臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念
禅-心をかたちに-
2016年10月18日~11月27日
東京国立博物館
(株)ウィンダム様からのご案内、先着順申込みに間に合い、11/8の『チームラボ新作発表@禅展・夜間特別内覧』に参加させていただいた。
到着が遅くなり、申し訳ないけれど、「禅-心をかたちに-」展のみの鑑賞とさせていただいたので、同展を展示室内の写真とともに紹介させていただく。
★博物館より特別に撮影の許可を頂いております。
会期が短めの本展、油断していたら後期入り、前期は見逃してしまった。
今回のお目当て作品は、2点の絵画作品、雪舟筆の国宝《慧可断臂図》と雪村筆の重文《呂洞賓図》。
行ってみると、上記2点以外にも、絵画作品だけでも魅力的な作品が多数。また、絵画作品のみならず、高僧の肖像(絵画、彫刻)や墨蹟、仏像、工芸など、いわゆる「禅の名宝」が数多く並んでいる。
質・量ともに見応え充分。加えて禅宗自体への興味があれば、とんでもなく大変な鑑賞体験となるであろう。
第一会場の入口、早速正面に見えるのは、
第一章 禅宗の成立
《達磨像》
白隠慧鶴筆
江戸時代・18世紀
大分・萬壽寺蔵
高さ192cmの迫力。巨大な顔に巨大な目。床の三角形のスポットライトにも注目(近くに丸と四角形のスポットライトもある)。
その右奥に見えるのは、
国宝《慧可断臂図》
雪舟等楊筆
室町時代・明応5年(1496)
愛知・齊年寺蔵
自ら切り落とした左手を差し出して入門を乞う。二人の困ったような表情がたまらない。赤色が2箇所、慧可の口と左手。
この2点の作品で既に参ってしまう。
第二章 臨済禅の導入と展開
1)京都・東山建仁寺
2)京都・慧日山東福寺
3)鎌倉・巨福山建長寺
4)鎌倉・瑞鹿山円覚寺
5)京都・瑞龍山南禅寺
6)法燈派
7)幻住派
8)京都・龍宝山大徳寺
9)京都・正法山妙心寺
10)富山・摩頂山国泰寺
11)京都・霊亀山天龍寺
12)滋賀・瑞石山永源寺
13)山梨・塩山向嶽寺
14)京都・萬年山相国寺
15)静岡・深奥山方広寺
16)広島・御許山佛通寺
17)一休宗純
18)京都・黄檗山萬福寺
写真は、京都・慧日山東福寺コーナー。
真ん中の作品は、顔アップの写真パネルの存在が注目!であることを示す、国宝《無準師範像》南宋時代、1238年。
こんな感じの展示が、18回繰り返される。こんな感じが第一会場スペースの大半を占める。
歴史的価値に加えて、作品自体の魅力もあるのだろう。本展の肝かもしれない。
が、申し訳ないけれど、気持ちが先に、とっつきやすい作品に進みたがっていたので、気持ちのままに先に進む。
第二会場入口。
奥は、本展には出品されていませんが、11/13までなら三井記念美術館で観れますよ、の作品の図版。
第三章 戦国武将と近世の高僧
信長や秀吉を始めとする戦国武将の肖像と近世の高僧の肖像が並ぶ。
写真の一番右は、秀吉像。
とその対面に、
1)白隠の作品5点
右から
《達磨像》静岡・清美寺
《隻手布袋図》東京・永青文庫
《慧可断臂図》大分・見星寺
右から
《慧可断臂図》大分・見星寺
《乞食大燈図》東京・永青文庫
《円相図》東京・永青文庫
見星寺の作品は新発見で、本展が初公開とのこと。これから左手を切り落とさんとする慧可、次の瞬間は見たくない。
2)仙厓の作品3点。撮影可は1点のみ。
《花見図》東京・永青文庫。「楽しみハ 花の下より 鼻の下」。
これら絵画作品計8点の魅力に2回目の参ってしまう。
第四章 禅の仏たち
仏像作品の並ぶコーナー。
今回は、絵画作品を優先することとし、先に進む。
第五章 禅文化の広がり
名品がずらり。その充実ぶりに完全に参ってしまう。
以下記載する作品は、私が主に観たもの。サイズの大きい作品が多い。
国宝《油滴天目》
中国 南宋時代・12~13世紀
大阪市立東洋陶磁美術館
〈写真の奥〉
国宝 《玳玻天目》
中国 南宋時代・12世紀
京都・相国寺
写真の右
国宝《瓢鮎図》
大岳周崇等三十一僧賛 大巧如拙筆
室町時代・15世紀
京都・退蔵院蔵
写真の左
重文《呂洞賓図》
雪村周継筆
室町時代・16世紀
奈良・大和文華館蔵
《瀟湘八景図帖》
雪村周継筆
室町時代・16世紀
個人蔵
8面中6面(後期は、洞庭秋月、平沙落雁、江天暮雪の3面)
写真の奥に見える作品。
重文《竹林猿猴図屛風》
長谷川等伯筆
6曲1双
安土桃山時代・16世紀
所蔵京都・相国寺
写真の右手の作品が、
重文《大仙院方丈障壁画のうち 四季花鳥図》
狩野元信筆
8幅
室町時代・永正10年(1513)
京都・大仙院
その向かいには、
重文《龍虎図屛風》
狩野山楽筆
6曲1双
安土桃山〜江戸時代・17世紀
京都・妙心寺
写真の右隅に写っているのは、プライスコレクションの若冲2点。特別出品の扱い。特別扱いなのですね、同コレクションは。
伊藤若冲
(左)《旭日雄鶏図》
(右)《鷲図》
最後のコーナーから2点。
重文《南禅寺本坊小方丈障壁画のうち 群虎図》
狩野探幽筆
員数17面のうち8面(後期は4面)
江戸時代・17世紀
京都・南禅寺
重文《天授庵方丈障壁画のうち 祖師図》
長谷川等伯筆
員数16面のうち8面(後期は4面)
安土桃山時代・慶長7年(1602)
京都・天授庵
第一章と第五章の絵画作品の鑑賞が中心となったが、それだけでもその充実ぶりに圧倒される。
再訪して、これら作品を改めて味わうとともに、軽く済ませた絵画作品以外の作品や、第二章から第四章の作品もしっかり見たい。
夜間特別内覧の関係者の方々、夜遅くまでありがとうございました。