・本書は哲学の諸問題を扱っており、そして――私の信ずるところでは――
われわれの言語の論理に対する誤解から生じていることを示している。
本書が全体としてもつ意義は、おおむね次のように要約されよう。
およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じえないことに
ついては、ひとは沈黙せねばならない。
『論理哲学論考』ウィトゲンシュタイン著 9ページ
・人間は、各々の語が何をどのように指示しているかにまったく無頓着でも
あらゆる意味を表現しうる言語を構成する力をもっている。――ちょうど、
個々の音がいかに発せられるかを知らなくとも喋ることができるように。
日常言語は、人間という有機体の一部であり、他の部分に劣らず複雑である。
日常言語から言語の論理を直接に読み取ることは人間には不可能である。
『論理哲学論考』ウィトゲンシュタイン著 39ページ
[コメント]
私は『論理哲学論考』を学生時代に知って、愛読書として手元においてある。
ウィトゲンシュタインは哲学者もしくは数学者として紹介されることが多いし
『論理哲学論考』に書いてある内容は間違いなく哲学的である。しかし、
読み手によってはプリズムみたいに印象が変わると思う。私は内容が宗教や
スピリチュアルと似ていると感じることがある。
「これは論理学の本ですか?」と聞かれたら私は「違うのでは?」と答える
ことにしている。
私はウィトゲンシュタインがこの本を通して行っているメッセージの伝え方が
好きである。