*** june typhoon tokyo ***

Crystal Kay@NHKホール

■ CK@NHK Hall

Crystalkay_ck10th


10周年の祝い合い。
そして、クリもマイケル・トリビュート。

 デビュー10周年を迎えたクリスタル・ケイのライヴ・ツアー”Crystal Kay 10th Anniversary Tour CK10”のNHKホール公演を観賞してきた。11月6日の横浜BLITZを皮切りに、仙台、札幌、名古屋、東京(ZEPPの追加公演含む)、福岡、大阪、広島と周ってきたツアーの最終公演だ。

 セットは中央に階段があり、それを上がった奥手にフラットな高台が左から右に広がっている。左右両端にも階段。その左右の階段と中央の階段に挟まれるように、バンド・メンバーが配されている。左から、ベース、ドラム、(中央階段を挟んで)キーボード、ギター、コーラスの順。そこに男女のダンサーが華を添える。バンドマスターの河野伸、ギターの石成正人はおなじみの顔。ドラムのジョン・ブラックウェルは、ジャスティン・ティンバーレイク、宇多田ヒカルやDOUBLEのバックでも、というよりも、あのプリンスのドラマーと説明した方がいいだろう。回転させながらスティックを叩く離れ業を披露する辣腕ドラマーだ。というメンバーなので、サウンドの安定感に関しては問題なしだ。

Crystal_kay_10th_00 スクリーンに10、9…と数字が映し出されるとカウントダウンが始まり幕が開くと、「Ex-boyfriend」のイントロに乗せてクリスタル・ケイが登場。衣装はジャネット・ジャクソンを意識したようなものだった。 そういえば、以前「ジャネットのように世界に羽ばたけるシンガーになりたい」と言っていたクリ。4thアルバム『4REAL』リリース直後に海外リリース盤『NATURAL -World Premiere Album-』を発表したこともあった。その後、フジテレビ系ドラマの主題歌となった「恋におちたら」のビッグ・ヒットによってポップ・フィールドに重心を移してしまったが、彼女の原点は歌って踊れる世界的シンガーになりたいという気持ちに変わりはないのだ。

 「Girl U Love」が終わると、白いカーテン状の幕が引かれ、そこに流れ星や月が描かれた夜空が映し出される。やおら衣装チェンジをしたクリが出てきて「月のない夜 道のない場所」を、続いて「きっと永遠に」までしっとりとバラードを歌い上げる。
 再び幕が引かれると、今度はデビュー曲「Eternal Memories」が流れる中で幼少期から少女期のクリをモノクロ・フィルムで映し出していく。クリクリとした愛くるしい目をヴィデオに向けながら、天真爛漫に歌い、笑う彼女の映像を見て、観客からは微笑みがこぼれていく。そのヴィデオが流れ終わると、初期の楽曲を中心としたメドレーがスタートした。最近ではそれほど歌うこともないのかもしれないが、やはり初期の楽曲が自分にとっては馴染みが深い。当時13歳~15歳だからか、歌詞やタイトルはややキッズ感覚があるかもしれないが、楽曲はしっかりとR&Bしているし、何よりファンキーだ。観客は6:4あるいは7:3くらいで女性が多く、やはり初期の楽曲よりも「恋におちたら」以降の楽曲への反応が高かった。だが、今回は10周年の総ざらいということもあって、初期の楽曲を多めに演奏してくれたのは嬉しかった。

 情熱的な「MAKE YOU MINE」が終わると、ステージやや左側に置かれた小さな椅子にスポットライトがあてられる。「次の曲を私の大好きな人に贈ります」と告げてから始まったのは「ダーリンP.P.P.」。高台左側からダンサー1人が現れるが、ハットを目深に被ったその姿は、クリがジャネット同様、さらにその原点として憧れていたスター、マイケル・ジャクソンを模したものだ。ダンサーがゆっくりとしかしながら時折キレのいいダンスを披露しながら階段を降りると、その椅子に座って、クリの歌声を聴いたりしている。そして、マイケル・ジャクソン「ヒューマン・ネイチャー」のフレーズが流れると、ムーンウォークまでも披露、観客から「ウォ~」という声が飛んだ。
 自分が観賞したライヴでは、かなりの確率でマイケルの楽曲を組み込んだり、彼を意識したようなサウンドや衣装などが多くみられたが、クリスタル・ケイもそこを避けて通る訳にはいかなかった一人だった。「性別とか関係なく、マイケル・ジャクソンになりたい!」という夢があった彼女にとっては、やはり彼の死は、無視して通ることは出来ないのだろうし、彼女がここまでキャリアを積み上げてこられたのも、マイケルやジャネットのようになりたいという一心があったからだともいえるだろう。それを、マイケルの楽曲のフレーズを挟み込みながら「ダーリンP.P.P.」で送り出すというのは、なんとも彼女らしい、粋な演出でよかったのではないか。

