15周年イヤーを記念して、ほぼ1年となる長期ツアーとなった“星空のライヴ VII”のシンフォニーオーケストラ版“MISIA 星空のライヴ VII-15th Celebration- Hoshizora Symphony Orchestra”の日本武道館公演の二日目を観賞。
近年傾倒している“生物多様性”を意識した緑の木々や草花をステージ全般に配置し、手前にはリズム隊やコーラス、奥の高台には40名強のオーケストラが勢揃い。その背後には、曲ごとに景色を変える星空が浮かび上がるという、タイトルにふさわしい装飾がなされたステージで、MISIAは中央のせり上がりで登場。いきなりデビュー曲のイントロのロングトーンでのフェイクを披露すると、会場からは割れんばかりの歓声で、MISIAを出迎えた。
MISIAのライヴは大きく分けて通常のツアー“THE TOUR OF MISIA”（ツアー途中で新作アルバムが発表されることが多い）とこの“星空のライヴ”の2パターン。これまで“星空～”はバラードを中心とした構成が主で、本公演もそれが受け継がれたようだ。ただし、15周年＋オーケストラという飾りが付加されたため、音の迫力やスケールは増したものとなっている。
とはいえ、長期にわたるツアー。新曲シングルなどが発表されるたび、マイナーチェンジをしながら、セットリストを構成。この日本武道館公演でもドラマ主題歌となった「僕はペガサス 君はポラリス」や近年の楽曲を組み込みながら、15周年の間にリリースされたMISIAクラシックといえる楽曲などを散りばめている。
今回のトピックといえば、15周年を総括するというものが一番だったはずだが、残念ながら昨年末に急逝したドラマー、アレックスこと青山純の追悼というトピックも加わってしまった。MISIAは「これまでさまざまな演奏者と共演してきたが、ドラムの青山とFUYUは私のなかで外せない。今回のライヴは彼らのツインドラムで」と当初より期待していたとのことだが、生前にそれを完遂することは、出来なかった。
だが、アレックスのことを語ってからの、コーラスとのヴォーカル陣を強調したヴァージョンでの「忘れない日々」は、生の声を出来るだけ装飾なく届けたいというMISIAの気持ちが伝わった“生々しさ”がズドーンと場内を静寂させ、言葉に出来ない身震いを与えていく。「つらいけれども、生きていくことが私たち残されたものの使命」という思いが込められた、“生”が露わになった歌声は、天に召された青山へはもちろん、会場の隅々まで響きわたったに違いない。
そして、狙ったのかどうかわからないが、「忘れない日々」の次が「逢いたくていま」。“いま逢いたい、逢いたい”と魂を削らんばかりに連呼する姿に、涙する人も見受けられた。
個人的な嗜好をいえば、バラード中心の“星空のライヴ”のセットリストは、それほど好みではない。どちらかと言えば、ダンサブルな楽曲やR＆B、ヒップホップを感じさせる曲調のが好きなので、このバラードが続く構成は、MISIAが歌にずっしりと魂を込めるシンガーだということもあって、ちょっとばかり重く感じてしまう。
ただ、一曲一曲に向き合えば、そのヴォーカルの迫力は言わずもがな充分で、エンタテインメントとして素晴らしいステージは数あれど、歌で金が稼げる数少ないシンガーとしての最高峰であるということをまざまざと見せつけられた、そんなステージだった。
2013年2月、横須賀からスタートした15周年記念ツアー“星空のライヴVII”も追加公演が続き、16周年となる2月を過ぎて3月下旬の宮城公演、さらに富山、福井の振替公演で長いツアーの幕が下りる。だが、4月2日に新作アルバム『NEW MORNING』がリリースされると発表。長きに渡る15周年を祝うツアーを終えるのもつかの間、新たな歴史の幕開けがすぐに待っている。それに伴うツアー“THE TOUR OF MISIA”の開催にも思わず期待を寄せてしまうところだ。
まだまだ高みを見据え、さらなる飛躍を求めるMISIAは、とどまることを知らない。
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＜SET LIST＞
01 つつみ込むように…（15th ver.）
02 君の太陽になろう
03 Everything
04 恋は終わらないずっと
05 Daisy
06 忘れない日々
07 逢いたくていま
08 DEEPNESS
09 Back In Love Again
10 僕はペガサス 君はポラリス
11 MAWARE MAWARE
12 HOLIDAY
13 MELODY
≪ENCORE≫
14 幸せをフォーエバー
15 THE GLORY DAY
16 明日へ
＜MEMBER＞
MISIA（vo）
山口周平（g）
SOKUSAI（b）
FUYU（ds）
重実徹（key/Band Master）
鈴木明男（sax/fl）
Hanah（cho）
澤田かおり（cho）
Lyn（cho）
星空のシンフォニーオーケストラ（Orch.）
服部隆之（Cond.）
弦一徹ストリングス（Strings）
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MISIA - 逢いたくていま
MISIAからアレックスへ気持ちは、この歌に詰まっているんだろうなあ。
MISIA - つつみ込むように...
すべてはこの曲からはじまった……。
