事件の全容についての記事を編集し、判明した事実を加筆してわかりやすくまとめてみた。
(記事の題名は「溺死」からより正確な「水死」と訂正)
【バロン】
2014年6月19日
・大阪市天王寺動物園でヒデヨシとナデシコ(東部動物公園とブリーディングローン中)との間に誕生
・事件前日まで母親と一緒に天王寺動物園のサバンナゾーンで飼育されていた
・体高約120センチ、体重約200キロの雄で、アフリカのサバンナに生息するグラントシマウマである
2016年2月1日
・天王寺動物園から動物商Tへ動物交換によって譲渡され、そこから転売されることになる
※ブリーディングローンとは種の保存や繁殖のために動物園や水族館の間で動物を貸借する契約のこと
Photo by 天王寺動物園
Photo by 天王寺動物園
【脱走】
2016年3月22日
動物販売や移動動物園を手掛ける動物プロダクション(有)ガイアプロダクトに転売されたバロンは天王寺動物園からこの日輸送されることになった。いずれ移動動物園で展示するために、馴らしと調教を頼んであった預託先の愛知県瀬戸市三国山にある三国ウエスト農場(有)の乗馬クラブに5時過ぎに到着した。
5時20分ごろ、スムーズに輸送車から出て、放牧場に入ったのだが、直後に恐怖のためかパニックになり暴れて、1メートルくらいの囲いを鼻で押し上げ壊して脱走したのである。乗馬クラブのKを含む乗馬関係者3人と新しい飼い主Sの4人で捕まえようとしたが、どうしてもできなかった。
バロンは愛知県の瀬戸市方面ではなく岐阜県の土岐市方面の山に逃げ込んだので、所有者のSは午後7時20分ごろ、警察に通報し捕獲を要請する。岐阜県警多治見署は一帯の住民にシマウマを見かけても近寄らず、通報するようにアナウンスし、翌朝から捜索し捕獲することにした。その間、真っ暗な山の中を彷徨うバロンの写真がツイッターにアップされたり、国道を走る目撃情報が住民から寄せられた。
Photo by みほちゆん
2016年3月23日
翌朝6時半、バロンは国道のそばにいるところを写真に撮られている。
Photo by 小林哲夫
【逃走】
バロンを追っていた警官たちは民家から遠ざけるためにゴルフ場にバロンを誘導した。午前6時半過ぎ、ゴルフ場の従業員によってゴルフ場に入ったバロンが確認され、場内での大捕物がはじまった。警官約15人、乗馬クラブ関係者2人、獣医師3人、飼い主と合計約20名の人員が捕獲作業に携わった。
Photo by メ~テレ
Photo by yahooニュース
3月22~23日の脱走と捕獲の経緯がよくわかるニュース映像を下にいくつか集めてみたが全てではない。観るにあたっての注意としては新聞記事だけではなく、テレビの報道も各社が流していることは全く同じではないということだ。間違った情報も含まれている。例えば、乗馬クラブ関係者を飼い主か?だとか、追跡の最後の方で麻酔が打たれ池に入ってしまったとか、それらの回数も行動内容もまちまちな報道に驚いてしまった。
アフリカから来たシマウマだとしてレポートしたり、ほとんどのメディアがバロンは農場の乗馬クラブで飼われていたとしていたものが多かった。そのために、脱走したシマウマがまさか天王寺動物園にいたあのバロンだったとは誰も思わなかったに違いない。しかし、ありがたいことに、バロンに気が付いた人たちによるネット上での情報提供がいくつかあって、身元が明らかになった。
https://www.youtube.com/watch?v=69Q8wVNXEcQ&
https://www.youtube.com/watch?v=dtKuEDV16uA
https://www.youtube.com/watch?v=QhwhpF4432g
獣医たちの説明(中京テレビ)
https://www.youtube.com/watch?v=LytIrAolX0E
乗馬クラブへの取材と麻酔に(NHK 岐阜)
https://www.youtube.com/watch?v=blL60exUES0
11発中7発目が当たったところで池に向い誘導されるように落ちるバロン(テレビ朝日)
