会期最後の日曜日となる今日、行ってきました。
ゴッホ展の半券を提示したので、200円引きでの入場。
「本展は、日本に5つある国立美術館が協力して開催する展覧会です。」
「東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館の所蔵品から、「かげ」をテーマに作品を選び、国立新美術館で展示します。」
「国立新美術館で展示」というのがミソですね。
1 「陰影礼讃」という展覧会名にとらわれずに楽しむ。
当初本展に行く予定はありませんでした。
が、ブログでは、好意的な感想、否定的な感想が混在する状況。実際どうなのか見ておこうと。
展覧会名にとらわれずに楽しんだほうがよい、との事前情報つきでの鑑賞となりました。
光があたっている物体からのびる「影」
光が差し込まないためにできる「陰」
水面に映っている物体の「影」(「日本」ではこれも「かげ」と言うと説明にありましたが、他国ではどうなのでしょうか。)
写真はともかく、絵画作品は「かげ」表現に関係のない作品のほうが珍しい。つまり絵画ならほぼなんでもOK。
だから、「かげ」表現は全く気にしないこととしました。
といいますか、企画者が意図した「かげ」表現を味わうほど、美術への観賞力を持っていないというだけですが。
2 各美術館がどんな優品を所蔵しているのかという観点から楽しむ。
普段常設展示には行きません。
企画展を鑑賞し、さらに時間と気力・体力があるときに、短時間、流す程度に見るだけです。
最近は、企画展を閉館時間まで鑑賞することを前提に時間を組んでいます。
常設展示に行くのは思いのほか早く企画展の鑑賞が終わってしまったときだけですね。
そういう意味で、東京国立近代美術館や国立西洋美術館所蔵作品を見るいい機会。
目新しかったのは、京都国立近代美術館所蔵作品。
同美術館には行ったことがありませんし、東京では作品を見る機会が限定的ということなのかもしれません。
もっとも、これは目新しいから京都だろう、とキャプションを見ると、「外した!」と心の中で叫ぶことが多々ありましたが。
3 目にとまった作品
【東京国立近代美術館】
岸田劉生「古屋君の肖像(草持てる男の肖像)」
何度も見ていますが、いいですね。デューラーを意識した、細密な描写。
伊原宇三郎「香港に於ける酒井司令官、ヤング総督の会見」
室内で会議中の多くの人物。目立つ動きはない。画面の端と端で睨みあうのが題名の二人か。
画面左の人物は、なぜ、場にそぐわないことに、ひとりこちら鑑賞者に顔を向けているのか?
【京都国立近代美術館】
甲斐庄楠音「幻覚」
変わっている、としか今は言いようがない。
同美術館は、HPを見ると、似た雰囲気の作品を多数所蔵しているよう。それも見てみたい。
安井曽太郎「ポーズせるモデル」
初見だったためかかなり印象的。
やや上から描いているところ。モデルが立っている状況。肌というか体の塗り具合。
隣に展示の須田国太郎「少女」も本美術館所蔵の裸婦像。
印藤真楯「夜桜」
大きな桜の木。火を燃やして夜間照明。多くの人が鑑賞に来ている。
【写真】
アレクサンドル・ロトチェンコの「階段」「ライカを持つ女」
「かげ」のテーマにふさわしい。前者はチラシ第一面の作品。
ラルフ・スタイナー「ロッキング・チェア」
影になった背もたれの美しさ。
混雑模様のゴッホ展とは違い、ほとんどストレスない状態での1時間強の鑑賞。
単純に「国立美術館・日本近代絵画優品展」として楽しみました。
企画展「ゴッホ展」に対する常設展示?
一度、京都国立近代美術館にも行ってみよう。