含羞(はぢらひ)
――在りし日の歌――
なにゆゑにこゝろかくは羞(は)ぢらふ
秋風白き日の山かげなりき
椎の枯葉の落窪に
幹々はいやにおとなび彳(た)ちゐたり
枝々の拱(く)みあはすあたりかなしげの
空は死児等の亡霊にみちまばたきぬ
をりしもかなた野のうへは
あすとらかんのあはひ縫ふ古代の象の夢なりき
椎の枯葉の落窪に
幹々はいやにおとなび彳ちゐたり
その日その幹の隙(ひま) 睦みし瞳
姉らしき色きみはありにし
その日その幹の隙睦みし瞳
姉らしき色きみはありにし
あゝ! 過ぎし日の仄(ほの)燃えあざやぐをりをりは
わが心なにゆゑになにゆゑにかくは羞ぢらふ……
不幸ですね。
中也だって生きてるときには
全く、認められなかった。
彼の、弟さんたちは
いまは潤っているでしょう。
どうしようもない放蕩息子であった長男は
死後に認められ、家族に還元している。
智恵子抄を渡しましたが、
智恵子も不幸なひとでした。
しかし、光太郎との愛は素晴らしいものです。
金子みすゞさんも、・・・・・
あの方は本当に不幸でしたねぇ。。。。。
なぜこんなに羞じらう(はじらうのか)・・・
我、身よ・・・こころよ・・・というような意味で、死児というには、
中也の一人息子が、急死したことを指します。
このことが原因で、彼は狂死します。
姉らしき色 君はありにし・・・
というには 生涯 慕い続けた
そして 親友の 小林秀雄に、心移りし、
小林の元へと行ってしまった
長谷川泰子 という 女優さん・・・で、
中也が、16~京都に下宿していた時に
同棲していた 女性です。
たしかに背景を知らないと、難しいかな
「あすとらかんのあわいう縫う
古代の象の 夢なりき・・・」
などの表現は
中也にしかできない 造語でもあり・・・
まさに これが 詩でしょうね。
日本で一番 支持されている詩人です。