(植草一秀の『知られざる真実』より)
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/tpp5-5fd5.html
TPP交渉への参加について、野田首相は、9月21日の日米首脳会談で、
「議論を重ねて早期に結論を得る」
と発言し、10月10日に、民主党および政府に議論を始めるよう指示したことを明らかにした。
(中略)
こうしたなかで、オバマ大統領にとってのひとつの重要な活路として、米国の輸出増大が浮上しており、TPP問題はこのオバマ大統領の大統領再選戦略と密接なかかわりを持っている。
米国にとっては、TPPに日本を引き入れることが、現時点での最重要目標になっている。この問題で、もっとも早い段階から、的確に問題点を整理して指摘してきたのは、経済産業省職員で現在は京都大学に助教として出向している中野剛志氏である。
中野氏がかねてより主張してきたことだが、TPP交渉参加国9ヵ国に日本を加えた10ヵ国のGDP規模を見ると、日米の2ヵ国で91%、これにオーストラリアを含めると96%を占めてしまう。日本の入らないTPPは、米国の雇用対策としてほとんど効果を発揮することを期待できないものになるのだ。
米国は日本をターゲットにして、日本をTPPに引き入れるために、いま、さまざまな形で「圧力」をかけている。オバマ大統領としても、支持率低迷のなかで、人気を回復できる術があれば、わらにもすがりたい心境だろうから、植民地である日本に指令を出して、TPP協議に参加しろと圧力をかけているわけだ。
日本のなかには、驚くべき数の米国のエージェント、つまりスパイ=売国者が存在する。これらのエージェントが跳梁跋扈している。
害悪が大きいのは、
?政治家、
?テレビコメンテーター、
?テレビ番組制作者
がエージェントを務めていることだ。
また、巨大メディアそのものが、米国のエージェントと化している場合が急増している。
10月16日に放送された、フジテレビ「新報道2001」という番組を見た人は少ないだろう。3Kグループの低俗偏向番組だから、まったく見る価値がないし、見る意味もない。こんな番組を見るくらいなら、日曜の朝によく睡眠を取ることの方がはるかにメリットも多い、そんな番組であるが、恐るべき番組設定を行っていた。
ゲストに国民新党代表の亀井静香氏を招いて、TPP論議を30分も展開したのである。TPPが重要な時期だから、TPP論議に時間を割くことはよい。当然でもある。
ところが、討論の舞台設定が常軌を逸しているのである。
スタジオ出演したのは、高橋進日本総研理事長、北川正恭早稲田大学大学院教授、梅沢高明A.Tカーニー日本代表の3名のコメンテーターである。この3名がすべて、TPP交渉参加賛成派なのだ。
さらに、フジテレビ側から須田哲夫氏、平井文夫氏という名の、まったく無名の人物が討論に加わるのだが、この2名もTPP交渉参加賛成派の人物なのである。
つまり、亀井静香氏に対して1対5での討論を設定したのだ。
亀井静香氏は、そこまでの実力派とフジテレビが評価しているのだろう。プロの棋士が素人腕自慢棋士と、1対多数で同時に対局するという多面指しという対局手法があるが、実力あるプロの高段位棋士は、いともことなげに素人腕自慢棋士を打ち破ってしまう。
10月16日の対局がまさにこれであった。
亀井氏がTPP交渉参加を絶叫する5人もの発言者を総斬りしてしまったのだ。
---------------------------------------------------