https://www.youtube.com/watch?v=C2g4sYdxk1Q
対岸に上がろうとするも痙攣がはじまり足腰が立たない様子がわかる
https://www.youtube.com/watch?v=Qy_JDzW_Bn4
登りかけて痙攣が始まり池に落ちる様子がよくわかる動画(後で非公開となってしまった)
https://www.youtube.com/watch?v=qhVkEgs9wf8
水中でもがいていたがすぐ動かなくなったバロン
https://www.youtube.com/watch?v=IWR_V-_cZKw
【捕獲】
映像からはどういう捕獲方針であったのかつかめないまま、時間だけが過ぎていった。ロープでの捕獲作業もことごとく失敗した。獣医師などによると捕獲は吹き矢で麻酔薬を打ち込み、動けなくなって倒れたところを軽トラックにのせて運ぶ予定だったという。
まず、土岐市の獣医Hが吹き矢3本で手持ちの麻酔薬すべて、およそ300ミリグラムを打ち込んだが、十分に麻酔は効かなかったので、応援の獣医師Nを多治見市から呼び、午後0時半までにさらに8本の吹き矢を打った。合計7本が命中し、麻酔薬あわせておよそ1300ミリグラムが体重約200キロのバロンの体内に入った。それは大きめのサラブレッドくらい、体重520キロの馬用の分量である。
Photo by 朝日新聞
Photo by BBC NEWS
つまり麻酔薬を標準の2・5倍も打ち込んだことになる。獣医たちは動きが鈍ってじっと立っているバロンに吹き矢を追加し、よろめきながら池に入ろうとするバロンを飼い主たちは止めもせず、誘導するように池に入らせてしまう。
Photo by メ~テレ
Photo by 共同
Photo by 産経
一度は今まで通り、対岸に上がろうとしたが痙攣が始まり、池の中に崩れ落ちてしまった。息をしようと暴れもがくバロン。だが、体がいうことを聞かず、泳ぐこともできない。バロンは人が追ってこないので、それまでも何度も池に自ら入り、泳いだりして対岸に逃れていた。今回もそのつもりで入ったのだろうが、痙攣がはじまり岸に上がることができなかった。弱々しく力尽きようとしていたが、誰も助けようともせず見守るだけであった。横に浮きながらもがいていたが力尽き、最期に数個の大きな泡ぶくを吐くと、まったく動かなくなった。その後、池から引き上げられた。
Photo by テレビ愛知
Photo by テレビ愛知
【死因】
警察によると引き上げられたときには、すでに心臓が止まっていたという。獣医たちから目を見開いたまま心臓マッサージを受けていたバロンが蘇生することはなく、午後12時45分ごろ死亡が確認された。死亡確定後、飼い主のSは動物好きなのだろう、ショックを隠し切れない様子を映し出されていたが、反対に獣医たちは安どしたのか笑顔を見せていたのが印象的だった。
Photo by BBC NEWS
Photo by テレビ愛知
冷たくなったバロンの亡骸はブルーシートに包まれながら、軽トラの荷台に乗せられて運ばれていった。獣医のリーダー的立場にあった土岐市の専従獣医師Hは「野生のシマウマを見たのは初めてだったし、どんなふうにやっていいのか分からずなかなかうまく薬が注入できなかった。麻酔が一番効いている状況の時にシマウマが池に入ってしまい、泳ぐことができず最悪の結果になった。なんともいいようがありません」とレポーターに答えた。
結局、解剖もされないうちに「池に入ったことによって低体温になり、薬が効き過ぎたため溺死した。」というH獣医師の発表で事件は片づけられてしまった。こうして人間のエゴと不注意によって、不本意にもバロンは1歳9ヶ月の若さで苦しみながら命を終えなければならなかった。19時間にも及ぶ逃亡劇のエピローグはこのように衝撃的で悲惨なものであった。
【疑問】
・バロンはブリーディングローン契約に基づき繁殖されたのに、なぜ余剰動物になってしまったのか
・乗馬クラブに着いたとき、落ち着かせるために馬房に入れることをせず、なぜいきなり放牧したのか
