*** june typhoon tokyo ***

Mixed Up Remix@渋谷LOOP annex 【Especia】


 代官山にあるライヴハウス“LOOP”にて毎回良質なコラボレーションで音楽好きやさまざまなファンに新たな発見をもたらす好企画〈Mixed Up〉。その渋谷LOOP annex版といえる〈Mixed Up Remix〉が開催されるということで、僅かな時間ながらも駆けつけた。

 一番の目当てはEspeciaの今年のライヴ納めだが、実は、先日2nd EP『Nayameru Gendai Girl』をリリースした仮谷せいらも気になっていた(1st EP『Nobi Nobi No Style』は購入済み)。Orlandも出演した18日の〈PUMP!〉のオールナイトイヴェントには足を運べなかったこともあり、その意味でもまたもや組み合わせの妙に頷いていたところ。さらにシティ・ポップ路線ではかせきさいだぁの出演もあるということで、まだ未見のMagic Drums & Love、おかもとえみ、NOEL & GALLAGHERも含め、期待感が高まっていた。

 しかしながら、当日は既にブルーノート東京でのインコグニートのライヴを予約してしまっていて、痛恨のバッティング。当日まで出演順も分からず、またネットでの前売りチケットも完売ということで、半ば諦めていたのだが、インコグニートのライヴを終えて情報をチェックしてみると、仮谷せいらはトップバッターで終了していたが、Especiaの出演は20時30分からと判明。当日券もありそうな感じだったので、南青山から渋谷へ足早に向かうことに。

 到着時にはかせきさいだぁ&ハグトーンズがポップなグルーヴをかき鳴らしていて、観客も心地良く身体を揺らしているのがわかった。グルーヴィなギターが弾ける「BABY BABY BABY」、“ウッ!ハッ!”のコール&レスポンスとクラップが楽しい「カンフーダンス」に彼らのポップネスの“旨味”を感じていると、アニメ『超時空要塞マクロス』で飯島真理が歌っていた(のちに中島愛もカヴァーした)「天使の絵の具」へ。冒頭のアレンジがシュガー・ベイブ「DOWN TOWN」風(EPOでもいいが)だなと思って聞いていると、そのまま「DOWN TOWN」へ繋ぐ展開に。これには“待ってました”とばかりに観客もヴォルテージを上げ、ステージとフロアで名曲を合唱するような形でエンディングを迎えた。

 続いて、目当てのEspeciaが登場。通例の冒頭SE「Intro」で幕を開けると、個人的には初めて聴くこととなる「Rittenhouse Square」へ。この曲は「West Philly」を手掛けたRillsoulが再び制作した楽曲ということで、ソウル色が強いミディアム~ミディアム・スローとなっているが、まだ歌い慣れていないこともあり、この楽曲の世界観を飲み込むまではもう少し時間が掛かりそうだ。次曲からの「きらめきシーサイド」「FOOLISH(12" Extended Ver)」がこなれている分、余計にその差が感じられた。

 その次の「Boogie Aroma」も来年2月24日リリースの“CARTA ver”だったため、オリジナルとのパフォーマンスの完成度の差は少なからずあった。この曲は、前日(12月29日)にHMV & BOOKS TOKYOで行なわれたインストアイヴェントへ寄った時に観たので初見ではなかったが、やはりこれからじっくりと咀嚼して身にしていくのだろう(その期限は1月の新木場でのワンマンライヴになるのだろうが)。

 既存曲と新曲のパフォーマンスの差は“場数”が異なるだけ、と言いたいところだが、個人的には今のEspeciaはそれだけではなく、言葉を選ばずに言えば“停滞期”ではないかと感じる。もちろん、来月の新木場STUDIO COASTを残すのみでほぼ終えた長い全国ツアーなどの疲れもあるだろう。だが、経験値を重ねた分、無意識のうちに“こなせてしまう”ことも可能になった。それは成長であるとも言えるが、さらなるギアを上げるエネルギーを阻害する要因にもなり得てしまうのも事実だ。その“阻害”要因は特に歌唱力の安定度に如実に表われてしまうため、リミックスも含めた楽曲レヴェルが高まって行けば行くほど、歌唱やパフォーマンスが追いつかない、追いつくのがやっとという現象も見え隠れしてしまう。

