東京でカラヴァッジョ 日記

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カラヴァッジョ《メドゥーサ》 - 【その4】カラヴァッジョ展(国立西洋美術館)

2016年03月09日 | カラヴァッジョ

カラヴァッジョ展
2016年3月1日~6月12日
国立西洋美術館


   カラヴァッジョ作品の出品は11点。
   そのうち本展開催により初めてその存在を知った作品が2点ある。
   うち1点。


《メドゥーサ》
1597-98年頃
直径44.68cm
個人蔵


   カラヴァッジョの《メドゥーサ》といえば、ウフィツィ美術館所蔵作品を思い浮かべる。

   ところが、ウフィツィ美術館所蔵作品の前に描かれた、第1ヴァージョンが存在していたという。 

   1990年代に美術市場に現れ、イタリアの個人蔵となり、その後、2011-12年頃、研究家により真筆と判断されたらしい。


   真筆との判断根拠の一つが、3段階行われた「下描き」。さらに「描き直し(ペンティメント)」。「下描き」「描き直し」の存在は、本作が「複製ではなく創作」であることを示すという。


   ちなみに、ウフィツィ美術館所蔵作品には、下描きも描き直しも見られないらしい。
   ならば、ウフィツィ美所蔵作品の真筆性に疑義が生じないのかとも思うが、1598年にカラヴァッジョの庇護者であるデル・モンテ枢機卿がトスカーナ大公に贈ったという来歴もあってか、問題はないようだ。

   第1ヴァージョンの出来栄えに感嘆したデル・モンテ枢機卿が、トスカーナ大公に贈るために第2ヴァージョンを制作させたとの説もあるらしい。

 

   ウフィツィ美術館所蔵作品の直径55cmに対し、本作は直径45cm弱と小さい。


   また、ウフィツィ美術館所蔵作品にはサインがないのに対し、本作は「Michel A F」とのサインがある。Michel Angelo Fecitの略。なるほど。

 

   凸面・盾状に描かれた《メドゥーサ》は、本展では「断首」絵画軍団に囲まれてつつも、迫力ある描写で一際目立っている。


   新出の第1ヴァージョンを観れるとは、何と恵まれたことなのだろう。いつか、未見のウフィツィ美術館ヴァージョンも実見したい。

 

  ↑  ウフィツィ美術館ヴァージョンの原寸大レプリカ in イタリア文化会館

 

   また、メドゥーサを描いた絵画といえば、カラヴァッジョ以外では、この2点も思い浮かべる。


ルーベンス(1618年頃)
(ウィーン美術史美術館蔵)

←2002年にウィーン美術史美術館名品展で来日したとのこと。

 

 

フランドル派(1600年頃)
(ウフィツィ美術館蔵)
←19世紀頃までは、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品と考えられていて、レオナルドといえば、まずこの作品を思い浮かべるほどであったらしい。

 

   夢想するのは、カラヴァッジョの2ヴァージョンと合わせて4作品を軸とした「大メドゥーサ展」。でも、会場はやはり欧州(第1候補:ウフィツィ美術館)だろうなあ。



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