雑草日記

花と猫を愛でています。

『星をさがして』

2011-07-14 00:58:57 | 読書
 

星をさがして (トクマ・ノベルズEdge) [新書]
張間 ミカ (著)


夏のお話なので、いま読むと臨場感あってピッタリですよー(笑)。
でもたぶん冬に読んでも夏を感じられるんじゃないかな。それくらい夏と夜の匂いが濃厚です。

好きなイラストレーターさんだったので購入した本。画集にもこの作品の絵が何点も入ってたので気になっていたのです。
買って驚いたけど…作者1991年生まれって…今年成人なん…。

若さゆえのパワフルさなのか描写の書き込みすごいです。修飾の多い文章が、スッキリした文章が好みの私にはちょっと読みづらくて、冒頭辺りで疲れて積んでしまってました。
が、面倒なところは流せばいいと気付いて読むの再開したら、これが面白くて…!修飾の多い文もシーンによってはとても印象深かったり、生き生きしてたり。描写力でこの作品のファンタジーな世界が目に見えるように感じられます。この世界観は好みです

正直、主人公には感情移入しづらかったけど。それでもこの主人公がなんだか好きなんですよねぇ。

やりたい事をやりたい理由がよく分からなくてもとにかくやろうとすることも、がむしゃらにやってる事の意味をときに立ち止まって考えてみることも、どちらも大切かもしれないですね。

あとノッピーがいいですノッピー!(笑)

『ステップファザー・ステップ』

2011-06-22 18:28:51 | 読書


ステップファザー・ステップ (講談社MOOK 講談社ペーパーバックスK) [ムック]
宮部 みゆき (著)


前々から気になってて、そしたら荒川さんイラストで新装されてまた気になって、でも何故かいままで読んでなかった作品。

このトリオ最高ですよー!
一応ミステリです。青い鳥文庫でも出版されてるけどミステリです。子供に読ませる内容ではないと思うのだけどどういう基準で児童書出版してるの講談社?

それはともかく短編連作ですが…回を追うごとに事件が血なまぐさくなってる気がするよ宮部さん^^;

世知辛いし切ないし悲しかったりするはずなのに、コミカルで温かい、そんな本です。
「お父さん」の受難記録ともいう(笑)
でも双子のペースに振り回されてるうちに変わってきて、その時々の苦悩とか葛藤とかが見てて面白いというか♪(酷)。さらに「おじいちゃん」にもあれこれ言われて

「お疲れ様ですねー…」
と肩をたたきたくなる、そんな主人公35歳独身。

やっぱ親父の「親はなくても子は育つが、子供がいないと親は育たねえ」というやつですか(笑)。
双子のちゃっかりしてて生活力高いとこがすごいと思う。でもそれだけじゃ足りないのが面白いところで、この作品のいいところなんだろうね

ちなみに読み終わるまで、主人公の「お父さん」の本名が最後まで出てこなかったのに気付きませんでした…

そういえば以前にも登場人物の名前が出てこない短編がありましたね。たしか「神無月」で、親父と岡っ引きと男と娘で…娘の名前はセリフには出てきたかな?何が起こって結末がどうなったかも書かれてないけど面白い作品でした。

『登校途中の百物語』読了!

2011-06-14 20:22:54 | 読書
また最近、読んだ本のレビュー上げてないことに気付いていそいそアップ。

 

登校途中の百物語 - 鏡ヶ原遺聞 弐ノ巻 (C・NOVELSファンタジア)
天堂 里砂 (著)


シリーズ2巻目です。
楽しいしテンポ良いしで一気読みしてしまった。
人物紹介のページですでにツッコミ所多すぎて…
とりあえずジンさん男前!!

