米国は 日本が敗北を民主主義に転じるのを支援するよう導いてくれた同じ理想と利益によりアフガニスタンとイラクになお関与し続けている。
日本の降伏直後 その民主主義への転換を手助けするのは素朴に過ぎるとの考え方が多かった。当時も現在と同様に イラク論議 批判者たちは自由主義に向かない人たちもいると論じた。だが 米 占領 当局は日本側と協力して 神道を抑圧する代わりにすべての信仰を対象に宗教的自由を制定し 天皇の地位を廃止する代わりに民主主義の政治体制の中に天皇を位置づけた。
こうした批判者や懐疑家たちをものともせず 日本は今日 宗教的 文化的伝統を保ち 世界の偉大な自由主義社会のひとつになっている。日本は20世紀のイデオロギーの戦いにおける米国の敵から 21世紀のイデオロギーの戦いにおける米国の最も強力な同盟国のひとつへと変貌したのだ。
ベトナム戦争 当時も 現在 のイラク論議 と同様に 真の問題は米国のプレゼンスにあり われわれが撤退しさえすれば殺戮は終わるだろうと論じる人たちがいた。
世界はこうした誤った印象がいかに高くつくかを知ることになる。
カンボジアでは赤色クメール ポルポト派 が残虐な支配を始め 何十万人もの国民が飢餓や拷問 処刑で死亡した。ベトナムでは 対米協力者や政府職員 知識人 実業家たちが収容所送りとなって何万人も死滅 さらに何十万人もがボロ船で出国し 南シナ海の藻くずとなって消えた。
われわれがいかにベトナム戦争に突入し いかに撤退したかをめぐり論議するのは正当である。その論議のどちらに立とうとベトナムの遺産のまぎれもないひとつは 米国の撤退の代償が何百万人もの無実の人々によって支払われ 彼らの苦痛が ボートピープル 再教育キャンプ キリングフィールド といった新しい言葉を われわれの語彙に付け加えたということである。
われわれが仮にもイラク国民を見捨てれば テロリストたちは大胆になり 勝利を新兵獲得に利用するだろう。ベトナムとは違い われわれが仕事を終える前に撤退すれば この敵はわれわれを本国まで追ってこよう。
最近 ベトナム戦争論議では反対の立場にあった二人が論文を共同執筆した。ニクソン大統領の外交政策チームのメンバーと ニクソン政権の政策の猛批判者である。
敗北はイスラム過激派全勢力の間に幸福感を爆発的に巻き起こし 中東全体をさらなる激変に叩き込もう。人的 戦略的な代償は想像するだに恐ろしい。こうした帰結を無視しようとする論議がかくも多いのは おそらくそのためだろう。
彼らは正しいと思う。。。産経