建国300年 ヨーロッパの宝石箱
リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展
2019年10月12日〜12月23日
Bunkamuraザ・ミュージアム
2012年の国立新美術館「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の至宝」展以来の同家コレクション展。展覧会名が前回とほぼ変わらない。
【本展の構成】
第1章 リヒテンシュタイン侯爵家の歴史と貴族の生活
第2章 宗教画
第3章 神話画・歴史画
第4章 磁器-西洋と東洋の出会い
第5章 ウィーンの磁器製作所
第6章 風景画
第7章 花の静物画
個人的には3点のクラーナハ作品。
クラーナハ(父)
《イサクの犠牲》
1531年
遠景の崖の上、小さく描かれるアブラハムとイサクと天使と子羊の劇的な場面。前景に大きく、退屈している従者2人とロバ。このとぼけた感じが魅力。
なお、本主題には別バージョンも存在する。
(参考図版)クラーナハ
《イサクの犠牲》
1530年、バンベルク新宮殿
クラーナハ(父)
《聖エウスタキウス》
1515-20年頃
磔刑像の鹿も、馬も、犬たちも。動物の可愛らしさで魅せる。
クラーナハ(父)
《聖バルバラ》
1520年以降
聖書を読む聖女の衣装の赤、背後のアトリビュー塔。
その他印象に残る作品。
ジロラモ・フォラボスコ
《ゴリアテの首を持つダヴィデ》
1670年頃
1605年ヴェネツィア生、1679年パドヴァ没のイタリア・バロック期の画家。
ゴリアテの首を肩でかつぐ様が印象的な、ティツィアーノ風の絵。
ルーベンス
《聖母を花で飾る聖アンナ》
1609-10年頃
マリアとマリアに花冠を与えるアンナ、2人の凛とした姿が印象的。プットーたちは冠用の花を集めている。画家のローマ留学時代の古代彫像研究成果を反映させたとされる。左手の男性をヨアキムと見るかヨセフと見るかで作品の舞台が変わるらしい。前者に一票。
シモーネ・カンタリーニ
《少年の洗礼者聖ヨハネ》
制作年不詳
1612年ペーザロ生。1634年頃からボローニャのグイド・レーニ(1572-1642)の工房で学ぶが、衝突を繰り返し、1637年には工房を出る。レーニの死後、ボローニャに戻って工房を構え成功する。1648年ヴェローナ没。
若いヨハネの鑑賞者に向けた視線と正面に顔を向ける子羊が印象的な、カラヴァッジェスキ風の絵。
全て、第2章「宗教画」からの選出。私の好みが表れた。