原っぱ夕景

最近いろんな事が妙に懐かしくなった昭和生まれのおっさんの埒もない独り言にお付き合い下さい。

暗闇でドキドキ その⑥ The Rocky Horror Picture Show

2022-04-30 21:58:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。

ロッキーホラーショーのサントラ盤探しを開始したにゃんこふですが、いきなり躓いてしまいます。

今から40年前というとまだレコードの時代。商店街なんかにもレコード屋が普通に営業してましたね。
まずは手近な店から始め、とにかくレコード屋を見つけたら飛び込んで探しました。
当時住んでた阿佐ヶ谷はもとより、中央線沿線の高円寺、中野、荻窪、吉祥寺、新宿…学生としての地元であるお茶の水、水道橋、神保町など、新譜を扱う店はもちろん、中古レコードや輸入レコードの専門店まで、もう何十軒回ったか憶えてない位です。
輸入盤の専門店は我ながらいい考えだと思ったのですが、回った店はほぼロックのレコードが中心。いかにロックミュージカルとは言え、さすがに映画音楽は畑違いだったようです。

しかし、若かったとは言え、たった1枚のレコードの為に、よくもまああんなに動き回れたもんです。
なにしろインターネットなどない時代ですからね〜欲しい情報を集めるにしても限界がありました。
そこでたどり着いたのが情報誌「ぴあ」。当時はまだ月刊誌だったかな?
映画、演劇、イベント等の情報はこれ1冊で間に合う便利な雑誌でした。
この雑誌の欄外にはネタコーナーの「はみだしyouとぴあ」とか、読者情報交換コーナーみたいなのがありまして、そこへ投稿した訳です。

「映画ロッキーホラーショーのサウンドトラックレコードを探しています」

そして、私の投稿は運良く次の号に掲載されました。
すると…その翌々日からハガキや封書が続々と送られてきました。
「ぴあ」恐るべし!

総数で60通前後だったと記憶していますが、その多くが「私も探しています!手に入ったらダビングお願いします!」でした(笑)中にはカセットテープ同封の封書もありました。

「あのね、私まだ現物を見た事もないのよ…」と苦笑してしまいましたが、もちろん、いくつかの有力情報も頂きました。

「青山の鈴丹裏の○○という輸入雑貨の店の壁に飾ってありましたよ」
「渋谷の東邦生命ビルのSUMIYAに行かれてみては?」

実は、この2通以外にはあまり現実的な情報はありませんでした。
中でも驚いたのはレイトショーでロッキーホラーを上映しているNYの映画館の住所を書いた手紙があった事。

「この映画館、または周辺のレコード屋なら必ず売ってるはず。行って私の分も買って来て下さい」

あのね…私は仕送りなしでバイト掛け持ちしてる学生なの、NYどころか国内旅行さえまともに行った事がないんだぞ、ふんとにもう!

それはさておき、入手した情報を元にまずは青山へGo!

当時すでに日本有数のお洒落タウンだった青山界隈、上京1年足らずだった私はこの街を歩くだけで妙に緊張したのを憶えてます。
コソコソとまるでゴキブリのように(笑)壁伝いに鈴丹前から脇道へ。
なんの店だか分からないけれど、間違いなくお洒落な感じの店が道の両側に並んでいます。ドキドキしながら歩いていると情報にあった店を見つけました。

雑貨屋との話でしたが、外観からは何を売っているのか全く想像できません。
窓越しに店内を窺う私の姿は、側から見ればさぞ怪しく見えた事でしょう。それでも勇気(?)を振り絞って店の扉を開けたのでした。

なんというか、それまで見た事のないような物が店中に溢れています。
今なら特に珍しくもない品揃いなのでしょうが、当時の私の目には紛れもなくキラキラ輝くお洒落なモノに映りました。

いやいや、目的は件のレコードなのだ!気を取り直して情報にあった「壁にたくさんの輸入盤のLPレコードがディスプレイされており、店奥左にあるレジの後ろ…」に従ってレジを目指して足早に歩を進めました。
レジの所に座って雑誌を見ていたお姉さんが驚いたように立ち上がったのは、きっと私から出ている妙な気配を感じたからでしょうね(笑)。

しか〜し、私は発見していたのです。立ち上がったお姉さんの右肩辺りに見えた1枚のレコードを!!!

to be continued 



猫島「小倉北区藍島」のこと

2022-04-10 21:03:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。

趣味と言うのもおこがましいんですが、釣りが好きだったりします。
と言っても、釣り船で沖に出たり、瀬に渡るなんて本格的なものではありません。
近場も近場、家から20分程度の距離にある小さな漁港の防波堤で、4〜5時間小魚に遊んでもらう程度の釣りです。
それでも一時期とある島に渡って(と言っても乗船時間は20分弱です)釣りを楽しんでました。

