カラヴァッジョ展
2016年3月1日~6月12日
国立西洋美術館
会期最初の週末、カラヴァッジョ展を再訪する前に、九段のイタリア文化会館へ向かう。
目的は、カラヴァッジョ《バッカス》の注目して観るべきポイントについて、高精細画像の4K名画ナビゲーションで再確認すること。
ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアム 2016
2016年2月13日~3月13日
イタリア文化会館
入場後、2台ある4K名画ナビゲーションのうち受付窓口右隣の1台に直行する。運よく誰も利用していない。
【再確認1】
「ガラスの瓶のなかのワインの表面」に映った画家の姿
ウフィツィ美術館の至宝23作品のなかからカラヴァッジョ《バッカス》を選び、画面左下のガラスの瓶を最大限まで拡大していく。実物での鑑賞では望めない、驚くべき拡大率。
男の顔、見誤りようのない、男の顔である。近くで私の操作を見ていたグループもこれだと喜んでいる。
ただ、この顔がカラヴァッジョなのかは、この拡大倍率をもってしても、私にはわからない。観る人が観ればわかるのだろう、是非解説してもらえる機会が欲しい。
【再確認2】
バッカスがかぶる葡萄の葉に描かれた水滴
次は画面最上部、バッカスがかぶる葡萄の葉の部分を拡大していく。
あった。
真ん中の葡萄のすぐ上、緑色の葉に1滴、しっかりと描かれている。他の葉にはなさそうだ。
今回の上野の展示環境では、絵までの距離、展示位置の高さ、照明、といった要因で、鑑賞困難な水滴。単眼鏡で狙うべき位置は把握した。
カラヴァッジョ《メドゥーサ》の保存修復と科学調査を10の切り口で紹介するナビも楽しむ。
本企画は、3/13まで。せめて、4K名画ナビゲーション(のカラヴァッジョ作品)だけでも、期間延長して欲しいところだが。
国立西洋美術館へ移動。
会期当初の遅い時間帯。会場は時間が経つに連れてドンドン空いてくるが、11点のカラヴァッジョ作品、特に《法悦のマグダラのマリア》、《エマオの晩餐》、そして《バッカス》の前は人が絶えることはない。
《バッカス》に何度か戻って状況確認、そして単眼鏡を使う機会が訪れる。
【再確認1】
「ガラスの瓶のなかのワインの表面」に映った画家の姿
肉眼(眼鏡あり)では、先の訪問と同様、男の顔が小さく描かれていることが確認できる。しかしそこまで。どんな顔をしているのかは確認できない。
単眼鏡登場。先の訪問では、男の顔らしきものすら全く見えなかったが、今回はうっすら確認できる。しかしそこまで。
結論。顔が描かれていることは分かるが、カラヴァッジョの顔と認識することは不可能。展示環境を変えれば、例えば現地・ウフィツィ美術館だったら可能かも。
【再確認2】
バッカスがかぶる葡萄の葉に描かれた水滴
肉眼(眼鏡あり)では、全く識別不可能。距離がありすぎる。
単眼鏡登場。照明が邪魔をする。色んな角度を試す。ある角度では、それらしきものがあらゆる葉に無数に光っていて、困惑する。絵の正面あたりが一番照明に邪魔されないようだ。ついに緑色の葉の1滴を確認する。小さい。小さすぎて、感動には至らない。いろいろ試すそうちに、どの辺りに水滴があるのかまた曖昧になってきた。
暫定結論。この展示環境では、絵までの距離、展示位置の高さ、照明、といった要因で、難儀する。
《バッカス》
1597-98年頃
95×85cm
ウフィツィ美術館
1913年、ウフィツィ美術館の収蔵庫から再発見。1922年、修復が行われ、カラヴァッジョの真筆と認められる。この修復時から、ワインの表面の画家の自画像の存在は知られていた。
1922年のフィレンツェ・ピッティ宮殿で開催の「Mostra della Pittura Italiana del Sei e Settecento」展に出品。ただし、帰属作品として。
本作は、鏡に映った自分の姿を描いたもの。本展で静物画のセクションに置かれているとおり、静物の描写が印象的(バッカス自体の描写には個人的に関心低)。
画家の庇護者デル・モンテ枢機卿からトスカーナ大公に贈られた可能性が高いとされる。
帰りがけ、ミュージアムショップに寄る。
期待どおり先行販売されている、石鍋真澄氏著の『カラヴァッジョ伝記集』を購入する。
帰りの電車の中であとがきを先に読む。
氏の次女さんの名前は「ミラノ」(本名は漢字)さんなのか。長女さんの名前が「シエナ」さんなのは、氏の著『聖母の都市シエナ』で知っていた。ちなみに息子さんは「ローマ」さんらしい。
私の高校時代、そんなコンセプトの名前のクラスメイトがいたことを思い出す。欧州の有名な学者の名前の当て字。やはりその兄弟もそんな名前だったようだ。
「花(華)子」と書いて「フィレンツェ」さん、はさすがに無理。