制定から69年、確かに“時代”は大きく変わった。憲法が“時代”の変化に合わなくなった条文も随所に出始めている。憲法は「全文」、「天皇制」、「戦争の放棄」、「国民の権利及び義務」、「国会」、「内閣」、「司法」、「財政」、「地方自治」で条文が構成されている。
 戦争放棄だけが焦点をあてられているが、実は、戦争放棄以外の条文を見直すことは意義があると筆者は考える。
 「改正する方がよい」と答えた人は、戦争放棄以外の条文についての憲法改正を支持したのであろう。一方で、戦争放棄については、「改正しなくてよい」(これまで通り、解釈や運用で対応する)と答えた人が「最多」となっているのは、昨今の憲法9条改正論議が巻き起こっている中で、注目すべきだと思う。
 「憲法改正」、「集団的自衛権」、「戦争放棄」、3つの要素についての世論調査の結果についてのより丁寧な分析と解説が欲しかった。


■ 毎日新聞
毎日新聞世論調査:9条改正、反対55% 昨年より4ポイント増

 毎日新聞が憲法記念日を前に実施した全国世論調査によると、憲法9条を「改正すべきだと思わない」が55%で、「思う」の27%を大きく上回った。昨年4月の調査では「改正すべきだと思わない」51%、「思う」36%だった。政府・与党が集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案の準備を進める中、9条改正慎重派は増えている。(2面に質問と回答)
 一方、憲法を「改正すべきだと思う」は45%、「思わない」は43%でほぼ拮抗(きっこう)した。
 ◇調査の方法
4月18、19日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。有権者のいる1704世帯から、1015人の回答を得た。回答率は60%。
(2015年5月4日)
毎日新聞世論調査:9条改正、反対55% 昨年より4ポイント増

 毎日新聞の設問は、他の各社とは違って、「憲法改正」ではなく、「第9条戦争放棄」について具体的に絞って設問を設定した。表現は「改正すべきだと思わない」、「思う」で、“きつい”表現となっている。結果は、「思わない」支持55%で、「思う」の27%で、「護憲派」が大きく上回っている。毎日新聞も、朝日新聞と同様に「政府・与党が集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案の準備を進める中、9条改正慎重派は増えている」と分析している。
 「第9条戦争放棄」に絞っているので、「改憲派」の数字が、朝日新聞や読売新聞に比べてかなり少なくなっている。
 また「来年の参院選で改憲を争点として重視するかどうかという問いでは、「重視する」が56%、「重視しない」が33%だった。憲法を「改正すべきだと思う」層と「思わない」層のいずれも「重視する」が60%を占めており、改憲への賛否が選挙結果にどう影響するかは現時点で見通せない」としている」とし、来年の参院選が注目される点を指摘した。


■ 産経新聞
【本誌・FNN合同世論調査】
未来志向の戦後70年談話を60%が「評価」


 憲法改正の賛否をたずねたところ、賛成は40・8%で、反対は47・8%。集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案の今国会成立については、賛成が36・2%と前回3月の調査よりも5・1ポイントアップした。反対は49・5%だった。政府が目指す米軍普天間飛行場(宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)の名護市辺野古移設については、反対が44・7%で賛成の39・9%を上回った。
(2015年4月27日)
未来志向の戦後70年談話を60%が「評価

 産経新聞は、世論調査の結果を伝える記事の見出しは、「未来志向の戦後70年談話を60%が『評価』」である。
「安倍晋三首相が今年夏に発表する戦後70年談話に「植民地支配と侵略」などの文言を盛り込むことにはこだわらず、未来志向の談話を出したいとの考えを示していることについて、60・1%が「評価する」と答えた。「評価しない」が29・8%だった」という今回の世論調査の結果を伝えている。
あれ! 「戦後70年談話」が記事のリード?
この時期のタイミングの世論調査のターゲットは、憲法問題、憲法問題に関する結果と分析を記事にするのが“常識”だろう。
 後半に、憲法改正の賛否について、「賛成」40・8%、「反対」47・8%、集団的自衛権については、「賛成」36.2%、「反対」49.5%、辺野古移設問題については、「反対」44.7%、「賛成」39.9%という世論調査の結果を伝えている。
産経新聞の掲げる主張は、社説や論評記事から察するに、「憲法改正」、「集団的自衛権」、「辺野古移設」、いずれも“賛成”と見られている。
自らの主張と相反する“民意”が示されたことをどう見るのか? 結果に目をつぶらないで、丁寧に分析し、解説するのが新聞の責務だろう。


