夢と現実のおとぼけバラエティー

実際に夢で見た内容を載せています。それと落語や漫才・コント・川柳・コラムなどで世相を風刺したりしています。

創作落語 『究極の改革』

2019-10-26 15:53:32 | 夢と現実のおとぼけバラエティー
       

 テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・テン・シャン・テン・ポコ



             『究極の改革』        




         ようこそのお運びでございます。
   近頃は暴れ天気と申しましょうか、雨といえば集中豪雨ばかりで
      晴れたかとお思えば猛暑ですから、たまりません。
       フランスやドイツでは気温が40度、
   メキシコでは集中雹(ひょう)が降って2メートルも積もったそうで。
    つぎはアフリカで雪だるまが降るそうでございます。

   え〜、むかし構造改革の内閣が出来たってんで、
     日本中大騒ぎしまして、世の中ちったあ良くなるかなぁって、
       蚤の糞ほど期待されたんですが、
         ちっとも良くなりませんで、出来たのは格差社会・・。


    江戸の庶民は、働く気さえあれば失業するこたァなかったそうで、
      長家の住人が仕事もせずにぶらぶらしてますてぇと、
        大家が放っておかない。町内の人の伝手(つて)で
          なにかしらの仕事にありつけたもんでございます。


         また、この時代は職業の種類も千差万別でして、
          名前の付けようもない不思議な仕事も
            大変多かったようでございます。
       この頃は「一色商い」ともうしまして、
          魚でも野菜でも一種類だけを天秤棒にかついで
            行商するというのが普通でございました。
       ですから魚の種類だけ、野菜の種類だけ
         行商人がいたそうでございます。




学生  「教授、いつまで就職の氷河期は続くんすかねぇ・・」


教授  「氷河は続く〜よ、ど〜こまでも〜♪・・」


学生  「教授、歌ってる場合っすか・・」


教授  「今はリストラ時代だ。GDPは減る一方だし、
     増えるものと云やぁ失業者だけだ・・」


学生  「IT関連までも不況になるなんて・・」


教授  「経済はパチンコみたいなものだからな。浮き沈みが激しい・・」


学生  「・・・?製造業も、どんどん海外に製造拠点を移転してるとか・・」


教授  「労賃が激安だからな・・。日本の30分の1なんて国もある」


学生  「するてぇと、就職するには海外に移民しなきゃダメっすか?」


教授  「そーゆー時代になるかもなぁ・・」


学生  「卒業したら遊牧民みたいに移動する時代になる・・」


教授  「時代の流れだ。企業も遊牧民になる」


学生  「サラリーマンもすか?」


教授  「サラリーマンも遊牧民になる」


教授  「フリ−タ−だって、国内ジプシーじゃあねぇのか・・」


学生  「う〜ん・・」


教授  「わしの永年の研究によるとだな、夢の改革しかねぇだろうな」


学生  「構造改革の言い間違いっす」


教授  「そんなペテンじゃだめだ。
     いままで日本はいろんな物を造って来た。
     重厚長大からITまでだな・・」


学生  「うっす」


教授  「だが、こんな物は条件さえ揃ゃあ、どんな国だって造れる」


学生  「うっす」


教授  「だから、海外では絶対に造れねぇものを
     売りもんにすりゃあいいんだ。
     簡単じゃねぇか・・」


学生  「へぇ・・、そんなもん有るっすか?」


教授  「大有りなごやのコンコンチキよ。日本の自然環境だ。
     どうだ、こればっかりは海外に移転できねぇだろう」


学生  「そりゃ、そうっすけど・・?」


教授  「日本の地形は、山紫水明。四季の変化も美しい」


学生  「うっす」


教授  「そして、全国各地には温泉が至る所に湧き出て、
     ・・着色してるところもあるけど、
     露天風呂あり、山海の珍味あり、うっほっほっ
     そして、綺麗どころも・・、うっほっほ・・」


学生  「なに一人で喜んでるっすか?」


教授  「こんな恵まれた自然環境を、活かさない手はない。
     自然環境を大切に保全し、街や村をきれいにしてだな、
     観光立国に大変身〜なのだ」


学生  「楽しそうっす」


教授  「観光客を楽しませるものは、他にもある。
     古寺・名刹や郷土芸能・民芸品・・、
     伝統の能・歌舞伎・人形浄瑠璃・・、落語も入れとこう・・。
     伝統の美術や工芸品・・、数え上げればきりが無い・・」


学生  「うっす」


教授  「日本でしか輸出できねぇ物もあるぞ」


学生  「解ったっす。お笑いタレントっす」


教授  「これが日本の標準的な大学生か・・、あぁ・・」


学生  「先が思い遣(や)られるっす・・真っ暗ッす」


教授  「まあ、いい。愚痴を言っても始まらない。
     日本でしか輸出できねぇ物・・、例えば『水』だ。
     全国各地に『名水』と呼ばれている旨(うま)い水がこんこんと
     湧き出ている。
     世界中で、こんな旨い水が湧き出ているのは日本ぐらいのもんだろう」


学生  「水道の水が、あぶなくて飲めない国は、ざらにあるそうっす」


教授  「まだあるぞ。醤油に米なんてのもある」


学生  「醤油と米っすか?」


教授  「マクドナルド方式で、海外に『回転寿司』を繁盛させる。
     そうすりゃあ、米も醤油も輸出品だ」


学生  「教授は、頭イイっすね・・」


教授  「おまえが悪すぎるんだ。まだ終わりでないぞ。
     日本を8つの州に分ける。
     『縄文・弥生州』『飛鳥・奈良州』『平安州』『鎌倉・室町州』
     『安土・桃山州』『江戸州』『明治・大正州』『昭和・平成・令和州』だな」


学生  「ほぇ〜・・」


教授  「名前だけじゃないぞ、それぞれの州は、
     それぞれの時代の生活・文化様式を徹底させる」


学生  「するてぇと、十二単衣を着たり、丁髷(ちょんまげ)を結ったり・・」


教授  「そうだ。人々は自分の好きな州に、自由に引っ越しできる。
     少子高齢化対策にもなるし、環境汚染やゴミ問題も解決される。
     地球温暖化防止にもなる。 環境相、聞いてるかな」


学生  「そりゃあ、いいッすね。 セクシーです!」


教授  「おまえは、まだ、このプランの重大さが解ってない・・」


学生  「なんすか・・?」


教授  「これは、取りも直さずだな、日本全土が [ 8つのテーマパーク ] から
     成り立っている観光立国でもある・・ということだ」


学生  「ほぇ〜・・!! 教授、天才っす!!
     ・・で、おれらはどこへ行きゃあ、いいんで・・?」


教授  「おまえらは、・・・恐竜時代だ」




         お後がよろしいようで

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