久方ぶりに、本のお話です
ビクトリア時代の奇想天外な物語『アレクシア女史シリーズ』は
訳が出ている4巻まで読み、次はなぜか、源氏物語(笑)
だいぶ前に、森谷明子さんの、
『千年の黙(しじま)』を読んで、面白かったな~~って思っていました。
紫式部の源氏物語のメーキング物語って感じだけれど、
式部さんの気持ち、しがらみ、当時の殿上人や貴族の生活などなどが、
興味深く描かれていて、
それでいて、語り口が重々しくなく、軽々しくもなく、
程よい感じで、よかったのです
2003年に書かれたものだそうです。
そのまま単発の物語かと思ったら、2011年に2巻めの『白の祝宴』と3巻めの『望月のあと』
が発刊されたようです。
私は、2巻と3巻は気が付かなくて、フェイスブックでS様が紹介してくださったので、
おお続きが出たのねと思い、さっそく買って読んでみました
思った通り、この2巻も面白かったです
『白の祝宴』は『紫式部日記』のメーキング物語を中心に、
藤原道長、その娘の彰子の親王出産の話の中に、
事件や、亡くなった定子とその忘れがたみの親王や内親王、
定子につかえていた清少納言、式部に仕える女性とその夫
などなど、いろいろと絡み合った物語が
最後に一つにまとまってきます。
遠い昔の、ある意味異世界のお話だけれども、
当時の身分的な制約の中でも、
親しみのもてるような登場人物に設定されていて、
すっと入っていけるように書かれています。
3巻目の『望月のあと』は、2巻の続きで、
道長がその娘たちを、次々と天皇に嫁がせ、
その子供に皇位を継がせることによって、
絶大な権力を得ていく過程を式部の観点、道長の観点、
そして、もう一人元服前の男の下っ端武士の観点から、
書かれています。
そこに、源氏物語の執筆をおりまぜ(特に玉蔓と若菜の帖)
道長と彰子に仕えているときは、
道長の思う通りに書いていたが、
その元を離れてからは、思った通りに書き、
そのために、若菜の段は上と下に分かれているという風に
書かれています。
源氏物語をちょっと知っている方には、
どのお話も、そうか、そういう風に考えると面白いなって
思うようなお話です。
若菜上で、この世の春を謳歌した光源氏も、
若菜下では、だんだんと幸せが色あせていく
(ま~自業自得なところが多いけど(笑))
それを、どのような気持ちで書いたかを、
再現しようとしています。
そして、この後、森谷さんは、宇治十帖についても
小説にしたいと考えているそうです。
そこを、以前から書きたかったそうですから、
楽しみに待ちたいと思います
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