■ 日本経済新聞
憲法「現状維持」44%、改憲賛成を上回る 日経調査

 日本経済新聞社とテレビ東京が3日の憲法記念日を前に共同で実施した世論調査で、憲法について「現在のままでよい」が44%、「改正すべきだ」が42%だった。同様の方法で調査している2004年以降、わずかな差ながら初めて現状維持が改憲賛成を上回った。
改憲賛成は昨年より2ポイント低く過去最低。現状維持は昨年と並んで過去最高だった。
 「現在のままでよい」と答えた人に理由を複数回答で聞くと「平和主義が変質するおそれがある」が57%(昨年は48%)で最も多かった。「よほどのことがない限り改正すべきでない」が46%(同47%)、「現在のままで特に問題はない」が30%(同27%)で続いた。
 「改正すべきだ」と答えた人に「どのようにすべきか」を複数回答で尋ねると「二院制など国会のあり方を見直すべきだ」が47%(同58%)と最多。今回、新たに加えた「大災害時の政府や国会の対応を定めるべきだ」が42%で続いた。「戦争の放棄を定めた9条を見直すべきだ」(同34%)と「改正の要件を緩和すべきだ」(同28%)はともに29%だった。


(出典 日本経済新聞電子版 5月3日)

 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更などを受け、大型連休明けには新たな安全保障法制の審議が始まる。自民党内では来年夏の参院選後に、改憲を発議(提案)する機運も出てきている。調査結果には、改憲を巡る一連の動きが影響した可能性がある。
 調査は日経リサーチが4月17~19日に全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD方式)で電話で実施。有権者のいる1552世帯から1026件の回答を得た。回答率は66.1%
(2015年5月3日)
憲法「現状維持」44%、改憲賛成を上回る 日経調査

 日本経済新聞は、設問は、「現在のままでよい」、「改正すべきだ」と、「改正」のほうが“きつい”表現となっており、両者のバランスはあまり良くない。結果は、「護憲派」44%、「改憲派」42%と「護憲派」がわずかに上回った。
 この記事のポイントは、「(今年は)2004年以降、わずかな差ながら初めて現状維持が改憲賛成を上回った。改憲賛成は昨年より2ポイント低く過去最低。現状維持は昨年と並んで過去最高だった」と伝えた点だ。
 また、紙面掲載した図表がここ1年の変化の民意を見事に表現している。評価したい。
 また「改正すべきだ」と答えた人について、その内容を聞いたところ、「二院制など国会のあり方を見直すべきだ」が47%(同58%)と最多。「大災害時の政府や国会の対応を定めるべきだ」が42%。「戦争の放棄を定めた9条を見直すべきだ」(同34%)と「改正の要件を緩和すべきだ」(同28%)はともに29%」としている。
 「憲法改正」の民意が、戦争放棄より、「国会」や「災害」に寄せられていることが分かり、的確に分析した記事になっているのは評価したい。


■ NHKニュース
憲法改正 必要28% 必要ない25%

 3日は憲法記念日です。NHKの世論調査によりますと、今の憲法を改正する必要があると思うか聞いたところ、「改正する必要があると思う」は28%、「改正する必要はないと思う」は25%で「どちらともいえない」は43%でした。一方、憲法9条については「改正する必要があると思う」は22%、「改正する必要はないと思う」は38%で「どちらともいえない」は34%でした。
調査の概要
NHKは、先月17日から3日間、全国の18歳以上の男女に対し、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、2528人のうち、61%に当たる1551人から回答を得ました。
改憲への賛否
今の憲法を改正する必要があると思うか聞きました。
「改正する必要があると思う」が28%、「改正する必要はないと思う」が25%、「どちらともいえない」が43%でした。
NHKがおととしと去年のそれぞれ同じ時期に行った調査と比べると、おととしは「改正する必要がある」が「改正する必要はない」を大きく上回っていましたが、去年はふたつの回答がほぼ同じ割合となり、ことしもほぼ同じ結果となりました。