島の名は「藍島(あいのしま)」。
北九州市小倉北区にある小さな島です。折からの猫ブームも相まって一時「猫島」として注目された島でもあります。

でもまあ、なんと言うか…個人的な見解ですが、漁港と呼ばれる場所には多かれ少なかれ猫が居着いているものです。まして小さな島の漁港なら尚更の事。
それに、漁具に悪さをするネズミを捕ってくれる猫は、決して邪険にされる事もなく漁師さんにも大事にされてますからね。
漁船から水揚げされる魚のおこぼれ貰ったりしてるので、漁港の猫は町の野良猫に比べて、体格も毛艶も良かったりします。

でも、数が増え過ぎてしまうと、やはり弊害を生む事になります。「藍島」でも猫の保護団体が入り、増え過ぎを抑制する為に一定数の雌猫に対して避妊処置がとられたようです。その詳細についてはよく知らないのですが、5〜6年前に行った時は漁港周辺で見かけたのは10匹位でした。

日曜は休み!と言う仕事ではないので、釣りに行くのは平日なのですが、それでも昼過ぎに着く連絡船には猫さん目当ての人が結構乗ってました。
皆さん猫さんの餌や猫じゃらし的な物を手に笑顔で連絡船から降りてきます。
多分私も同じような顔してたんだろうな(笑)

お迎えに出てくれたのは3匹位だったかな。連絡船の待合所周辺は、この猫さん達の縄張りなんでしょうね。

漁港から釣り場となる防波堤への道にもポツポツと猫さん達がいます。
皆んなフレンドリーで呼べば寄って来てくれますし、餌の入った袋をかしゃかしゃやると鳴きながらダッシュでやって来ます。
主な釣り場となる防波堤にも数匹いましたね。ここらにいる猫さんは、キャットフードよりも釣り人の獲物が目当て。
小アジなんかを放ってやると頭からバリバリ食べちゃいます。少し大きめののクロ(メジナ)なんかをやると、その場では食べないで持って帰ったりするんですよ(笑)
サクラ耳なので仔猫が待ってるって訳じゃないと思うのですが、やっぱり大きな魚は自分ちでゆっくり食べるんでしょうね。

あ、そうそう漁港で釣りしてると猫さん以外にもある生き物との出会いがあります。
それは鳥。いいえ、雀や鶺鴒(セキレイ)みたいに小さくて可愛い鳥じゃありません。

その名は「青鷺(アオサギ)」。
この鳥に遭遇するのは猫島じゃなくて、ホームグラウンドの漁港なのですが、初めて見た時はとにかくその大きさに驚きました。
姿を現すのは釣りを始めてしばらく経った頃。小さな鯵がぼつぼつ釣れ始めると、バサバサッと大きな羽音と共にやって来ます。
釣れた魚を直に狙うような事はありません。大体2m位離れた所にじっと立ってるんです。小アジを投げてやるとだだっと駆け寄って、基本頭から丸呑み。そして呑み終わると(笑)またキープディスタンスして、次の魚をじっと待ちます。
あまり釣れない時間が続くと「けっ下手クソめ」てな感じで別の釣り人の所に飛んで行きます。
まあ、攻撃(笑)してくるような事は無いのでいいのですが、後ろにじっと立たれてると、それなりのプレッシャーを感じてしまいます(笑)

猫に癒され、鳥に圧をかけられ、足に這い上ってくるフナムシに悩まされながらも「一生幸せでいたかったら釣りをしなさい(釣りを覚えなさい)」という格言を信じて、今日も釣りに行くにゃんこふなのでした。

ヒーローはみんなおじさん?

2022-04-09 21:49:39 | 日記

まいど!にゃんこふです。

最近の和製のヒーロー達って皆んな若いイケメンさん達ですよね。とある有名シリーズなんかは、若手俳優の登竜門なんて呼ばれてるそうで。事実、あのシリーズで主役を張った俳優さんの多くが第一線で活躍する人気俳優になっているみたいです。


と、前置きはさておき、今回は私の子供時代、つまり昭和30年代後半〜昭和40年代前半のヒーローについての思い出です。


まず当時放映されてた(再放送含む)子供向けドラマをざっくり並べてみましょうか。

ウルトラマン、ウルトラセブン、マグマ大使、キャプテンウルトラ、ジャイアントロボ、仮面の忍者赤影、神州天馬侠、忍者部隊月光、隠密剣士、怪傑ハリマオ、まぼろし探偵、月光仮面、少年ジェット、宇宙Gメン、ナショナルキッド、遊星王子、鷹の羽根、竜巻小天狗

