*『東京ブラックアウト』著者:若杉冽
「第2章 洗脳作業」を複数回に分け紹介します。1回目の紹介
( Amazon カスタマーレビュー )から
恐ろしい本です。小説という体裁はとっていますが、帯に「95%ノンフィクション」とあるように、限りなく現実に近い話でしょう。これを読んでも、原発再稼働に賛成と言えるでしょうか。一人でも多くの国民に読んでほしい本です。
作中に登場する資源エネルギー庁次長の日村直史は、経産官僚の今井尚哉氏だと、国会議員の河野太郎氏がTwitterで言及しています。現在、安倍首相の政務秘書官を務めている人物です。
( 「東京ブラックアウト」)から
「バ、バカ野郎!おまえは知っているのか? かつて新潟県の泉田知事が、たった400人を対象に避難訓練をしただけでも、その地域には大渋滞が起こったんだぞ!・・・あと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ・・・」
・・・玲子は絶句した。いつも冷静でクールな夫が、15年の結婚生活で初めて見せる取り乱しぶりだったからだ。
過去に紹介した記事(【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(45) )から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」
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**『東京ブラックアウト』著書 「第2章 洗脳作業」の紹介
第2章 洗脳作業
日本経済新聞(2014年9月2日・朝刊一面)
「国が避難計画支援川内原発 地元自治体に職員派遣」
政府は原子力発電所の再稼働に向け地元自治体を支援する。今冬の再稼働をめざす九州電力川内原子力発電所がある鹿児島県と薩摩川内市に関係省庁の専門家を派遣し、原発事故に備える避難計画作りを助ける。国の関与を強めることで住民の安心感を高め、再稼働に関する地元同意を円滑に進める狙いだ。地元自治体の要請があれば、経済産業相など閣僚が現地を訪ね再稼働に理解を求めることも検討する。
月内に経産省が鹿児島県や薩摩川内市に5人程度の職員を派遣するほか、消防庁なども派遣を検討する。職員は数カ月常駐して避難計画作りを支援する。政府は川内原発以外でも計画作りが進んでいない自治体への職員派遣を検討する。
避難計画は原発事故時に住民が放射性物質の影響を避けられる場所に早く退避するためにつくる。鹿児島県は既に計画をつくったが「専門知識のない自治体だけでは十分な計画にならない」との声が上がっていた。原発事故に詳しい政府職員の助言をふまえ計画作りを急ぐ。
政府は事故が起きたときに必要となる医薬品や燃料など、救援物資の集積拠点も鹿児島県内につくる方向だ。県には物資の備蓄があるものの、不足する恐れもある。全国から物資を運ぶルートを政府主導で整える。
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(7)
筑紫電力の仙内原発の地元自治体との面会ー。
都心にしては珍しく瑞々しい木々に囲まれた六本木ファーストビルのエントランスに、3名の田舎者が現れた。クールビズが終わりを迎える10月にもかかわらず、彼らのクールビズは、昭和の時代の村役場でよく見かけたような、開襟シャツにツータックのグレーのズボンという出で立ちで、外資系ビジネスパーソンが闊歩する六本木ファーストビルには極めて場違いな印象を与えた。
今日は、原子力規制庁内にある内閣府原子力災害対策担当室へのお出ましだった。
原発の立地自治体に対しては、担当者を集めて大会議室で通り一遍の避難計画づくりの説明会を行うが、それだけで避難計画を簡単につくれるわけではない。自治体の職員は、国のつくった雛形をコピー&ペーストするぐらいしかできない、低俗な連中なのだ。
だいたい、国家公務員試験上級職に受かった連中と、地方公務員試験に受かった連中とでは、試験合格に必要な知的能力の差も、就職後の鍛えられ方も、月とスッポンほど違う。
戦前は、国家公務員にキャリア官僚だけが天皇陛下にお仕えする「官吏」と呼ばれ、「吏員」と呼ばれる地方公務員とは、身分も待遇も明らかに異なっていた。国と地方の給与水準を示すラスパイレス指数が国と地方で逆転するなどといった噴飯ものの現象は、戦後民主主義が犯した明らかな失態である。
国家公務員試験上級職に上位で合格するキャリア官僚は、地方公務員試験なぞ受験もしていないから、地方公務員がどのくらいバカな連中なのかも想像がつかない。東京大学法学部と地方国公立大学の入学時の偏差値は15以上は違うだろう。
そんな奴らが、自分たちキャリア官僚のつくった法律や政省令やガイドラインを理解できないのは仕方がない。個別に呼び出して、懇切丁寧に教え諭してやらなければならないのだ。
部外者はセキュリティチェックなしに入ることができない3階の原子力災害対策担当室のオフィスではあるが、今日は特別に入れてやることにした。
※続き「第2章 洗脳作業」は、3/13(金)22:00に投稿予定です。
「フクシマの交通渋滞は、みんな自家用車に乗って避難したから起きた。だから、自家用車は極力使わせない。一時退避場所に集まって、みんなしてバスで移動するんです。UPZの住民には屋内退避を徹底させて、勝手に避難はさせない。それがフクシマの教訓です・・・」
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