
Blues Special / V.A. (London) 1LP 1970
邦題は「ブルースの饗宴 / 思い出のスーパー・セッション」、1970年にキングから出された英Deccaの音源を使った日本独自編集盤。しかし、凄い邦題、当時はスーパーセッションが流行り言葉でしたね。その邦題に比してこんな地味な内容の盤を1970年という時点でよく出したなと。
1-1:HOOCHIE COOCHIE MAN / THE GRAHAM BOND ORGANISATION
1-2:STRUT AROUND
1-3:HI HEEL SNEAKERS
1-4:WADE IN THE WATER
1-5:LITTLE GIRL
1-6:LONG LEGGED BABY
2-1,STIRS ME UP / OTIS SPANN with Jimmy Page,Eric Claptn,Muddy Waters
2-2. I NEED YOUR LOVING / RONNIE JONES and THE NIGHTTIMERS
2-3. SHAKE IT BABY / CURTIS JONES with ALEXIS KORNER
2-4. SWEET LITTLE ANGEL / MAE MERCER
2-5.ALL RIGHT / CHAMPION JACK DUPREE with KEITH SMITH
2-2. I NEED YOUR LOVING / RONNIE JONES and THE NIGHTTIMERS
2-3. SHAKE IT BABY / CURTIS JONES with ALEXIS KORNER
2-4. SWEET LITTLE ANGEL / MAE MERCER
2-5.ALL RIGHT / CHAMPION JACK DUPREE with KEITH SMITH
2-6. I'M A PRISONER / CHAMPION JACK DUPREE with KEITH SMITH
ということで、本盤は英Deccaから64~64年に発売されたアルバム「Blues Now」「R&B」からキングが独自に編集したもので、A面はディック・ヘクストール・スミス、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーを擁したグラハム・ボンドのオーガニゼイションの64、65年録音6曲、これがグラハム・ボンドの日本初お目見えでは。ボンドのダミ声迫力ボーカルにオルガンが鳴り響くほぼ独り舞台曲が多い中、僅かながらジャックの重たいベース、ヘクストールスミスのサックスが楽しめる曲もあり、今の耳で云うと6曲では物足りずもっと聴きたいと。
で、B面。一番の注目は1964年マディ・ウォーターズ・バンドが渡英した際にエリック・クラプトンとジミー・ペイジが客演し吹き込んだB面1曲目でしょう(この曲で邦題が「スーパーセッション」となったのでしょうね)。オーティス・スパンの渋いボーカルは素晴らしくマディのスライドギターがバックで鳴り響く中、クラプトンもらしいギターを聴かせてくれます、問題はペイジ先生、ここでは何とマウスハープを吹いていると(ホントか?)、で、これが正直下手、これでスーパーセッションも無いもんだ、と。ロニー・ジョーンズなる米国出身ながら英国で活躍した黒人シンガーの2曲目、当時のクリス・ファーロウとかを思い起こすR&Bナンバーでカッコよし、黒人ピアニスト、カーティス・ジョーンズの曲にはアレクシス・コーナーが参加して個性的なギターを聴かせてくれます。メイ・マーサーなる黒人女性シンガー、初めて聴きましたが60年台はヨーロッパで活動、帰国後女優の道を歩んだ由、ビッグ・ママ・ソーントンを思わせる迫力のボーカルが聴けます、ここでのギターはビック・ジム・サリバン。最後の2曲はチャンピオン・ジャック・デュプリー、キース・スミスなる白人トランペッターが率いるディキシージャズバンドとの共演で首をかしげる出来。
ということで、これといって飛びぬけたものはありませんがおぼろげながら60年代中期の英国ブルースシーンがのぞける一枚でした。この前年69年の4月に中村とうようさんのNMMが創刊、ブルースを大々的に取り上げるようになって日本でもブルースが注目されかけた頃のリリース、これを1970年当時買った人はどんな思いで買って聴いてどう感じたのだろう、素朴に思います。同時期にもう少し後の英国ブルースシーンが聴けるイミディエイト音源を使ったオムニバス盤は結構みんな聴いていた記憶がありますが。



THE GRAHAM BOND ORGANIZATION / HOOCHIE COOCHIE MAN - 1964
Strut Around
Otis Spann - Stirs Me Up
I Need Your Loving - Ronnie Jones And The Night Timers
Sweet Little Angel
NMM誌では78点の評価で桜井ユタカさんが、「大変奇妙なアルバム。A面とB面に関連性がなく、特にB面は地味な代物で、こういう形でなければ陽の目の見られることはない。どうせならA面のグラハム・ボンドだけのアルバムにしてほしかった。一番気に入ったのがG.ボンドで、R&B狂でないと出来ないすざまじい熱気が溢れている~」などと述べています。コロンビアと契約があり、単独アルバムを2枚を出しているG.ボンドがデッカでもシングル盤用に吹き込んだのが、このアルバムで一番得をしていることになります。コロンビアからの2枚は日本で出なかったので、確かにこのアルバムが日本でのデビューと言うことになります。
ズート・マニー&ビッグ・ロール・バンドもデッカでシングル盤の契約をしており、別の編集アルバムに入っています。
とにかくこのようなアルバムを企画発売したイギリスのデッカに劣らず、サイケジャケットにスーパーセッションの名を冠した地味な連中を集めて独自編集したキング・レコードですが、やはりサイケジャケットを使った日本では初めてのアレクシス・コーナーの編集盤もその勢いで出していました。
本家スーパーセッションの華やかさのCBSソニーに比べ、こちらは地味でもイギリスからのブルーズ返答のようで、興味深いです。
引用してくださった桜井ユタカさんのレヴュー、今佐多ですが評点とともにまったく同意、よく出したなぁ、いや、まったく。
ボンドの楽曲はシングル音源なのですね、"Hoochi Coochi Man"とかコロンビアでもアルバムヴァージョンとは違っては迫力抜群、後に発掘されるライヴ音源と酷似の素晴らしい演奏ですね。
当時のブルースに興味を持ちだした日本のロック小僧にはチト水を差すリリースだったような気がしてなりません。今更こんなことを云っても笑止千万ですけど(苦笑)