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地響き・驚き・不安 貨物船住宅衝突

2004年09月05日 16時32分11秒 | 社会
未明の静かな瀬戸内海の島に、地響きのようなごう音が鳴り響いた--。大崎上島町東野鮴崎(めばる・ざき)の護岸に4日、西瀧海運=大分県津久見市港町=の貨物船が乗り上げ、沿岸の住宅を直撃する事故が起きた。現場周辺は多くの船が行き交う航路。「こんな事故初めてだ」「一歩間違えば人命につながる大惨事だった」と住民たちは口をそろえた。

事故は午前2時半ごろ発生。貨物船「新常豊丸」が高さ約5メートルの護岸に船首部分からぶつかり、住宅1戸と空き家が全壊、別の住宅1戸も一部が壊れた。

主婦松本信子さん(63)は「ドスーン」という音と大きな揺れで目を覚ました。地震と思い布団をかぶったまま余震に備えた。自宅前が騒がしいので出てみると、向かいの安部春男さん(76)の2階建て自宅の1階部分が押しつぶれされていた。

1階で寝ていた安部さんは、落ちてきた天井と壁のすきまに体が入り、軽傷で済んだ。「何がなんだかようわからんかった。出てみて初めて船が突っ込んできたこととわかった」と興奮気味に話した。

正午ごろ、事故を起こした貨物船は、タグボートに引っ張られて護岸を離れた。コンクリート製の護岸には、大きな亀裂が入り、衝突の激しさを物語っていた。

午後からは、倒壊した住宅の本格的な解体作業が始まった。

安部さんの長女で会社員の森下初枝さん(51)=広島市=は、がれきの下から3年前に亡くなった母親の位牌(い・はい)や写真、着物などを見つけ、運び出した。「実家には大切なものがたくさん残っていたのに、悔しい」と涙ながらに話した。

自宅が壊れた住民は「新しく家を建てるにも時間がかかるし、どうしたらいいのか……」と不安げに周りの人に相談していた。

午後2時ごろ、現場を訪れた西瀧海運の西瀧常博社長は「大変なご迷惑をおかけして申し訳ない」と被害者家族に謝罪した。呉海上保安部の事情聴取などを終えた浜田真寿雄船長(56)ら3人の船員が午後5時すぎ、現場を訪れ、「大変申し訳なかった」と頭を下げた。

同保安部の調べに対し、浜田船長は「居眠りをしていた」などと話しているという。同保安部は業務上過失往来妨害と業務上過失傷害の疑いで捜査を進める方針。「新常豊丸」には、航行中に一定時間操縦されないと、警報が鳴る装置が付いており、事故当時の作動状況についても調べる。
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