 前回のツアーより“立ち止まれない!”とメンバー全員で声をかけてからステージに挑んだ彼女たち。しかしながら、その思いとは裏腹に当時の勢いまでは感じられない。歌唱力、ダンスパフォーマンス、コンビネーション、一体感、どれも短い期間で格段に成長はしたが、その成長スピードにも陰りが見えている。そして、怖いのは、“立ち止まれない!”思いが強くなるばかりに、現状の伸び悩みを意識し過ぎて空回りしてしまうことだ。

 “停滞期”という言葉を敢えて使ったが、これは言い方を変えれば“一進一退”にもなる。さまざまな例があるが、チャンスを生み出すまでは比較的容易かったりもする。問題はそのチャンスをしっかりと“モノ”に出来るかどうかだ。ボクシングではチャンピオンになるまでとチャンピオンを維持するのでは圧倒的に後者の方が難しいと言われる。マラソンでも前方のトップランナーに後方から追いつくことは出来ても、そこから抜き去る、競り勝つことが容易ではないはず。もちろん、彼女らはチャンピオンにもなっていないし、トップランナーに追いついてもいないが、理屈は同じだ。つまり、停滞期すなわち一進一退の時期を糧にするべく、すぐに結果として現れなくてもこのもどかしさを打ち破るための努力を怠らないこと。そして、1ステージ1ステージを存分に楽しむことだろう。怪訝な表情はしないだろうが、結果はともあれ、ステージではファンやリスナーに不安を悟られるような要素を出さずに“楽しみ切る”ことを続けることが、次なるエネルギーの起爆剤になるのではないかと思う。

 ぺシスト(Especiaのファン)にはそこまで考える人たちは多くないかもしれないし、これらを求めること自体が甚だ可笑しいと思う人も少なくないかもしれない。当然、正解や模範解答はないが、彼女たちに“ガールズ・グループとして、パーマネントなグループとして”成功して欲しいという個人的な感情が強いゆえの考えということで受け流してもらえればと思う。
 
 先日、新アルバムの目玉となるリード曲「Clover」が作詞・山根康広、作曲・藤井尚之とのコラボレーションによるアメリカン・ハードロックと発表されたことで、正直うーんと唸ってしまったのだが、後日発表された収録内容を見ると、リード曲以外はHi-Fi CityやRillsoul、Schtein&Longerなどお馴染みの面々が揃っている様子。これは、「We are Especia ~泣きながらダンシング~」が若旦那プロデュースということに瞬間的に違和感をもよおした『Primera』の時と同じ展開なのかも。「Clover」は全国ツアーファイナルの新木場STUDIO COASTで初披露予定というところも含めて、どうやら制作サイドに踊らされ、深刻に考え過ぎているのは自分自身かもしれない(苦笑)。

 とにかく残り1ヵ月を切った全国ツアーファイナルで彼女たちを観て、感じてから。全国ツアーという宇宙航行を経てファイナルへと帰還する彼女たちの勇姿と気概を見守る準備を、しっかりと整えておこう。

◇◇◇
 
【Mixed Up Remix】

<SET LIST>
≪仮谷せいら≫
01 ニコイチ
02 わたしだらけ
03 Walk This Way
04 Do-De-Da
05 フロアの隅で
06 Nayameru Gendai Girl
07 Nobi Nobi No Stlye

≪Magic Drums & Love≫

≪おかもとえみ≫

≪かせきさいだぁ&ハグトーンズ≫
01 じゃっ夏なんで
02 CIDERが止まらない
03 夏をプレイバック
04 BABY BABY BABY
05 カンフーダンス
06 天使の絵の具(Original by 飯島真理)~ DOWN TOWN(Original by シュガー・ベイブ)

≪Especia≫
00 Intro(from“GUSTO”)
01 Rittenhouse Square(New Song)
02 きらめきシーサイド
03 FOOLISH(12" Extended Ver)
04 Boogie Aroma(CARTA Ver.)
05 海辺のサティ(va bien)
06 Aviator

≪NOEL & GALLAGHER≫

◇◇◇

 ちなみに、12月29日にHMV & BOOKS TOKYOにて行なわれたリリース・イヴェント(第2部)のセット・リストは次のとおり。

【『CARTA』リリースイヴェント@HMV & BOOKS TOKYO】

<SET LIST>
≪第2部≫ 19:30~
01 intro(from“GUSTO”)
02 Sunshower
03 スカイタイム
04 オレンジファストレーン
05 くるかな(aero wao)
06 Boogie Aroma(CARTA ver.)
07 Aviator

◇◇◇















◇◇◇












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