25日の日経新聞で2011年3月期連結決算から開示が始まった「包括利益」の動向や「純利益」との比較を取り上げていました。3月期決算企業のうち、1479社について集計したものだそうです。
「日本経済新聞社の集計によると、11年3月期の包括利益は前の期より41%減った。」
「10年3月期の包括利益は13兆1431億円と純利益(7兆5289億円)を上回っていたが、11年3月期は逆転した。包括利益が純利益より多い企業はソフトバンクなど275社で、全体の約2割にとどまった。」
包括利益を取り上げたこと自体はよいと思ったのですが、少し気になったのが、包括利益と比較しているのが「純利益」であることです。
日本基準で「包括利益」は、親会社株主の持分だけでなく少数株主の持分も含んだ金額です。一方「純利益」は親会社株主の持分だけであり少数株主の持分は含んでいません。
したがって、「包括利益」と「純利益」を比較するのであれば、「純利益」は少数株主の持分を含めた「少数株主損益調整前当期純利益」とするか、「包括利益」の方を注記されている「親会社株主に係る包括利益」にするのが理屈に合っています。
例えば、記事でふれているソフトバンクの2011年3月期の関連数値は以下のようになっています。
少数株主損益調整前当期純利益 247,663百万円
当期純利益 189,712百万円
包括利益 219,942百万円
「少数株主損益調整前当期純利益>包括利益」ですので、ソフトバンクもまた、包括利益が純利益を下回っている会社ということになります。
ちなみに、米国基準やIFRSを適用している場合(トヨタ、ホンダ、日立など)の純利益は、たしか、少数株主の持分を含んだ額ですので、「純利益」と「包括利益」をそのまま比較できるはずです。
ソフトバンク決算短信(PDFファイル)
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