Crystal_kay_10th_02 中盤から後半にかけては、観客のヴォルテージと歓声がいっそう高まった時間となった。大ヒット「恋におちたら」でさらに会場の空気が温まったと思ったら、10周年記念のリバーシブルスカジャンをまとったCHEMISTRYのKANAME(川畑要)の登場によっていっそうヒートアップ。「After Love-First Boyfriend-」を寄り添って歌うたびに黄色の声が飛び交っていた。歌い終わってのMCも終わりに差し掛かると、「なんか寂しくない?」「寂しいよねぇ?」の会話から、会場はCHEMISTRYのもう一人、堂珍嘉邦の登場を期待。それが現実となると、割れんばかりの歓声がホールにこだましたのだった。
 「びっくりさせるのが、好きなの(笑)」と茶目っ気たっぷりにいった後、一気に畳み掛けるかと思いきや、一旦「Kiss」でスロー・ダウン。だが、これがクライマックスまでのいい“ため、引き”になって、レゲエ・ヴァージョンで魅せた「片想い」から続くアッパーな展開を強い一体感をもたらせることとなった。「Can't Can't be stopped」ではドラッグ(ドラァグ)クイーンの二人も登場してパーティを盛り上げ、本編ラストの「Over and Over」では銀の紙吹雪が左右から乱れ飛ぶ演出でのエンディングとなった。

Crystal_kay_10th_03 さらなるサプライズは、アンコール後一発目にやってきた。m-floのVERBALが登場しての「I LIKE IT」でホールは完全にパーティ・フロアと化した。その後のMCで、クリがm-floの10周年を祝せば、VERBALが「“loves”もクリスタル・ケイで始まり、クリスタル・ケイで締まった」とクリなしではここまでこれなかったことに感謝。クリスタル・ケイとVERBALともに最初のコラボ・アーティストだったという縁もあり、互いに10周年を祝うMCとなっていた。
 「ONE」を終え、ラストは「Boyfriend PartII」へ。最初は「ありがとう~」というフレーズを含めながらフェイクなど駆使したアドリブを披露、その声量と成長した歌唱力を再確認することが出来た。
 長いようであっという間だった10年間を思い出し、また、ここまでこられたことを考えたのか、最後では感極まって泣いてしまった彼女だが、これからも彼女が目標とし憧れる人へ向かって突き進んでいって欲しい。

 彼女のライヴとしては、ここ数年で最も内容の濃い、ステージだったのではないかと思った。さらなる進化に期待だ。


◇◇◇

<SET LIST>

00 INTRODUCTION
01 Ex-Boyfriend
02 I Know
03 What Time Is It?
04 Girl U Love
05 月のない夜 道のない場所
06 Motherland
07 きっと永遠に
08 Eternal Memories(VIDEO)
09 ~MEDLEY~
Girl's Night
こみちの花
TEENAGE UNIVERSE~Chewing Gum Baby
MAKE YOU MINE
~MC~
10 ダーリンP.P.P.(Including Phrase “Human Nature”)
11 出会えた奇跡
12 恋におちたら
13 After Love-First Boyfriend- feat.KANAME(CHEMISTRY)
14 Two As One (with CHEMISTRY)
15 Kiss
16 片想い (REGGAE Ver.)
17 hard to say
18 Can't be stopped (Guest Dancer DRUG QUEEN)
19 Over and Over
≪ENCORE≫
20 I LIKE IT loves VERBAL(m-flo)
21 ONE
22 Boyfriend PartII (Long Intro Arrange Ver.)


<MEMBER>

石成正人(G)
 (B)
John Blackwell(Dr)
河野伸(Key/Bandmaster)
 (Cho)

Dancer
Drag Queen

CHEMISTRY
VERBAL

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