同世代の方が見たら○○が抜けてるとか××はどうした?なんて声が聞こえてきそうですが、あの頃は全国一斉に番組が始まる事って結構めずらしかったんですよね。


愛読してる漫画本でテレビ化決定って情報が載ってても、放映される地域とそうでない地域があったんですよ。

だから、大人になって初めて知った昭和の特撮ヒーロー物って結構ありましたよ。七色仮面とか海底人8823(ハヤブサ)、魔神バンダー、ジャガーの眼、アラーの使者、なんかがそうですね。


七色仮面なんてお祭りの縁日に出るお面屋さんでよく見かけてたんですが、元々見たこと無かっただけに「なんだ、この金色のパイナップル()みたいなのは?」なんて思ってましたね。


80年代半ばだったでしょうか、テレビの懐古ブームみたいなのがあって、昭和のヒーロー番組もよく取り上げられてました。初めて目にするヒーロー達も多く、興味深く観てましたね。


ただ、その取り上げ方は少し嫌でした。だって、若い観客を集めて昔の特撮の稚拙な部分を笑うように見せたり、ストーリー展開を小馬鹿にしたり。なんだかそれをリアルタイムで夢中になって観てた自分達が笑われてみたいで…ちょっと考え過ぎですかね()


最初の話題に戻りましょう。

平成令和のイケメンヒーローに対して、昭和30年代40年代ヒーローは「おじさん」が多かったように思います。

月光仮面なんて主題歌で「月光仮面のおじさんは〜♪」って歌ってましたし。


また、主役を演じてた俳優さん達も少年や青年である事は少なくて、20代後半〜30代前半だったのではなかったでしょうか。
10歳前後の子供の目から見たら間違いなく「おじさん」ですね。そんなおじさん達がみんながピンチに陥った時、高らかな笑い声と共に現れて悪を倒して颯爽と去って行く。それが毎回お約束のように展開してても、飽きる事なくテレビに齧り付いてました。
それは「自分」=「子供」が怖い目に遭った時、きっと「おじさん」=「大人」が助けてくれるという安心感に繋がっていたからじゃないでしょうか。もちろん当時はそんな事を考えもせずに、ただただブラウン管の中で繰り広げられる勧善懲悪の活劇に胸を躍らせてましたが()


当時の私が現在のヒーロードラマやアニメを観たら、きっと複雑なストーリー展開や派手な演出に目を回してしまうでしょうね()


不思議な話 金魚その②

2022-04-01 20:50:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。
さて、不思議な話の続きです。また長いですが、お付き合いいただければ嬉しいです。

件の空家からの帰り道、金魚をどちらが飼うかK君と話しました。
我が家は…もう決まってます。
「世話もしないのに生き物拾ってくるな!」多分親にそう言われてしまいます。
K君ちには以前お兄さんが飼っていた熱帯魚の水槽やエアポンプなんかがあるとか。さすがお金持ち。という訳で金魚はK君ちへ。

翌日から登下校の時は金魚の話をしてました。お兄さんが早速水槽を立ち上げてくれたそうで、金魚も元気に泳ぎ、餌もよく食べるそうです。
「やっぱ一匹だと寂しいから今度○○池に魚採りに行こうぜ」
そんな話をしたのを憶えてます。

それから1週間程経った日曜の朝、K君がうちに来ました。手にはあの時のコーヒー瓶、中で金魚が泳いでいます。
私はK君に「どうしたの?」と尋ねました。するとK君は「金魚を元いた池に戻して来て欲しい」と言い、私に金魚の入った瓶を押し付けました。そして「後で家に来て」と言い残すと、そのまま帰って行きました。

私は状況が全く理解出来ませんでしたが、日曜と言っても特に予定もなかったので、言われた通り金魚をあの空家の池に返しに行きました。そしてその足でK君ちに向かったのでした。
エレベーター(!)で5階に上がり、ドアの脇に付いたボタンを押しました。すぐにK君が出て来て部屋に向かいました。
いつ来てもすごいな〜って思うK君の部屋。我が家の兄と供用の三畳間とは大違いです。広い窓から小さな我が家を見ていると、K君がお盆にカルピスとお菓子を載せて戻って来ました。氷が浮かんで冷たいカルピスを飲みながらK君に金魚の件を尋ねました。

以下はその時K君が話したものの要約です。

あの日金魚はすぐに水槽に移されました。早速近所の小鳥屋さんで金魚の餌を買い、金魚にやるとよく食べたそうです。餌をやり終えて机にむかっていると、そばに誰かがいるような気配を感じました。でも、そちらを見てもそこには水槽があり、金魚が泳いでいるだけです。その時は、水槽のエアポンプのモーター音だと思い、K君は視線を机の上の本に戻しました。
そして、この夜からK君は不思議な夢を見るようになったのです。

