*** june typhoon tokyo ***

高校日本代表 vs 大学日本代表 @神宮【侍ジャパン壮行試合】

  

 意義深い一戦となった、侍ジャパン壮行試合。

 8月30日から9月8日まで、韓国・機張郡の機張現代車ドリームボールパーク(Gijang-Hyundai Motors Dream Ballpark)で行なわれる第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップに出場する高校日本代表が、大学日本代表と対戦する〈侍ジャパン壮行試合〉を観戦。夏の甲子園終了直後ということもあって、平日月曜夜のナイトゲームに2万8千強の観客を集めた注目のカードは、それぞれの持ち味を出しながら、5対5の引き分けに終わった。

 大学日本代表の先発は全日本大学野球選手権を制した明大の森下(暢)。高校日本代表の先発は最速163キロを誇る注目の右腕、大船渡の佐々木朗希。やはり“佐々木見たさ”という心情もあり、一球ごとに歓声が沸く。顔見せ程度の1回限定登板だったが、法大・宇草のレフトフライの後は二者連続三振と非凡な才能を見せつけた。最速は156キロを計測。大きく左脚を振り上げるダイナミックなフォームからしなやかな反りで直球とスプリットなどの変化球を組み合わせ、なかなか初見では打つのは難しいだろう。ただ、ランナーが出てセットポジションからの投球(大きく振り上げるフォームを使えない時)が見られなかったのは少々残念。
 一方、森下も初回は最速151キロを含めて三者凡退に。2回に先頭の石川(東邦)にセンターへの二塁打を打たれた後、捕手の二塁牽制悪送球などエラーが重なり失点はしたものの、大学王者のエースの貫禄を示したピッチング内容だった。

 高校日本代表は2回から左腕・宮城(宜野座)が登板。4回表に石川、遠藤(東海大相模)、熊田(東邦)の3本のセンターへのヒットで1点を加え、2点リードとした4回裏、3イニング目となる宮城に、2打席目に入って次第にボールを捉え始めた大学日本代表が襲い掛かる。慶大・柳町のレフト線二塁打、中大・牧のレフト前ヒットと二人であっさり1点を返すと、一死2塁から東洋大・佐藤(都)がライト線へヒット。佐藤は二塁を狙うもアウトとなったが、牧が還って同点。さらに東海大・海野がレフトスタンドへ本塁打を放って、あっという間に3点を奪って逆転に成功した。

 高校日本代表も思い切りのいいスイングが奏功してか、すぐに再逆転とする。5回に横山(作新学院)のレフト前などで二死1・2塁とすると、この日2安打と当たっている石川が左中間へタイムリー二塁打を放って二者生還。勝負強さも持ち合わせた前評判に違わぬバッティングを披露していた。亜大の内間は打者5人に対して、被安打2、与四球1と2つのアウトしか取れなかったのは誤算だった。

 リードした高校日本代表は西(創志学園)の2イニング目となる6回、大学日本代表の先頭・牧に甘く入った変化球をレフトスタンドへ放り込まれて追いつかれると、7回表には東海大・山崎に2三振を含む三者凡退に抑えられ、流れが大学日本代表へ。だが、その裏にヒットやエラーなどで一死1・3塁のピンチを迎えるも、西からマウンドを引き継いだ左腕・林(近江)が九産大・児玉をショートへのダブルプレーに打ち取り、勝ち越しを許さない。

 9回表、高校日本代表は先頭の代打・武岡(八戸学院光星)がライト線への二塁打で出塁すると、犠打で一死3塁に。ここで山瀬(星稜)が、この回からマウンドに上がった苫小牧駒澤大・伊藤の150キロの速球に負けず、甲子園の試合さながらのスリーバントスクイズを決めて勝ち越し。終盤で1点ビハインドとなった大学日本代表だったが、一死から上武大・古川が振り逃げで出塁すると、暴投で二塁へ。続く筑波大・篠原がセンター前へ弾き返して同点とし、送球の間に二塁へ到達。直後にすかさず三盗を決めて、一気にサヨナラのチャンスを演出。苦しい状況となったが、この回2イニング目となる飯塚(習志野)は近大・竹村を三振に打ち取り、二死3塁に。1番・宇草は申告敬遠で歩かせて、二死1・3塁から児玉と勝負。最後はスライダーで見逃し三振を奪って、サヨナラを許さず。引き分けには終わったが、点を取ったら取り返すというシーソーゲームで、駆け付けた観客を十分に楽しませた試合となった。

 高校日本代表は、奥川(星稜)、前(津田学園)あたりが登板しなかったことを考えると、投手陣に層の厚さを感じさせる。短いイニングであれば、大学日本代表でもそう易々と打つのは難しい。佐々木は3人のうち2三振、宮城は高校日本代表の投手としては最長3イニングを投げ、被安打6、失点3となったが奪三振は5つ。飯塚に至っては打者9人に対して6奪三振(振り逃げ1含む)と、非常に高いレヴェルの駒を揃えた。懸念点を挙げるとすれば、継投のタイミングと立ち上がりか。特に先頭を無駄な四球で出塁させて、ピッチングの幅を自ら狭めるような展開に陥ってしまわぬよう、注意が必要だ。打線はやはりこの日も4番に座った石川が中心か。