 憲法を「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「時代が変わって対応できない問題が出てきたから」が79%と最も多く、「国際社会での役割を果たすために必要だから」が12%、「アメリカに押しつけられた憲法だから」が6%などでした。

 憲法を「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「戦争の放棄を定めた憲法9条を守りたいから」が67%と最も多く「多少問題はあるが、改正するほどのことはないから」が20%、「今の憲法がいい憲法だと思うから」が9%などでした。
憲法9条改正への賛否
「憲法9条」について改正する必要があると思うか聞きました。「改正する必要があると思う」が22%、「改正する必要はないと思う」が38%、「どちらともいえない」が34%で、「必要はない」という人が「必要」という人を上回りました。
 NHKがおととしの同じ時期に行った調査では、憲法9条の改正が「必要」と「必要はない」という人の割合はほぼ同じでしたが、去年の調査では、「必要はない」という回答が「必要」という回答を上回り、ことしもほぼ同じ結果となりました。

 憲法9条を「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「自衛力を持てることを憲法にはっきりと書くべきだから」が44%、「国連を中心とする軍事活動にも参加できるようにすべきだから」が25%、「自衛隊も含めた軍事力を放棄することを明確にすべきだから」が15%、「海外で武力行使ができるようにすべきだから」が8%などでした。

 憲法9条を「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「平和憲法としての最も大事な条文だから」が65%、「海外での武力行使の歯止めがなくなるから」と「改正しなくても、憲法解釈の変更で対応できるから」がいずれも13%、「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が6%などでした。
(NHKニュース 2015年5月3日)
憲法改正 必要28% 必要ない25%

 NHKニュースでは、「改正する必要があると思う」、「改正する必要はないと思う」、「どちらともいえない」という設問の設定だ。表現は“柔らか”で、「どちらともいえない」を入れているのが特徴だ。
 「どちらともいえない」という選択肢を入れると、どうしてもこの選択肢に回答が集中する場合が多く、民意を探りにくくなるという欠点がある。選択肢を「ある」と「ない」に限定すると、なかば“強制的”に“仕分け”するので記事の見出しは書きやすいというメリットがある。
 結果、「改憲派」28%、「護憲派」25%とわずかに、「改憲派」が上回る。
 「どちらともいえない」が43%もあるので、両者に余り有意差があるとは思えない。
しかし、おととしと去年の調査と比較すると、おととしは「改憲派」が「護憲派」を大きく上回っていたが、去年はほぼ同じ割合となり、ことしもほぼ同じ結果となったという。
 去年から「護憲派」が着実に“勢力”を保ち始め、去年と今年の変化はあまり無かったということだ。ここ1年の安倍政権の姿勢はあまり影響していないということを示唆しており、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞の分析と違っているのはなぜか?
このポイントは今年の世論調査報道には、かなり重要な視点である。民意は、ここ1年の安倍政権の姿勢をどう見てきたかを探る一つのヒントになるからである。
 NHKの調査から見えてくる憲法改正に対する国民の意識は、約半数がまだ現実のものとして受け止めていないであまり関心を寄せていないか、内容がはっきりしないので“決めかねている”と“読む”のがふさわしいだろう。
 一方、第9条「戦争放棄」については、「改正する必要があると思う」22%、「改正する必要はないと思う」38%、「どちらともいえない」34%で、「護憲派」が大きく上回っている。第9条「戦争放棄」の国民の支持は固いと見た。
 憲法全体に係る「憲法改正」についての民意と、「第9条戦争放棄」に対する民意を分けてニュースにしていた。
 全体として、“公共放送”NHKらしいバランスのとれた丁寧な伝え方であった。