・気は荒いがシマウマは猛獣ではなく、まして天王寺動物園では準間接飼育され人慣れしていたことから、 人に進んで危害を加えるものではないのに、なぜ必要以上に警戒していたのか
・時間があったのに、なぜ周辺の馬を扱う専門家の助けを要請しなかったのか
・興奮させたら麻酔が効きにくいというのは馬も同じだが、なぜ叩いたりして必要以上に追いまわしたのか
・多量の麻酔薬を打ち込んでいて効き始めている様子だったのに、なぜ待つことができなかったのか
・動きが鈍ってきてじっと立っていた状態で、なぜ再び麻酔を追加して打ち込んだのか
・なぜ危険な水辺の近くで吹き矢を打ったのか
・死因についてだが、合計で標準の2.5倍の薬が撃ち込まれたこと、痙攣からはじまって目を開いたまま死 亡していたことなどから、溺れてはいたものの、薬の過剰投与が原因でショック死したのではないのか
・なぜ解剖にまわして死因を確定しなかったのか
【原因】
関係者が以下のことをしっかりすれば事件は防げた可能性が高い。
計画的に繁殖させたのならばなおさら責任をもって最後まで飼うこと
新しい飼い主には責任を持って譲渡すること
シマウマを飼うにふさわしい施設を準備すること
輸送後はまず落ち着かせるために餌を用意した馬房に入れること
麻酔が効きやすいように刺激せず、興奮させずに打つこと
ヘリコプターや大勢のマスコミ取材を自粛してもらうこと
捕獲と獣医の専門家にアドバイスを受けること
麻酔の効き具合の様子をよく見ながら追加すること
麻酔で倒れる場所を想定すること
麻酔後の入水を阻止すること
これらのことがそんなに難しいことだったのだろうか
事件を掘り下げてみると不可解なことばかりだったが、一つだけはっきりしたことがある。この事件もマレーグマ・ウッチーの時と同じく、かかわったほとんどの人たちがグラントシマウマであるバロンの命を軽んじた結果起こった、ということである。関係者たちはこのことを重く受け止めてくれるよう、切に願いたい。
Photo by 朝日新聞
バロンがいたころのサバンナゾーン2015.9.7Photo by 天王寺動物園
(記事の題名は「溺死」からより正確な「水死」と訂正)
【バロン】
2014年6月19日
・大阪市天王寺動物園でヒデヨシとナデシコ(東部動物公園とブリーディングローン中)との間に誕生
・事件前日まで母親と一緒に天王寺動物園のサバンナゾーンで飼育されていた
・体高約120センチ、体重約200キロの雄で、アフリカのサバンナに生息するグラントシマウマである
2016年2月1日
・天王寺動物園から動物商Tへ動物交換によって譲渡され、そこから転売されることになる
※ブリーディングローンとは種の保存や繁殖のために動物園や水族館の間で動物を貸借する契約のこと
Photo by 天王寺動物園
Photo by 天王寺動物園
【脱走】
2016年3月22日
動物販売や移動動物園を手掛ける動物プロダクション(有)ガイアプロダクトに転売されたバロンは天王寺動物園からこの日輸送されることになった。いずれ移動動物園で展示するために、馴らしと調教を頼んであった預託先の愛知県瀬戸市三国山にある三国ウエスト農場(有)の乗馬クラブに5時過ぎに到着した。
5時20分ごろ、スムーズに輸送車から出て、放牧場に入ったのだが、直後に恐怖のためかパニックになり暴れて、1メートルくらいの囲いを鼻で押し上げ壊して脱走したのである。乗馬クラブのKを含む乗馬関係者3人と新しい飼い主Sの4人で捕まえようとしたが、どうしてもできなかった。
バロンは愛知県の瀬戸市方面ではなく岐阜県の土岐市方面の山に逃げ込んだので、所有者のSは午後7時20分ごろ、警察に通報し捕獲を要請する。岐阜県警多治見署は一帯の住民にシマウマを見かけても近寄らず、通報するようにアナウンスし、翌朝から捜索し捕獲することにした。その間、真っ暗な山の中を彷徨うバロンの写真がツイッターにアップされたり、国道を走る目撃情報が住民から寄せられた。
Photo by みほちゆん
2016年3月23日
翌朝6時半、バロンは国道のそばにいるところを写真に撮られている。
