まいど!にゃんこふです。ちょっと間があきましたが、今回は不思議な話「A君のアパート」編その②です。
古いアパートですが、窓にはアルミサッシがはまっています。しかし、ここまでの防音や遮音効果があるとは思えません。
ある日A君はコンパに参加、深夜の帰宅となりました。そのまま寝てしまおうと思ったのですが、ちょいと小腹が空いていたのでカップラーメン(あ、今ほど種類は多くないですが、この頃結構あったんですよカップ麺)でも食べようとやかんに水を入れガス(プロパン)コンロに着火しました。ラジオのスイッチを入れ、布団を敷きました。しかし、これがいけなかった・・急激に襲いくる睡魔に抗う間もなく、布団に突っ伏して眠り込んでしまったのです。
左足を跳ね上げ、上半身は完全に水平の状態。後は重力のなすがまま頭から落下するのみ。もっともこの状況説明はあくまで酩酊状態だったA君の話ですからね(笑)まあ、足を滑らせたのは事実なんでしょう。
A君がこの部屋に住み始めたのは大学入学したのとほぼ同じ、約1年半前程になります。
入居当初から「ん?」と思う事はいくつかあったらしいのですが、A君は特に気にする事もなく暮らしていました。
そんなある日の事。
その日は講義も午後からという事で朝寝を決め込んでいたA君ですが、突然突き上げるような振動に目を覚ましました。
「じ、地震??」
慌てて窓を開けました。そこに見えたのはアパートの敷地に隣接する古い倉庫が解体される現場でした。重機がアームを使って倉庫の壁を壊しています。立ちのぼる土埃とかなり大きな重機に駆動音。A君は窓辺に座ってタバコを一服しながら解体現場を眺めていましたが、土埃と騒音に窓を閉めました。
「え?」
窓を閉めた途端、それまで聞こえていた騒音がすっと消えたのです。いえ、消えたというよりも騒音がどこか遠くから聞こえるレベルになった・・という事らしいのですが。
A君は不思議に思いながら窓の開閉を繰り返しました。やはり開けるとうるさく、閉めると静か・・という状況だったのです。
古いアパートですが、窓にはアルミサッシがはまっています。しかし、ここまでの防音や遮音効果があるとは思えません。
窓を閉めて寝床に戻ったA君。しばらく考えてましたが、すぐに布団に潜り込むのでした。
A君はおおらかで些事を気にしない人間なのですが、こんな体験をしてもそこは変わらなかったようです。
A君曰く。
「まあ、世の中いろいろあらあな」
だそうです。
A君の不思議な体験はこの後も続きます。
ある日A君はコンパに参加、深夜の帰宅となりました。そのまま寝てしまおうと思ったのですが、ちょいと小腹が空いていたのでカップラーメン(あ、今ほど種類は多くないですが、この頃結構あったんですよカップ麺)でも食べようとやかんに水を入れガス(プロパン)コンロに着火しました。ラジオのスイッチを入れ、布団を敷きました。しかし、これがいけなかった・・急激に襲いくる睡魔に抗う間もなく、布団に突っ伏して眠り込んでしまったのです。
ほぼ熟睡していたA君でしたが、突然「かあんっ!」という鋭い音が耳元に響き飛び起きました。それは金属的な不快な音ではなく、A君曰くよく乾燥した木の板・・そう、木鐸(ぼくたく)のような音だったそうです。訳が分からぬまま起き上がると異臭が!!そう、沸騰したやかんからお湯が吹きこぼれてガスの火を消してしまったのでした。
「や、やべっ!」
慌ててコンロの栓を閉め、玄関ドアと窓を全開にしました。
吹き抜ける風のお陰で、しばらくするとガスの匂いも消えたのです。
すっかり酔いも覚め、布団の上に座り込むA君。いつもの癖でタバコを手に取りますが、慌ててやめました。
「でも、あれ何の音だったんだろ?」
ラジオはスイッチが入っていますが、深夜なのでボリュームは絞っており、目が覚めるような音量ではありません。
もしあの音がなかったら、ガス漏れで事故を起こしていたかもしれない…そう思うと思わずブルッと身震いするA君なのでした。
それからしばらく経ったある冬の日。
再びコンパで盛り上がって深夜の帰宅となったA君。夕方近くに降った雪があちこちに白く残っていました。アパートの古い鉄階段も少し雪があります。それに深夜なので音を立てぬように慎重に一段一段昇っていくA君。
が、そこは酔っ払い(笑)最後の一段で足を滑らせてしまいました。
左足を跳ね上げ、上半身は完全に水平の状態。後は重力のなすがまま頭から落下するのみ。もっともこの状況説明はあくまで酩酊状態だったA君の話ですからね(笑)まあ、足を滑らせたのは事実なんでしょう。
このままでは怪我どころの話ではなかったでしょうね。
冬空を見上げながら自由落下が始まろうとしたその時、誰かが(何かが)A君の肩と背中を支えてくれたのです。
ガシっという感じではなく、ふわあって感じだったそうです。体勢を取り戻したA君は階段最上段の手摺りに両手でしがみつきました。さすがに酔いの覚めたA君、慌てて周囲を見渡し「命の恩人」を探しましたが、誰もいませんでした。
つづく