主人公がたくましくなってたね。すっかり主夫になっちゃって!(そーいう意味だけじゃないけど笑)寺のみんなが相変わらず楽しくて微笑まし……ええ、まあミヤビもね……日常大切。
「いってきます」「いってらっしゃい」のやりとりには地味に感動してしまいました。

高校生活!しかし「登校途中」というかむしろ「下校途中」のお話かも^^; 確かに人間関係って自分の見方次第でガラリと色が変わるよね。それは高校生だけじゃないね。行動することによって変わるものもね…。

秀一君は巻き込まれ体質のように見えるし本人もそんなふうに言ってるけど、結構「首突っ込み体質」なんだなと思いました。今回は「自分がこうしたい」と明確に意識持ってやってるのが男前度上がってるよ!そりゃジンさんも惚れちゃうよ!そのジンさんは別格にカッコイイけどね!

そして山田さん(笑)。山田さんいいよー強烈なの来たと思ったらほんとに強烈だったです。さっすが天堂さん☆ってー感じです笑。

妖怪ものの本ていろいろあるかもですが、これは妖怪が地味に妖怪してて好みです 3巻期待!

「夢の上・2」

2011-03-29 15:20:21 | 読書
読んでからけっこう経つけど^^;
うっかりブログに上げてなかったので今頃(ゴハンカテゴリが読書を上回るのを阻止しようとかそんなことは)


夢の上〈2〉紅輝晶・黄輝晶 (C・NOVELSファンタジア) [単行本]
多崎 礼 (著)

シリーズ2作目なので世界観が解ってるし、主な登場人物もおおかた出揃ってるのですごくさくさく読めました。むしろ同じ時間を何度も繰り返してるのに新鮮で、話に引き込まれるのが気持ちいいです。
1冊目はわりとポジティブ(四捨五入表現)な人たちが主人公でしたが、今回はネガティブ主人公だったような。いや…ハウファはある意味ポジティブなのかもだけど。彼らのほうが共感出来るということは、やっぱ常にポジティブでいるのは疲れるってことですよたぶん。

しかし紅輝晶ではすっかりだまされたー!ヒントにはいちいち反応出来てたし、気付いてたこともあったのにその結論出なかった。騙された自分が不思議だけど仕方ない気もする。ハウファは前より好きになったけど、でも彼女の子供達に対する感情は正直あんまり理解できないです…。むしろツェドカ気になる!

そしてダカールはほんと可愛くてこの子が幸せになってくれたらいいのにと思います。どうにかならんのか。
3巻で完結なんですよね~待ち遠しい。

『心とろかすような』読了

2011-03-04 21:53:55 | 読書
先週、皮膚科に行ったときに持っていった本。



心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫)
宮部 みゆき (著)


短編3つと書き下ろし中篇1つのオムニバスです。プラスおまけ(笑)
画像が写真なのは、オビ付きで紹介したかったから。
このオビのあおり、本を読んだときに「あれがこれか…!」とやられた感がありまして。この文節を選ぶあたり巧いなと思ったのです。まあ題名がこれなので、あおりが巧いというより題名が巧いのかも。

短編なのでテンポがよく、でもシンプル過ぎない。とても面白いです。長編でもテンポいいですけどね短編だとさらに軽快さが増します。その中にいろんな人の状況や思いが詰まってる。
一応主役のマサが、前作よりオヤジ度上がってるように思うのはそれだけ時が経ったせいだろうか(笑)

基本、推理小説なので、めでたしってのはないんですが、それでもやり切れない思いがしたり、でも絶望に叩き落されるとこまで行かなくてほっとする要素もあったり。
中でも書き下ろしの『マサ、留守番する』はかなり堪えました。自分が動物飼ってるから、共感する部分があったり憤る部分があったりするんだろうと思うけれど、それぞれの明暗のコントラストが結構…。
平和の裏側にある闇とか、日常の中にある影とか、希望のすぐ横にある絶望とか。それらの距離感がすごく近くて怖いやら切ないやら、でも日常はそこにあって。そういうのがごちゃ混ぜにあるのが日常なんだなぁと思うお話でした。

しかし始まりの『パーフェクト・ブルー』があれで、シメの『マサ、留守番する』がこれってのは、やっぱり意図的なんでしょうね~。お話は繋がってないので、どちらから先に読んでもいいし、この本だけでも充分楽しめるのでオススメです