東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

春日権現験記絵-甦った鎌倉絵巻の名品-(三の丸尚蔵館)

2018年09月08日 | 展覧会(日本美術)
「春日権現験記絵-甦った鎌倉絵巻の名品-」(修理完成記念)
2018年8月18日~10月21日
宮内庁三の丸尚蔵館


春日権現験記絵」(かすがごんげんげんきえ)。
 
   鎌倉時代、1309年の年記を持つ付属の目録によって、制作時の事情が明確である。
 
   全20巻、その一場面も欠けることなく、ほぼ完全な姿で伝わっている。
   さらに表紙などの装丁、収納箱なども含め、総てが制作当初の姿を伝えている。
 
   本格的な大和絵技法による、卓越した精緻な描写。
   紙ではなく絹に描かれた絵巻で、顔料なども最高級のもの。
 
   1309年春日社へ奉納され、春日大社の重宝として厳重な管理を受けて伝えられていたが、江戸後期に流出、その後勧修寺経逸が収集し、鷹司家の所有となった後、明治8年と明治11年の2度に分けて皇室に献上されたという経歴。
 
   日本美術界屈指のやんごとない絵巻であるらしい。
 
 
 
   その絵巻が平成16年度から13ヶ年をかけて本格的な保存修理を実施、その完成を記念した展覧会。
 
   さすがに全巻全場面の公開がなされるわけではないが、前後期制(9/18または9/21に入れ替え予定とのこと)で次が展示される。
 
【前期】
 
巻第2   第1段(3段中)
巻第3   第3〜4段(5段中)
巻第7   第4段(5段中)
巻第8   第7段(7段中)
巻第15   第3〜4段(6段中)
巻第16   第1段(4段中)
巻第19   第1〜4段(5段中)
 
【後期(予定)】
✳︎ 配布のリーフレットによる。
   ただし、実際には公開される段は絞られると思われる。
 
巻第4   第3〜5段(6段中)
巻第5   第1〜4段(5段中)
巻第9   第1〜3段(3段中)
巻第12   第3段(5段中)
巻第13   第1〜6段(6段中)
巻第14   第6段(6段中)
巻第17   第1〜3段(3段中)
巻第18   第1〜5段(5段中)
 
  巻数レベルでは、20巻中15巻、段数レベルでは93段中最大38段の公開となる。
 
 
 
「春日権現験記絵」を見る機会が近年あったなあ、と確認すると。
 
2017年東京国立博物館「春日大社   千年の至宝」展
巻第20
巻第12
 
2017年サントリー美術館「絵巻マニア列伝」展
巻第9
 
   いずれもほぼ素通りしている。ほぼ観ていない。いや、東博の展覧会では、鹿マークに誘われて、鹿の描写だけは確認した記憶がある。
 
 
   前期訪問の今回。印象に残るのは、
 
巻第15第4段の鹿
巻第19第1段の雪山
   と、それに続く控えめな血まみれ+足切断の場面
 
 
 
   展示室内写真パネルで気になったのは。
 
巻第7第2段の、首元に蚤が飛び、痒くて眠れない犬。
 
   残念ながら今回の公開対象外であるようだ。
 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。