 大学日本代表は海野や牧の本塁打でも分かるように、さすがに資質の高い選手たちが集った各大学リーグで切磋琢磨しているゆえ、少しでも気の抜いたボールやプレーをすると、スタンドインや長打、先の塁への機動力などで畳み掛けてくる。超高校級の高校日本代表と対峙するからこそ、改めて大学日本代表の底力を痛感。その意味で、高校日本代表は隙のない高いレヴェルを知り、大学日本代表は超高校級の選手たちの資質の高さに刺激を受けるという、実りある一戦になったといえるだろう。

◇◇◇

 応援席には、高校日本代表の3塁側には“美爆音”で有名な習志野と拓大紅陵の千葉県の高校の吹奏楽部が、大学日本代表の1塁側には早大、慶大、東大と東京六大学の応援団が試合前からスタンバイ。スーザフォンの数の多さもあって、3塁側からの応援は音量、音圧ともに迫力があり、一体感をもった演奏でこの侍ジャパン壮行試合に華を添えてくれていた。“魔曲”「レッツゴー習志野」も幾度となく流れ、“ブラバン甲子園”よろしく応援に期待していたファンも楽しめたのではないだろうか(ただし、観客者の座席を考慮して、応援団の席の配置をもう少し上部に、あるいはレフトポール側に寄せた方がよかったのではないかとも思う)。1塁側は、いつもは対峙しながら応援合戦をしている3大学各校の応援歌が同じスタンドからメドレーで流れてくるという、東京六大学リーグでは見られない貴重な光景も。(特に楽器の)動員数で押されているところはあったが(それと、高校日本代表を応援したかったが3塁側のチケットが取れず、やむなく大学日本代表の1塁側の席に座ったという人たちも少なからずいたはず)、高校とはまた違った応援の一端を見せることが出来たのは、良かったのではないか。実際の盛り上がりの光景は、東京六大学リーグを生で観戦して体感してもらいたいところだ。

◇◇◇

【侍ジャパン壮行試合】

2019年8月26日(月) 18:04試合開始 20:48終了 試合時間2時間44分
明治神宮野球場 入場者数 28,436人
球審  / 塁審 、、 / 線審(左) (右)

高 校 010 120 001 5
大 学 000 301 001 5

≪バッテリー≫
(高):佐々木、宮城、西、林、飯塚ー水上、山瀬
(大):森下(暢)、早川、村上、内間、佐藤(隼)、山崎、吉田、伊藤ー海野、古川

勝:
敗:
本塁打:
(大)海野(4回ソロ、宮城)、牧(6回ソロ、西)

◇◇◇

《高校日本代表》
1(中) 森 (桐蔭学園・3)
2(二)坂 下(智弁学園・3)=主将
3(一)韮 澤(花咲徳栄・3)
4(三)石 川(東 邦・3)
5(左)遠 藤(東海大相模・3)
  左 鵜 沼(東海大相模・2)
6(指)浅 田(有 明・3)
PH指 武 岡(八戸学院光星・3) 
7(遊)熊 田(東 邦・3)
8(捕)水 上(明石商・3)
  捕 山 瀬(星 稜・3) 
9(右)横 山(作新学院・2)
先発P 佐々木(大船渡・3)

佐々木(大船渡 ・3) 1  /12/03/03/0/2/0/0/0
宮 城(興 南 ・3) 3  /54/14/14/6/5/0/3/2
 西 (創志学園・3) 2 1/3/41/10/09/3/3/1/1/1
 林 (近 江 ・3) 0 2/3/07/02/01/0/0/1/0/0
飯 塚(習志野 ・3) 2  /40/09/08/1/6/1/1/0
※投球回数/投球数/打者/打数/安打/三振/四死球/失点/自責点

《大学日本代表》
1(左)宇 草 (法 大・4/常総学院)
2(遊)小 川 (国学院大・3/前橋育英)
PH遊 児 玉 (九産大・3/文徳)
3(右)中右 柳 町 (慶 大・4/慶應義塾)
4(二) 牧  (中 大・3/松本第一)
5(指)郡 司 (慶 大・4/仙台育英)
PR指 田 中 (亜 大・1/東海大菅生)
6(一)佐藤都 (東洋大・4/聖光学院)
7(捕)海 野 (東海大・4/関 西)
  捕 古 川 (上武大・3/久留米商)
8(中)丸 山 (明 大・2/前橋育英)
PH右 森下翔 (中 大・1/東海大相模)
PH三 篠 原 (筑波大・4/敦賀気比)
9(三)元 山 (東北福祉大・3/佐久長聖)
PH三 安 本 (法 大・4/静 岡)
PH中 竹 村 (近 大・4/神戸国際大付)
先発P 森下暢 (明 大・4/大分商)

森下暢(明 大・4/大分商)   2  /31/7/7/1/2/0/1/1
早 川(早 大・3/木更津総合) 1  /14/4/4/1/2/0/0/0
村 上(東洋大・3/智辯学園)  1  /20/6/6/3/3/0/1/1
内 間(亜 大・3/宜野座)   0 2/3/19/5/4/2/0/1/2/2
佐藤隼(筑波大・2/仙 台)   1 1/3/11/4/4/0/1/0/0/0
山 崎(東海大・3/明石商)   1  /12/3/3/0/2/0/0/0
吉 田(日体大・4/大 冠)   1  /13/3/3/0/1/0/0/0
伊 藤(苫駒澤大・3/駒大苫小牧)1  /18/5/2/1/1/0/1/1
※投球回数/投球数/打者/打数/安打/三振/四死球/失点/自責点

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