 戦後70年、日本はまさに“転換点”にいる。安倍政権の掲げる「積極的平和主義」の元で、「集団的自衛権」の行使を閣議決定で容認し、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改訂することに日米で合意した。安倍首相は、日米首脳会談や米議会演説で、「日米同盟」強化の意義を強調した。
 連休明けから、国会を舞台に論戦が再開し、政府与党は、今国会で安全保障関連法案の成立を目指している。また憲法改正に向けての動きも加速している。
 国民にとって、日本の憲法と安全保障を巡る議論は、必ずしも、理解しやすいテーマではないだろう。また、新聞やニュースで報道しても、読者や視聴者から、かならずしも“興味”と“感心”を寄せてもらえるテーマではないかもしれないという懸念がある。しかし、新聞やテレビは、けっして目をそむけてはならない。繰り返し、丁寧に、執拗に、多角的に、この問題を追いかけて報道して欲しい。それが“ジャーナリズム”なのである。


■ 参考
朝日新聞社説   安倍政権と憲法 上からの改憲をはね返す
読売新聞社説  憲法記念日 まず改正テーマを絞り込もう
毎日新聞社説 社説:憲法をどう論じる 国民が主導権を握ろう
産経新聞主張 憲法施行68年 独立と繁栄守る改正論を 世論喚起し具体案作りを急げ 
日本経済新聞社説 憲法のどこが不備かもっと説明せよ


■ 最新記事
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2015年5月4日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
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URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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報道の自由度2015フリーダムハウス

2015-05-08 12:52:19 | 評論
世界の“報道の自由”、この10年で最悪に転落
日本は41位 “Freedom of the Press 2015”



 国際的な人権団体、“Freedom House”は、世界の“報道の自由”について独自に調査した報告書、“Freedom of the Press 2015”を公表した。
報告書によると、世界の“報道の自由”は2014年、急激に悪化し、この10年で最悪になり、世界各国のジャーナリストは、生命の危険にさらされるなど、深刻な危機に直面しているとしている。
 また、報道の自由が確保されている世界の人々はわずか14%に(人口比率)過ぎない。この地域だけが政治ニュースが自由に報道され、ジャーナリスの安全が確保され、政府のメディアへの介入や法的な規制、経済的な圧力がほとんどないとしている。
 2014年、世界の“報道の自由”のスコアは、この10年で最も急激に下落した。199ヵ国の国と地域の内、63ヵ国(32%)が“自由”、71ヵ国(36%)が“部分的に自由”、65ヵ国(32%)が“自由ではない”という結果が出た。
 “報道の自由”がこの5年間で顕著に悪化した国と地域は、タイ、エクアドル、トルコ、香港、ホンジュラス、ハンガリーであるとしている。
 最悪に転落した原因として、「政府のメディア規制の増大」、「ジャーナリストへのテロ攻撃や取材拒否エリアの増加」、「メディアの経営者への圧力」、「プロパガンダの氾濫」などを上げている。
 2015年の“報道の自由”のランクのベスト10は、第一位がノルウェイ、スエーデン、以下ベルギー、フィンランド、オランダ、デンマーク、ルクセンブルグ、アンドラ、スイス、リヒテンシュタインで、ワースト10は、最悪が北朝鮮、以下ウズベキスタン、トルクメニスタン、エリトリア、クリミア、ベラルーシ、キューバ、シリア、イラン、赤道ギニア。
 ちなみにドイツは22位、米国は31位、英国は38位、中国は186位、そして日本は41位(昨年は42位)だった。


■ フリーダムハウス(Freedom House)
フリーダムハウスは“報道の自由”を1980年から監視している組織である。報道の自由は民主主義の維持を通して、政治や経済の健全な発展に重要な役割を果たしている。最も重要なポイントは、メディアへの規制は世界の民主主義国家への侵略につながる懸念があることだ。
(“Freedom House”ホームページ)

■ Rank 2015

(Best 10)
1 Norway
  Sweden
3 Belgium
  Finland
  Netherlands
6 Denmark
  Luxembourg
8 Andorra
  Switzerland
10 Liechtenstein

(注目国・地域)
22 Canada
 Germany
  Portugal
26 New Zealand
31 Australia
Austria
USA
35 France
38 Slovakia
 UK
  Uruguay
41 Cyprus
 Dominica
 Japan
 Slovenia
 Lithunia
 Vanuatu
48 Taiwan
52 Spain
64 Italy
67 South Korea
80 India
83 Hong Kong
97 Indonesia