Photo by 小林哲夫
【逃走】
バロンを追っていた警官たちは民家から遠ざけるためにゴルフ場にバロンを誘導した。午前6時半過ぎ、ゴルフ場の従業員によってゴルフ場に入ったバロンが確認され、場内での大捕物がはじまった。警官約15人、乗馬クラブ関係者2人、獣医師3人、飼い主と合計約20名の人員が捕獲作業に携わった。
Photo by メ~テレ
Photo by yahooニュース
3月22~23日の脱走と捕獲の経緯がよくわかるニュース映像を下にいくつか集めてみたが全てではない。観るにあたっての注意としては新聞記事だけではなく、テレビの報道も各社が流していることは全く同じではないということだ。間違った情報も含まれている。例えば、乗馬クラブ関係者を飼い主か?だとか、追跡の最後の方で麻酔が打たれ池に入ってしまったとか、それらの回数も行動内容もまちまちな報道に驚いてしまった。
アフリカから来たシマウマだとしてレポートしたり、ほとんどのメディアがバロンは農場の乗馬クラブで飼われていたとしていたものが多かった。そのために、脱走したシマウマがまさか天王寺動物園にいたあのバロンだったとは誰も思わなかったに違いない。しかし、ありがたいことに、バロンに気が付いた人たちによるネット上での情報提供がいくつかあって、身元が明らかになった。
https://www.youtube.com/watch?v=69Q8wVNXEcQ&
https://www.youtube.com/watch?v=dtKuEDV16uA
https://www.youtube.com/watch?v=QhwhpF4432g
獣医たちの説明(中京テレビ)
https://www.youtube.com/watch?v=LytIrAolX0E
乗馬クラブへの取材と麻酔に(NHK 岐阜)
https://www.youtube.com/watch?v=blL60exUES0
11発中7発目が当たったところで池に向い誘導されるように落ちるバロン(テレビ朝日)
https://www.youtube.com/watch?v=C2g4sYdxk1Q
対岸に上がろうとするも痙攣がはじまり足腰が立たない様子がわかる
https://www.youtube.com/watch?v=Qy_JDzW_Bn4
登りかけて痙攣が始まり池に落ちる様子がよくわかる動画(後で非公開となってしまった)
https://www.youtube.com/watch?v=qhVkEgs9wf8
水中でもがいていたがすぐ動かなくなったバロン
https://www.youtube.com/watch?v=IWR_V-_cZKw
【捕獲】
映像からはどういう捕獲方針であったのかつかめないまま、時間だけが過ぎていった。ロープでの捕獲作業もことごとく失敗した。獣医師などによると捕獲は吹き矢で麻酔薬を打ち込み、動けなくなって倒れたところを軽トラックにのせて運ぶ予定だったという。
まず、土岐市の獣医Hが吹き矢3本で手持ちの麻酔薬すべて、およそ300ミリグラムを打ち込んだが、十分に麻酔は効かなかったので、応援の獣医師Nを多治見市から呼び、午後0時半までにさらに8本の吹き矢を打った。合計7本が命中し、麻酔薬あわせておよそ1300ミリグラムが体重約200キロのバロンの体内に入った。それは大きめのサラブレッドくらい、体重520キロの馬用の分量である。
Photo by 朝日新聞
Photo by BBC NEWS
つまり麻酔薬を標準の2・5倍も打ち込んだことになる。獣医たちは動きが鈍ってじっと立っているバロンに吹き矢を追加し、よろめきながら池に入ろうとするバロンを飼い主たちは止めもせず、誘導するように池に入らせてしまう。
Photo by メ~テレ
Photo by 共同
Photo by 産経
