タイ人は信心深い人が多いように思います。タイ人の9割くらいは一応仏教徒ということになっています。でも、殆どの家には土地の神様が祀られています。タイ語では「サンプラプーム」というそうです。
予備知識がなくこれを見た西洋人は鳥の巣と間違えるんだそうです。色が白ければ、日本の小学校にある百葉箱にも似ています。わが家でも、妻がどうしても欲しいというので、庭の隅っこにサンプラプームを設けました。今朝、祈祷師が来てくれて、儀式を行いました。
サンプラプームはその家に住んでいる家族を守るためのものですから、一般には家の玄関に向けて置くものだと言われています。でも北向きに配置するのが正しいという説もあります。わが家では、玄関方向に向きつつ、真北に向けて置ける場所がありました。
さてここからが問題なんですが、祠はご覧のように、2つあります。私の感じでは、祠はひとつしかない家が多いのではないでしょうか。これも正式にはふたつ必要だという説を採用しました。
左側の背の高い方の祠には夫婦の神様を祀ります。そして右側はおじいさん、おばあさんの先祖がいます。
左側の祠の中です。
こちらは右側の祠の中です。
入っているのは単なるお人形ですが、これを神様と見做しているわけです。祠がひとつしかない場合は、その中におじいさんとおばあさんもお祀りします。ですから、祠の大きさが小さいと、たくさんの神様で込み合って、ちょっと大変になりますね。
きょうの儀式では、ご覧のようなお供え物をしました。何を供えるかは決まっているようです。水、果物、鶏肉などは何となく分かりますが、缶に入った清涼飲料水がなぜあるのか、よくわかりません。すべて祈祷師の方と一緒に、けさ市場で買ってきたものばかりです。
タイの家にはいろいろな大きさ、様々な色のサンプラプームがあります。中には宮殿のように立派なものを建てる家もあります。ちなみに、来月入居するお隣さんは、サンプラプームを置く台の大きさが3メートル四方もあります。わが家の4倍以上の面積です。さすが豪邸ですね。
またサンプラプームに花輪をかけたり、中にはキラキラした電飾を付ける家もあります。これといった決まりはなく、自由にお祀りするのがタイ式です。
儀式が終わったあと、妻に「もっと大きくて華やかなのが欲しかった?」と訊いてみたら、「いいえ、これでいいの。大きさの問題じゃなくて心の問題だから。」という答えが返ってきました。お隣が大きいので負け惜しみかな、という気もしますが、確かに、これは心の問題なのです。
さて、サンプラプームは殆どの家にありますが、毎日お線香をあげたり、ご飯をお供えする家もあれば、ずっとほったらかしの家もあります。わが家はどうなるか、今の私はほとんど無宗教なので、ひとえに妻の信仰心にかかっています。
ところで、今日の儀式でうっかりしていたことがありました。祈祷師の人に家族全員の名前を事前に伝えて、お祈りの中で唱えてもらうんですが、一人忘れていました。ラッキーのことです。妻も「あっ、忘れちゃった。家族なのに・・・」と、後になって思い出し悔しがっていました。家族だと認識する心だけあれば、私は十分だと思います。
いずれにせよ、土地の神様を祀るのはとてもいいことだと思っています。