先週末は3日間、メーチェムという高原の町へ行ってきました。町というより、村でしょうか。
メーチェムは、チェンマイから南西へ150キロほど、タイの最高峰ドイ・インタノンの裾野にある小さな村です。寄り道せずに車を走らせれば2時間半くらいで行けます。メーチェムは織物の村として有名ですが、美しい水田が織りなす景観も見どころです。有名なお寺もたくさんあります。
さて今回は、日本にいたときからの妻の知り合いのタイ人女性が、生まれ故郷のメーチェムにタンブンに行くお供をしました。私は運転手として同行することになったようなものです。
チェンマイを出発したのは金曜日の朝でした。彼女のお姉さん3人、それからチェンライからやってきた彼女の知り合いなど、全部で12人が2台の車に分乗してメーチェムに向かいました。途中、ちょっと怪しげなお寺に寄りましたが、そのお寺のことはまた別の機会にご紹介しましょう。
彼女は日本の永住権を持っていて、基本的には日本で暮らしています。でもチェンマイにも大きな家や、自分名義のたくさんの土地と住宅を所有していて人に貸しています。そして故郷のメーチェムにも、新しい大きな家があります。私たちはその家に2泊しました。彼女は毎年11月になるとタンブンするためにメーチェムに帰ってくるのです。
その家からわずか100メートルくらいのところに地元のお寺があります。
右側が古い本堂、左側が新しい本堂です。村人と、彼女のタンブンによって、数年前に新しい本堂が完成しました。この地区では、日本で成功した彼女のことを知らない村人はまずいません。故郷では有名人なのです。
タンブンとは言うまでもないと思いますが、お寺への寄付です。下の写真は、彼女の家の玄関先で、集めたタンブンを花の形に飾りつけしているところです。札束をそのままお寺に渡すようなことはしません。
1000バーツ札が結構目立ちますね。今年も、知り合いの日本人からも相当のタンブンが集まったようです。タンブンの封筒からお札を取り出す作業を少しだけお手伝いしたのですが、かなりの額の日本円をバーツに両替したレシートが封筒の間に紛れ込んでいました。
こんな形に飾りつけしたのもありました。
さて、彼女が主役となるタンブンの儀式は土曜日の午前10時から、途中の昼食をはさんで午後4時頃まで長丁場で行われました。
主役の彼女は最前列の中央に座り、仏様の正面の蝋燭への点火も彼女の役割でした。
儀式の途中で、天井付近の上から垂らされている白い紐を全員が引っ張って、自分の頭に巻き付けます。こうやって自分に運を引き寄せるのです。この日お寺に参集したのは、彼女の親戚や、親戚同然の村人たちです。お堂の外にいる人たちも含めると100人以上が集まりました。
読経が終わったあと、各自でお坊さんの前へ行き、自分が巻き付けていた白い紐を腕に巻いてもらいます。大体これで午前の部の儀式は終了です。
お昼ご飯。古い方の本堂で食事するのは彼女に近い人たち。そうでもない多くの村人は外で食べていました。
午後2時半からはいよいよタンブンを奉納する儀式です。彼女を先頭に、親戚一同が本堂の周りをまわります。お葬式の時もそうですが、目出度い儀式でも、とにかくお堂の周りを何回も回るのです。実は私と妻は昼寝をしていて、この回周が始まってしまってから、慌ててお寺に駆けつけました。どうにか、撮影には間に合いましたが。
お堂の周りを回ってからタンブンの品をお堂の中に運び込み、午前中と同じようにまた読経が始まります。そして一通りの儀式が終わると、世話役の人たちがタンブンのお金を数えます。この日のタンブンは、全部でおよそ30万バーツでした。日本円で100万円くらいですね。これは結構な額だと思います。もちろんこれは彼女一人のお金ではなく、大部分は彼女の知り合いが寄付してくれたお金です。でも、彼女の人徳によって集まったお金ということになります。お寺の補修などに使われるのでしょう。
タンブンの儀式の最後の締めくくりはこれです。メーチェムは北タイの中でも有数の美人の産地なのだそうです。昔からの言い伝えに、「メーチェムを訪れた男は二度と帰ってこない」というのがあるのだそうです。つまり、美女の虜になってしまって戻れなくなる、ということらしいです。
タンブンの儀式の終わった翌日は、彼女の故郷の集落から少し離れた、村の中心部にあるお寺を何か所か訪ねました。どこもチェンマイのような大きなお寺ではありませんが、なかなかに歴史のあるお寺ばかりで、お寺参りはめったにしない私でも興味をそそられました。それはまた次回に。
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