雑草日記

花と猫を愛でています。

『心とろかすような』読了

2011-03-04 21:53:55 | 読書
先週、皮膚科に行ったときに持っていった本。



心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫)
宮部 みゆき (著)


短編3つと書き下ろし中篇1つのオムニバスです。プラスおまけ(笑)
画像が写真なのは、オビ付きで紹介したかったから。
このオビのあおり、本を読んだときに「あれがこれか…!」とやられた感がありまして。この文節を選ぶあたり巧いなと思ったのです。まあ題名がこれなので、あおりが巧いというより題名が巧いのかも。

短編なのでテンポがよく、でもシンプル過ぎない。とても面白いです。長編でもテンポいいですけどね短編だとさらに軽快さが増します。その中にいろんな人の状況や思いが詰まってる。
一応主役のマサが、前作よりオヤジ度上がってるように思うのはそれだけ時が経ったせいだろうか(笑)

基本、推理小説なので、めでたしってのはないんですが、それでもやり切れない思いがしたり、でも絶望に叩き落されるとこまで行かなくてほっとする要素もあったり。
中でも書き下ろしの『マサ、留守番する』はかなり堪えました。自分が動物飼ってるから、共感する部分があったり憤る部分があったりするんだろうと思うけれど、それぞれの明暗のコントラストが結構…。
平和の裏側にある闇とか、日常の中にある影とか、希望のすぐ横にある絶望とか。それらの距離感がすごく近くて怖いやら切ないやら、でも日常はそこにあって。そういうのがごちゃ混ぜにあるのが日常なんだなぁと思うお話でした。

しかし始まりの『パーフェクト・ブルー』があれで、シメの『マサ、留守番する』がこれってのは、やっぱり意図的なんでしょうね~。お話は繋がってないので、どちらから先に読んでもいいし、この本だけでも充分楽しめるのでオススメです