J-POP、邦楽のCDを購入しなくなって久しいこの頃ですが、日本の音楽に魅力がないという訳ではないのです。質のいい楽曲は、いつの時代にも生まれているはずです。
最近、たまたま東京女子流というローティーン・アイドル・グループ(“ティーン”エイジにもいってないんじゃないかと思われますが)のアルバムを聴いたところ、これが予想以上の出来でして。東京女子流っていうのは、エイベックスが売り出した5人組ダンス&ヴォーカル・ガールズ・ユニットなのですが、現在のところ、売り上げや注目度という点では劣勢なのは否めません。
ただ、このアルバムの楽曲群は、かなり高いセンスだと思われます。アレンジャーの松井寛の手腕がかなり素晴らしいのだと思いますが。この人、鷺巣詩郎を懇意にしているMISIA作品でも知られる人です。自分のMISIA楽曲の中でかなり好きな「Never gonna cry!」の作曲者でもあります(アルバム『Mother Father Brother Sister』のオープニング・トラック「Never gonna cry! -strings overture-」では、作編曲が松井寛と鷺巣詩郎の連名でクレジットされています)。
その1stアルバム『鼓動の秘密』のなかでも、特に4thシングルとなった「ヒマワリと星屑」という曲は、こういってはなんですが、アイドルに歌わせるのにはもったいないくらいのクオリティの高さです。
東京女子流 / ヒマワリと星屑
キャッチーで琴線をくすぐるような旋律と格好良さがビシビシと伝わるファンキーなサウンドが絶妙に重なるポップで、大雑把に言えば、SMAPの「ダイナマイト」と「Let it Be」を足したような楽曲です。
Dynamite
間奏の“Dynamite Honey danger in the night~”のパートが、格好いいんですよネ(SMAPは歌ってない…笑)。
Let it Be
「Let it Be」がソウル&ファンキーなのは、コーラスにSkoop On SomebodyのTAKEが参加していることもその要因の一つでしょうな。
ところで、この東京女子流の「ヒマワリと星屑」、ファンキーでチラッと哀愁を感じさせるメロディ・ラインが素晴らしいのですが、これを作曲したのがQuadraphonic(クアドラフォニック)というアーティスト。日本語、英語、スペイン語を話すトライリンガルで、EXILEやKinKi Kidsなどにも楽曲を提供しているマルチ・クリエイター。自らが表舞台に出ない“ プロジェクト”でということを条件に、昨年の2010年にアルバム・デビューしています。ちょっと、この人は注目しておこうかな、と思ったりしている今日この頃です。
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ただ、残念なのは、ヴォーカル重視なものとしては、これをダンスも歌唱も抜群に巧い訳ではないアイドル・グループ(ここではアイドルとの比較という意味ではなくて、全てのアーティストをひっくるめて)が歌っているということ。このような楽曲を作り歌うアーティストがもっと出てこなきゃいけないし、それをしっかりと探して、スポットライトを当てる目利きも必要だ。アイドルが歌ってはいけないということはないし、アイドル時分からクオリティの高い楽曲を持つことは素晴らしいのだが、“今、いい曲を聴きたかったらアイドルの曲を聴けばいいよ”という風潮がもし出来るとしたら、それは寂しいことかな、と。アイドルの曲も侮れないということに感化されて、さまざまなアーティストがそれに負けじとハイクオリティな作品を生み出す連鎖が起きればいいなと、切望するばかりだ。
以上です、キャップ。