(Worst)
186 China
  Vietnam
188 Azerbaijan
  Bahrain

190 Equatorial Guinea
   Iran
   Syria
193 Cuba
194 Belarus
195 Crimea
   Eritrea
197 Turkmenistan
   Uzbekistan
199 North Korea


Freedom of the Press


■ 参考
報道の自由「世界で悪化」 日本、二つ下げ61位 国際NGO

 国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は12日、「報道の自由度ランキング」を発表し、世界中で状況が悪化していると強調した。対テロの名のもとに進む盗聴などにも警鐘を鳴らした。上位はフィンランド、ノルウェー、デンマークの順。下位は北朝鮮(179位)、シリア(177位)、中国(176位)など。
 過激派組織「イスラム国」をめぐっては、米国人ジャーナリストの殺害などを例に挙げ、「敵とみなした記者らを容赦なく排除する」と批判した。一方で、対テロの名のもとにフランスが個人の監視手続きを簡単にしたり、英国が記者らの個人情報を収集したりしたことにも懸念を示した。
 日本は二つ順位を下げて61位。昨年12月に施行された「特定秘密保護法」をとりあげ、「『不当に』情報を得た記者らも懲役刑の対象となった」と指摘した。
(出典 朝日新聞 2015年2月13日)


2015年5月8日
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NHKスペシャル 憲法記念日 ドキュメンタリー 看板が泣いている

2015-05-03 09:17:54 | 評論
NHKスペシャル その看板が泣いている!
 NHKを“代表”するドキュメンタリー番組、NHKスペシャル。
 日本国内はもとより、海外からも高い評価を受け、数々の賞を受賞している日本のテレビ・ジャーナリズムを代表するドキュメンタリーである。

 NHKスペシャルの“精神”は“時代と向き合え”である。
 その時代が抱えている政治、経済、社会、事件・事故、戦争、国際、科学、スポーツ、あらゆる分野のテーマに果敢に挑んだ。
 そのあくまで“真実”に迫り、問題を追及する姿勢が、視聴者から高い評価を受けていたと確信する。

 2015年5月3日、「憲法記念日」である。つい数日前、安倍首相が訪米し、日米首脳会談や米議会演説で、「日米同盟」強化と「積極的平和主義」を訴えた。
そして、安倍首相は「憲法改正」に積極的に取り組む姿勢を明らかにしている。
 今年の「憲法記念日」は、これまでにない「憲法」を巡る議論をしなければならいタイミングだろう。
 5月3日のNHKスペシャルは「丹後・里山に生きる 60代夫婦の純愛物語 妻は見えず聞こえず笑いあふれる山の四季」である。番組は、自然あふれた丹後の里山を舞台に感動あふれるヒューマン・ドキュメンタリーに仕上がっているだろう。しかし、5月3日放送なのか?という疑問を抱く。
 かつてNHKスペシャル(以前はNHK特集)では、「憲法」や「安全保障」をテーマを“果敢”に取り上げたドキュメンタリーを数々制作して、国民に問い続けた。その姿勢が、NHKスペシャルの番組としての評価やそれにつながる公共放送NHKに評価につながってきたと信じる。
 その時代と向き合う“気概”と“情熱”はどこへいったのだろうか?
 日本を代表するNHKスペシャルの“看板”が泣いている。

* ちなみにNHKの今年の憲法記念日関連特集番組は、「憲法記念日特集 安全保障法制を問う! 憲法9条の下で自衛隊“活動拡大”の是非は 10党の幹部が徹底討論」で、午前9時から11時で放送している。



■ 参考
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2015年5月3日
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辺野古移設 ワシントンポスト 意見広告 沖縄意見広告

2015-05-03 08:25:51 | 評論
米ワシントンポスト紙WEB版に沖縄意見広告が「普天間辺野古移転反対」のバナーが掲載
 海外メディアが安倍首相とオバマ大統領の首脳会談をどう伝えたか、情報を入手するために、ワシントンポスト紙の電子版(英語)にアクセスした。するとホームページの右端の「バナー広告」スペースに「Okinawa’s Final Straw」という普天間基地移転に反対する「意見広告」のバナーが表示されていた。勿論、ワシントンポスト紙の記事ではなく、あくまで「意見広告」ではあるが、日米首脳会談のニュースを掲載するウエッブページに「Save the Dugong! Save the Henoko」というバナーが表示され、さらに「「Okinawa’s Final Straw Bring Justice to Okinawa! Stop building the $billion U.S.Base!」という主張が表示された。思わずはっとした。




