![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/ca/a3f6cfe5a3edd5c3e8408ffa0790160d.jpg)
夏の終わりと秋を感じる季節にもアーバンな夜を。
媚薬系シンガーとして注目され、近年はシーズン・リゾートな作品で話題を集める一十三十一の恒例のビルボードライブ公演。今年の5月にアルバム『CITY DIVE』に因んだステージを繰り広げた彼女だが、その続編となる〈~Surfbank & Snowbank~〉を開催。『CITY DIVE』に続く2013年の『Surfbank Social Club』と2014年の『Snowbank Social Club』をテーマにしたライヴに足を運んだ。
ちなみに、一十三十一のライヴ観賞記事は次のとおり。
・2014/03/24 一十三十一@Billboard Live TOKYO
・2014/08/31 一十三十一@Billboard Live TOKYO
・2015/10/26 一十三十一@Billboard Live TOKYO
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/8a/02b9de449d61402a6876083b3db50756.png)
バックバンドは後列左より冨田謙、南條レオ、ヤマカミヒトミ、小松シゲル、前列左にはトークボックスが設置され、右は奥田健介という布陣。ゲストにはKashif、BTB、PUNPEEと一十三十一サウンドにはなくてはならない人物が登場。特にKashifはギターにヴォーカルにと幾度となく活躍していた。
当初は〈~Surfbank & Snowbank~〉というテーマをどのようにまとめるのか解からなかった。冬のゲレンデをイメージした『Snowbank Social Club』の楽曲を夏から秋へと移り変わるこの季節に演奏しても特段問題はないが、夏の海のラヴアフェアを歌った『Surfbank Social Club』という対照的な季節の組み合わせだけに多少まとまりを欠くのかもと思ったが、杞憂に終わるどころか、ソフィスティケイトな一十三十一流アプローチでしなやかに季節の移ろいをクルージングしていった。
冒頭から白いワンピースドレスと赤いハイヒールという上品でコケティッシュな佇まいでハスキーと極甘の合間を縫うような声色を発しながら、フロアをスウィートでアーバンな空間に染め上げていく。声量で圧倒する訳でもなく、フェイクでテクニカルな部分を見せる訳でもない。いわゆるポップス・マナーで純粋に歌う歌謡曲から伝わるスタイルなのだが、ジワリジワリとそのムードに惹き込ませるのは、まさしく“媚薬”ヴォーカルの効果なのだろうか。可憐さと艶やかさが絶妙に配分された立ち振る舞いが、リッチな洒脱感を伴って、まさにアーバンな六本木の夜とリンクしていく。
早々にKashifを呼び出して夏らしい2曲「Prismatic」「Last Friday Night Summer Rain」をこなすと、「Lonesome Airport」を経て、二人目のゲスト、BTBへ。トークボックスを駆使したBTB参加の2曲目は冬仕様の「Park Suite」。ストールを巻いて夏からの季節の移り変わりをアピールすると、インタールードを利用して衣装チェンジ。先ほどの白いワンピースドレスの上に白のトレンチコートを身に付けて冬モードに。滑らかに夏から冬へ衣替えを成功させた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/ef/816132ff1c70bd4de785c5a3881e93e8.jpg)
『Snowbank Social Club』から「Frozen Horizon」「Winter Rouge Mellow」を披露して一気に映画『私をスキーに連れてって』の世界観へとバック・トゥ・80'sすると、3人目のゲストのPUNPEEがステージイン。これまでのシャレた空気にちょっぴりナンパなテイストを挿入するべく、キザなフロウでフロアの熱を高めていく。その余熱が冷めやらぬうちにPUNPEEのフリースタイルへ。最初は「オレはシャイだからしゃべるよりフリースタイルで」「一十三十一とフリースタイルでバトルで」という流れから、一十三十一が南條レオの下へ近づきマイクを差し出すと、南條が“ヒトミトイ、ヒトミトイ……”とラップ風に繰り返すという寸劇風を見せて笑わせたが、それを受けてPUNPEEがフリースタイルへ。ポップから“バウンス”へとリズムを変えて、ステージにメリハリをもたらしていた。
本編ラスト以降はKashifが再び活躍。アンコール後には黒のサングラスをかけて、ヴォーカリストとして一十三十一の横へ並んでのデュエット「羽田まで」を。「無事に羽田までいけるかしら」との一十三十一からの問いに、Kashifは「急がないと」と反応すれば、南條は「(Kashifが作ったこの楽曲は演奏するのが難しいので)もしかしたら蒲田(※)くらいまでかも…」と弱気発言。これに「蒲田はアーバンかしら?」と返すなど、これらのやり取りからはバンド・メンバーの息が合う理由の一つが窺えるよう。曲間で一十三十一とKashifが隣同士で“ボックス”を踏む姿にも微笑ましさを感じてしまう。
(※ 京急線で品川から羽田へ向かう途中に蒲田がある)
そして、Kashifが南條の左横の位置へ着き、サングラスを外してギタリストへと戻ると、『Pacific High / Aleutian Low』からの「夏光線、キラッ。」で幕。カーテンウォールが開き、背後に摩天楼の夜景を感じながらのサマー・グルーヴ・チューンは、文字通りカクテル光線の煌めきを具現化したようなスウィート&メロウな音空間を構築していた。
スタンディング必至の興奮でアドレナリンが暴発するようなライヴとは対極にはあるが、大人ならではの“嗜み”を持った遊びをしなやかに繰り広げるステージには、シャレた非日常空間体験とともにオーディエンスそれぞれが持つ“思い出”という琴線に触れる訴求力も。知らぬ間に一十三十一マジックの虜になる理由は、その疑似体験化なのかもしれない。
ここしばらくは本人曰く“人間活動”に入っていたという彼女。その期間の体験が次のアルバムに活かされるかもと話していたが、来年くらいには新しいアルバムを聴けることが出来そうだ。その時にはどんな“アーバン”をもたらしてくれるのか、楽しみに待っていたい。
◇◇◇
<SET LIST>
00 INTRODUCTION ~Surfbank Social Club~
01 Passion Girl(*1)
02 Dolphin(*1)
03 Prismatic(with Kashif)(*1)
04 Last Friday Night Summer Rain(with Kashif)(*1)
05 Lonesome Airport(*1)
06 Feel Like Bayside Love(with BTB)(*1)
07 Park Suite(with BTB)(*2)
08 INTERLUDE ~Snowbank Social Club~
09 Frozen Horizon(*2)
10 Winter Rouge Mellow(*2)
11 Night Flight Telephone Call(with PUNPEE)(*2)
12 Freestyle(PUNPEE)
13 Endless Summer Holiday(with Kashif)(*1)
≪ENCORE≫
14 羽田まで(duet with Kashif)(*3)
15 夏光線、キラッ。(with Kashif)(*3)
(*1)song from album『Surfbank Social Club』
(*2)song from album『Snowbank Social Club』
(*3)song from album『Pacific High / Aleutian Low』
<MEMBER>
一十三十一(vo)
奥田健介(g)
南條レオ(b)
小松シゲル(ds)
ヤマカミヒトミ(sax,fl)
冨田謙(key)
Special Guest:
Kashif(g,vo)
BTB(talkvox)
PUNPEE(vo,rap)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/cd/89a007f013c7742ef63eff3e11fe5b39.jpg)
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