一度は今まで通り、対岸に上がろうとしたが痙攣が始まり、池の中に崩れ落ちてしまった。息をしようと暴れもがくバロン。だが、体がいうことを聞かず、泳ぐこともできない。バロンは人が追ってこないので、それまでも何度も池に自ら入り、泳いだりして対岸に逃れていた。今回もそのつもりで入ったのだろうが、痙攣がはじまり岸に上がることができなかった。弱々しく力尽きようとしていたが、誰も助けようともせず見守るだけであった。横に浮きながらもがいていたが力尽き、最期に数個の大きな泡ぶくを吐くと、まったく動かなくなった。その後、池から引き上げられた。
Photo by テレビ愛知
Photo by テレビ愛知
【死因】
警察によると引き上げられたときには、すでに心臓が止まっていたという。獣医たちから目を見開いたまま心臓マッサージを受けていたバロンが蘇生することはなく、午後12時45分ごろ死亡が確認された。死亡確定後、飼い主のSは動物好きなのだろう、ショックを隠し切れない様子を映し出されていたが、反対に獣医たちは安どしたのか笑顔を見せていたのが印象的だった。
Photo by BBC NEWS
Photo by テレビ愛知
冷たくなったバロンの亡骸はブルーシートに包まれながら、軽トラの荷台に乗せられて運ばれていった。獣医のリーダー的立場にあった土岐市の専従獣医師Hは「野生のシマウマを見たのは初めてだったし、どんなふうにやっていいのか分からずなかなかうまく薬が注入できなかった。麻酔が一番効いている状況の時にシマウマが池に入ってしまい、泳ぐことができず最悪の結果になった。なんともいいようがありません」とレポーターに答えた。
結局、解剖もされないうちに「池に入ったことによって低体温になり、薬が効き過ぎたため溺死した。」というH獣医師の発表で事件は片づけられてしまった。こうして人間のエゴと不注意によって、不本意にもバロンは1歳9ヶ月の若さで苦しみながら命を終えなければならなかった。19時間にも及ぶ逃亡劇のエピローグはこのように衝撃的で悲惨なものであった。
【疑問】
・バロンはブリーディングローン契約に基づき繁殖されたのに、なぜ余剰動物になってしまったのか
・乗馬クラブに着いたとき、落ち着かせるために馬房に入れることをせず、なぜいきなり放牧したのか
・気は荒いがシマウマは猛獣ではなく、まして天王寺動物園では準間接飼育され人慣れしていたことから、 人に進んで危害を加えるものではないのに、なぜ必要以上に警戒していたのか
・時間があったのに、なぜ周辺の馬を扱う専門家の助けを要請しなかったのか
・興奮させたら麻酔が効きにくいというのは馬も同じだが、なぜ叩いたりして必要以上に追いまわしたのか
・多量の麻酔薬を打ち込んでいて効き始めている様子だったのに、なぜ待つことができなかったのか
・動きが鈍ってきてじっと立っていた状態で、なぜ再び麻酔を追加して打ち込んだのか
・なぜ危険な水辺の近くで吹き矢を打ったのか
・死因についてだが、合計で標準の2.5倍の薬が撃ち込まれたこと、痙攣からはじまって目を開いたまま死 亡していたことなどから、溺れてはいたものの、薬の過剰投与が原因でショック死したのではないのか
・なぜ解剖にまわして死因を確定しなかったのか
【原因】
関係者が以下のことをしっかりすれば事件は防げた可能性が高い。
計画的に繁殖させたのならばなおさら責任をもって最後まで飼うこと
新しい飼い主には責任を持って譲渡すること
シマウマを飼うにふさわしい施設を準備すること
輸送後はまず落ち着かせるために餌を用意した馬房に入れること
麻酔が効きやすいように刺激せず、興奮させずに打つこと
ヘリコプターや大勢のマスコミ取材を自粛してもらうこと
捕獲と獣医の専門家にアドバイスを受けること
麻酔の効き具合の様子をよく見ながら追加すること
麻酔で倒れる場所を想定すること
麻酔後の入水を阻止すること
これらのことがそんなに難しいことだったのだろうか
事件を掘り下げてみると不可解なことばかりだったが、一つだけはっきりしたことがある。この事件もマレーグマ・ウッチーの時と同じく、かかわったほとんどの人たちがグラントシマウマであるバロンの命を軽んじた結果起こった、ということである。関係者たちはこのことを重く受け止めてくれるよう、切に願いたい。
Photo by 朝日新聞
バロンがいたころのサバンナゾーン2015.9.7Photo by 天王寺動物園