 「意見広告」とはいえでも、通常の商品やサービスのいわゆる「広告」とは明らかに読者に与えるインパクトに有意差がある。「意見広告」は、記事ではなくて「広告」なので勿論有償であり、内容については編集権は及ばないとされている。しかし、「意見広告」の掲載を許諾するかどうかは、ワシントンポスト紙の新聞社としても「判断」に委ねられる。
 ワシントンポスト紙は、今回の日米首脳会談や安倍総理の米議会上下両院合同会議での演説に対して、「一定の評価」を記事では与えたとされているが、普天間基地の辺野古移転問題については、「疑問符」を投げかけたかったのはないか?


■ 沖縄意見広告運動
「普天間即時閉鎖 辺野古やめろ 海兵隊いらない」をスローガンに活動をする市民団体、「沖縄意見広告運動」(The Okinawa Opinion Ad Campaign Group)は、米ワシントンポスト紙電子版に意見広告バナーを、ホワイトハウスで安倍首相とオバマ大統領が会談を行う日に掲載し、普天間基地の辺野古移転に抗議した。
 意見広告バナーをクリックすると、「沖縄意見広告運動」のページに飛ぶ。
意見広告バナーに載っている「Okinawa’s Final Straw」とは、「最後の麦わら一本を背負わせることで、荷を運ぶラクダの背が折れるという状況を表し、我慢の限界という意味を持つ慣用句」としている。そして「辺野古新基地建設は、70年も基地負担を我慢してきた沖縄県民の我慢の限界だというメッセージにふさわしいと考え、採用した」としている。

■アメリカ国内掲載時間
米国東側時間 4月27日午前0:00 (深夜)~4月29日午後11時59分 (深夜)
■日本国内掲載時間
日本時間 4月27日午後1:00(日中)~4月30日午後12時59分(日中)


■ 安倍首相訪米と“沖縄”
 日米首脳会談や米議会上下両院合同会議で演説に先立って、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開かれ、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を18年ぶりに改定することで合意した。
日本は、「積極的平和主義」を掲げ、日本が「集団的自衛権」を行使して、自衛隊の米軍への協力を地球規模に拡大して「日米同盟」を強化することを宣言した。

 日本の首相として初めて米議会上下両院合同会議で演説した安倍晋三首相のスピーチは、米国からは前向きな評価が目立っているという。
 約45分間の演説中に、議場では十数回のスタンディングオベーション(総立ちの拍手)があったと伝えられている。

 日米首脳会談では、安倍晋三首相は普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設を進める考えを改めて強調した。
  また日本側の説明によると、安倍首相は翁長知事が辺野古移設に反対しているとオバマ大統領に伝えたという。翁長知事は首相訪米前に、首相と会談し米側に伝えるよう求めていた。
 首脳会談後の記者会見では、安倍総理は「辺野古移設が唯一の解決策との立場は揺るぎない。沖縄の理解を得るべく対話を継続する」との考えを表明した。
これに対して、辺野古移設に反対する沖縄県の翁長知事は、首相発言に反発している。



■ 反発する翁長沖縄県知事
  2015年4月30日、沖縄県の翁長知事は記者会見で、安倍総理大臣が日米首脳会談で、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画を着実に進めていく考えを示したことについて「大変遺憾で、相変わらずのかたくなな固定観念だ」と批判した。そして、早ければ5月末にもみずからアメリカを訪れて反対を訴える考えを明らかにした。
また、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する県議や市民団体、経済界の関係者は、30日午後、那覇市内で会見し、5月17日に「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」を開催すると発表した。大会は午後1時から那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で、3万人以上の参加を目指すという。
 翁長雄志知事はこの大会に出席する意向を示した。

 沖縄の米軍基地問題は、「戦後総決算」を唱えるなら、避けて通れない重要な課題の一つに違いない。普天間基地の辺野古移設問題への対応は、その“試金石”となるだろう。



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■ 注目記事
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