K君はなだらかな起伏のある草原に一人立っていました。目の前には夕焼け空が拡がってとてもきれいな景色です。その景色に見入っていると、ポンとK君の肩に誰かが手を置きました。驚いて横を見るK君。そこには見た事のないおじいさんが立っていました。白っぽい着物を着ているのですが、夕陽を受けて赤く見えます。
おじいさんは、どこか悲しそうな顔でK君を見ていましたが、何か言おうと口を開けたと同時にK君は目が覚めました。

その夜、K君は再びあの夕陽の草原に立っていました。おじいさんはK君の肩に手を置き隣に立っています。K君はおじいさんの顔を見上げました。おじいさんは何か話しているようですが、その声は聞こえません。
K君が何を言っているのか尋ねようとした途端に目が覚めます。

そしてその夜、K君はまたあの場所に立っており、隣にはおじいさんがいます。「おじいさん、何を言ってるの?聴こえないよ」今度はちゃんと言えたK君。
するとおじいさんは目から大粒の涙をぽろぽろこぼしながら、震える指先で前方を指差しました。その方向に目をやった瞬間、K君は目を覚ましました。

そして夜、K君はおじいさんの指差す方向に目を凝らしました。夕陽を受けてキラキラ光る湖が見えました。
「うん、きれいだね」おじいさんにそう言うと、頭の中に柔らかい声音が聞こえました。K君は、なぜかその声がおじいさんのものだと分かりました。
「ああ、きれいだろう。私はあそこで生まれ育ったのだよ。親も兄弟も友達もみんなあそこで生まれ育ち、そして死んでいった。残ったのは私だけになってしまったよ。でも、寂しい事なんてない。耳をすませば皆の声が聞こえるんだ…」何かを懐かしむように目を閉じたおじいさんの目からは、また涙が流れています。
「帰らないの?」K君は思わず聞きました。おじいさんが何か言おうとした時、K君の目が覚めました。
ベッドに起き上がり、K君は夢の事を考えます。さすがに連続ドラマのような夢を見続けているのですから、色々と考えてしまいます。なにより不思議なのは、夢の事をとても鮮明に憶えている事です。普通の夢は起きた瞬間に忘れてしまう事が多いものなのに…。「起きなさい、ごはん出来てるわよ」お母さんの声で身支度をするK君。ふと水槽に目をやると、金魚と目が合いました。
K君は水槽の横の餌の袋から餌をひとつまみ水面に落とします。ひらひらと近づき餌を食べ始める金魚。

その夜、同じ場所、同じ夕陽、同じおじいさん。頭の中に聴こえるおじいさんの声。おじいさんの顔を見ると、口は聴こえる内容とは関係ないように動いています。ぱくぱく…ぱくぱく…。「なんか金魚みたいだな」K君がそんな事を考えた時、おじいさんの声がはっきり聴こえてきます。「…もうじき仲間達の所に行かなければならない…」K君は驚いて聞き返します。「それって死んじゃうって事?!」おじいさんは小さく頷きました。そしてまた口をぱくぱくすると頭の中に声が聴こえます。
「死ぬ?そうだな、でも、もう一人でいたくない。早く仲間の所に行きたい…だから…あそこに帰らなければ…」おじいさんは夕陽に染まった湖を指差しました。
湖を見たK君は、ある事に気付きました。「あれ?あの湖の形って…」ここで目覚めたK君。
水槽を見やると金魚がこちらを見つめています。
K君は水槽横においてあったコーヒー瓶を取り上げました。

話を聞き終えた私は大きなため息をつきました。
「不思議な話だね…」そんな言葉しか出ませんでした。
「うん、でも全然怖い夢じゃなかった。きっと金魚はあの池に帰りたかったんだと思う。夢の中のおじいさんが指差した湖はあの池と同じ形だったもん」
「ふーん、でもなんで自分で行かなかったの?」
K君は少しバツが悪そうに言いました。
「にゃんこふってお化け屋敷とか肝試しとか全然平気じゃない。だから…」
「あ、Kやっぱり怖かったんだ!ひでー」
笑いながら二人は何もいない水槽を見ました。

長くなりましたが、これが子供の頃に体験した金魚の思い出です。

後年、学生時代に児童心理学をかじってた友人にこの話をしました。
「まずこのKって子はいいとこの子だよね。多分躾も厳しかったんじゃないかな。それで他人の家の池から金魚を持ち帰った、言い換えれば盗んでしまった事にプレッシャーを感じてた訳だ。それが夢に現れたって事だと思うよ」
「じゃあ俺が金魚持って帰ってても、あんな夢をは見なかったって事?」
「うん、お前にはそんな感受性はない」
ひでー(笑)