*** june typhoon tokyo ***

BRANDY@Billboard Live TOKYO

Brandy_00

 ブランディーの来日公演@ビルボードライブ東京へ行ってきた。個人的に“黒い古内東子”と呼んでいた(笑)ブランディーの10年ぶりの公演だ。ハスキーな声で揺らぎのある抑揚を駆使する女性ヴォーカルというものに弱かったりもするのだが、まさしくブランディーはそれにマッチするアーティストで、前回の公演に行けなかった自分としては、初のブランディーとなる。

 21時40分、暗転しバックのカーテンが閉じると、バンド・メンバーが登場。ステージ左からキーボード、キーボード(ギター)、ドラム、キーボード(ギター)、そして女性ヴォーカル2人という布陣だ。ブランディーを呼び込むべくイントロダクションが演奏されると、徐々に場内はヒートアップ。そして、颯爽とブランディーがステージ・イン。
 とにかく、細いのである。黒いタイツ風のパンツ・スタイルなのだが、そのシルエットが草原を駆け抜けるインパラのようなイメージ。シェイプされた滑らかなラインなのだ。

 そんな容姿に見とれていたら、4thアルバムのタイトル・チューン「アフロディジアック」がスタート。続いて同アルバム収録曲から「フー・イズ・シー・トゥー・ユー」と来て、3rdアルバム『フルムーン』からの「ホワット・アバウト・アス?」だ。この時点でブランディーはかなりノリノリで、小刻みにステップをしながらステージを左右に駆け回り、マイクスタンドを使って両手を大きく広げて見得を切ったり、ロボット・ダンスのようなカクカクした動きを採り入れたりと、エンタテインメント度全開だ。

 思わず身を乗り出してしまったのが、中盤での1stアルバム収録曲メドレー。「ベスト・フレンド」から「アイ・ウォナ・ビー・ダウン」、そして「ベイビー」の流れは、このライヴでのハイライトの一つで、「ベイビー」の時には“セイ、ベイビー”とコール&レスポンスでさらに盛り上がる。当時(15歳!)の楽曲は、ベースが効いていて、どちらかというとファンキーなR&B/ヒップホップといった印象なのだが、そのファンキーなノリをここでも再現してくれた。

 その1stアルバム・メドレーの後には、モニカとのデュエットで話題となった(不仲説がバンバン流れていたねー)「ザ・ボーイ・イズ・マイン」、そして新作から「トーン・ダウン」、大ヒット「ハヴ・ユー・エヴァー?」を経て、本編ラストはカニエ・ウェストのプロデュース作「トーク・アバウト・ユア・ラヴ」。時にファンキーに時にキュートにと、七変化をみせるブランディーのヴォーカル・ワークは見事といったところ。この「トーク・アバウト・ユア・ラヴ」では、合間にメンバー紹介を挟み込んだ。
 バック・ヴォーカルの二人はCD音源の上から被せて歌っていたので、コーラス・ワークとしての存在感は(彼女らを斜め後ろから見るような席だったので)それほど感じられなかったが、このメンバー紹介でのソロ・パートでは、二人ともチャーミングで浸透力のある声を堪能した。“被せなし”だったらもっといいんだろうなぁと思いつつも、彼女らのファンキーな振り付けや踊りは、視覚的に充分場内を沸かせた一つの要因であったように思う。パワフルなスネアを叩き込むドラムや三者三様に安定感のある鍵盤捌きをみせるキーボード(ソロ・パートの時は、ギター兼任の人はギターを披露)たちも、ブランディーのエンタテインメント・ショウにしっかりと華を添えたのは間違いない。

 アンコールに応えて、バンド・メンバーがステージ・インし、その後にブランディーが登場。日本の、東京のファンへの感謝を述べた後で用意された曲は、新作に収録された「ロング・ディスタンス」。ここで、客席から男性を一人呼び上げて、ステージ中央の腰掛け椅子に座らせると、肩に触れ、時には手を握り、眼前間近で彼のために歌うといった演出を。いやぁ、ブランディーもこんなことやるようになったんだなぁ、と15歳当時の面影が脳裏にフラッシュバックしながら、この光景を眺めていた。彼女が歌うバラードは、ウォームなものでも、ダウナーな感じのものでも、その表現はいつもドラマティックだ。そこが決して圧倒的な声量がある訳でもない彼女が、スターダムにのし上がって、トップ・シーンで活躍し注目を浴びるシンガーとなっている証左ではないだろうか。歌の向こうにひとつの物語が見えてくる……そんな情趣あるヴォーカリゼーションなのだ。

 オーラスは、新作のリード・シングル「ライト・ヒア」。スタンディングで手を高く挙げ、左右に振り、クラップで応えるオーディエンス。最後に感情のたぎりを空間いっぱいに放った後、晴れ晴れとした表情でステージに立つブランディーがいた。母になるも別れを経験し、さらに不幸な交通事故を引き起こして、一時はもう目にすることが出来なくなるのか……と思われた彼女が、そういった紆余曲折を経て、いっそう歌うことの素晴らしさを感じ、日本という遠い地でも、何かを伝えようと熱情をほとばしらせている。その姿に打たれ、心に満ちる充足感を覚えつつ、ステージ・アウトしたブランディーの陰を追いながら、会場をあとにしたのだった。

 ブランディー、完全復活なる! また、来日公演してくれー!


◇◇◇


<SET LIST>

00 INTRO
01 AFRODISIAC (4)
02 WHO IS SHE 2 U (4)
03 WHAT ABOUT US (3)
04 FULL MOON (3)
05 ALMOST DOESN'T COUNT (2)
06 SITTIN ON TOP OF THE WORLD (2)
~1st ALBUM MEDLEY~
07 BEST FRIEND (1)
08 I WANNA BE DOWN (1)
09 BABY (1)

10 THE BOY IS MINE (2)
11 TORN DOWN (5)
12 HAVE YOU EVER (2)
13 TALK ABOUT OUR LOVE (4)
≪ENCORE≫
14 LONG DISTANCE (5)
15 RIGHT HERE (5)


(1) SONG FROM ALBUM 『brandy』
(2) SONG FROM ALBUM 『NEVER SAY NEVER』
(3) SONG FROM ALBUM 『FULL MOON』
(4) SONG FROM ALBUM 『AFRODISIAC』
(5) SONG FROM ALBUM 『HUMAN』


<MEMBER>

Brandy (Vocals)
Kimberly Mont (Background Vocals)
Sheri Hauck-Gillespie (Background Vocals)
Gilbert Smith (Keyboards)
Nelson Jackson (Keyboards/Guitar)
George Johnson (Drums)
Kern Brantley (Keyboards/Bass)

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