かれこれ2か月以上、ゴルフから遠ざかっていました。4月中旬に妻が入院していたとき、一度だけ練習場に行って球を打ちましたが、ゴルフ場は長らくご無沙汰していました。
妻の初七日も終わりましたので、今週からまたゴルフを始動することにしました。木曜日に、チェンマイに住むゴルフ仲間や日本から来ているゴルフ好きの同世代の男性4人で市内のゴルフ場へ行きました。
タイ人の知り合いは、私がゴルフに行くと言うと「それはいいことです。ゴルフでもして、奥さんのことは少し忘れてリフレッシュしてください」と言ってくれます。妻を亡くした私が毎日悲嘆にくれていて、さぞ辛いだろう思ってそう言ってくれるのです。
さて、木曜日にゴルフ場へ行く前日のことでした。ほぼ半年前にプレーしたときに付いてくれたキャディーさんとLineのIDを交換していたので、彼女に連絡しました。とても人柄がよくて、仕事のできるキャディーさんでしたから指名しようとしたのです。そうしたら、予想もしていない返事が返ってきました。
「実はもう4か月間、キャディーの仕事はしてないんですよ。乳癌が見つかり手術したんです、今は抗がん剤の治療を始めています。私の代わりに、友達のキャディーを紹介してあげましょう。」
そのキャディーさんが付いてくれたのは、この2年くらいの間に2回だけでした。でも彼女は私のことをハッキリ覚えていてくれました。まさか妻と同じ乳癌になっているとは考えてもみませんでした。私は反射的にこう書きました。
「びっくりしました。週末にお見舞いに伺ってもいいですか?」
彼女のことは何も知りません。どこに住んでるかも知りませんでした。彼女は、すんなりと家まで来ていいですよ、と言ってくれました。
ゴルフをした翌日、私は一人で彼女に会いに行きました。メーリムの中心部に住んでいるという以外は、家の詳しい場所を聞いていなかったので、当然迷いました。電話してもつながらなくて、もう帰ろうと思ったら、彼女からLineのメッセージが入ってきて、ようやく彼女の家の近くのコーヒーショップで会うことが出来ました。
彼女は抗がん剤の治療をしているので、髪の毛は抜け落ちていて、スカーフを巻いた上に帽子を被ったいで立ちで私の前に現れました。心なしか、私が覚えているキャディーさんの姿よりも少しだけ痩せているようにも見えました。
私は妻の話をしました。写真も見せました。ごく最近乳癌で亡くなったと聞いて、彼女はビックリしました。彼女はこの先どうなるかとても不安だと言いました。私は妻の闘病生活の経験をいろいろと話してあげました。妻が人を励ましている姿を思い出しながら、心を込めて話をしました。乳癌の話をする私のタイ語は、不思議と全部通じたようでした。こういうことって、あるんですね。とにかく心配しないで、なるべく楽しいことをして、いつも笑って暮らすのが一番のクスリですよ、とアドバイスしてあげました。
そしてさらに意外なことがわかりました。彼女も妻と同じカムペンペットの出身だったのです。2人で目を白黒させて驚きました。しかも年齢も近くて、彼女は妻よりも2歳年下の42歳でした。
彼女には23歳の男と13歳の女の子の2人の子供がいるそうです。男の方は、今年大学を卒業し、バンコクの病院でIT技術者として働き始めたばかりでした。でも旦那さんはいないと聞いたときは、正直言ってちょっとだけ引けました。変な話ですが、もし私に好意をもたれてしまったらどうしようという警戒心と、逆に私の心が彼女に引かれてしまったらまずいことになるな、という両方の警戒心です。というのは、いろいろ彼女と話してみて、彼女も妻と同じように、とても純粋な心の持ち主だということがすぐに分かったからです。
実は私は、妻がしていたように、困っている人や病気の人には自分にできる限りのことをしてあげようと固く決意しています。ただ、相手が独身の女性の場合は、どう対処したらいいのか、まだよくわかりません。
彼女は病院へはいつも一人で行っているので、今度診察を受けに行くときは、一緒に行ってほしいと言いました。これには、さすがに返事に窮してしまいました。「言葉の問題があるので、私にはきっと医者の話が理解できないと思うのです。」と私は逃げてしまいました。妻なら、もし初対面の相手であったとしても、すぐさま、一緒に行ってあげますよ、と答えているはずです。相手が女であろうが男であろうが、タイ人であろうが日本人であろうが・・・
私の「ナムチャイ(人を思いやる心)」は、妻の足元には到底及びません。
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