会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ノンコミット型のライツオファリング、合理性評価を=東証(ロイターより)

ノンコミット型のライツオファリング、合理性評価を=東証

東京証券取引所の上場制度整備懇談会が、ライツ・オファリングについての提言を公表したという記事。

経営が悪化した企業による利用が急増し、問題になっていた「ノンコミットメント型」のライツ・オファリングについて、増資の合理性が評価されるプロセスが必要との認識を示した。

新株予約権の上場基準で、証券会社による引き受け審査に準じた評価、または株主総会などで株主の意見聴取を求めることが適当と提言した。このほか、明らかに市場から評価されない経営成績の企業には上場を認めないことを基準として定める、とした。」

「株主が新株予約権を行使しない場合に証券会社がその権利を買い受けて行使する「コミットメント型」と、行使されなかった権利が失効する「ノンコミットメント型」とがあるが、2013年には経営成績や財政状態が悪化した上場企業によるノンコミットメント型が急増し、問題視されてきた。 」

我が国におけるライツ・オファリングの定着に向けて(東証)(PDFファイル)

「我が国のライツ・オファリングの実施状況を俯瞰すると、平成26年6月末日までに公表された25件のライツ・オファリングのうち、コミットメント型ライツ・オファリングは3件のみで、残りの22件(88.0%)はノンコミットメント型ライツ・オファリングである。このことは、英国や香港ではノンコミットメント型が例外的にしか実施されていないことと対照的である。

さらに、ノンコミットメント型ライツ・オファリングを実施した22件(20社)について見ると、14件(63.6%)が直前期に純損失を計上した会社によるもの、4件(18.2%)が直前期又は直前四半期の時点で債務超過の会社によるもの、14件(63.6%)が直前期に無配の会社によるものとなっている。」

「さらに、我が国のライツ・オファリングの実施状況を見ると、新株予約権の市場価格がその理論価格と比して割安となっている傾向が(特にノンコミットメント型のもので)顕著である。具体的には、我が国のライツ・オファリングの実施例(23件)のうち21件で新株予約権の市場価格がその理論価格よりも平均的に割安となっており、その上場期間中の乖離率の平均は20.8%である。」

新株予約権が無償で株主に割り当てられることにより、株主の保有している株式の価値は、強制的に、株式(新株予約権発行後)と新株予約権に分割されます(トータルでは発行前と同じはず)。株主は、新株予約権を売却することによって、投資の価値を回収することができるわけですが、そこのところで不利な取引を強いられているということなのでしょう。

新株予約権無償割当て(ライツ・オファリング)とは(SBI証券)

この証券会社の宣伝文句では・・・

「割当てられた株主は、権利行使や買付け、また不要な場合は売却を選択できます。株主が自分の意思で選択を行えることから、「株主にやさしい増資方法」と言われています!」

「ライツ・オファリングは、割当てられた新株予約権を権利行使、または売却することも可能になっている為、持ち分の希薄化による不利益が生じにくいのが特徴です。」

下の方に小さな字でデメリットが書かれています。

「ライツ・オファリングに係る上場新株予約権証券におきましては、下記をご留意の上お取引いただきますようお願いいたします。

・新株予約権証券は、上場期間(数週間~1か月程度)及び権利行使期間(数週間程度)が短期間であること。

・ノンコミットメント型ライツ・オファリングにおいては、期限付きの有価証券であり、権利行使期間が終了した場合、その価値を失うという性質を持つ有価証券であること(新株予約権証券を買い付けた場合、証券取引所への上場期間内に新株予約権証券を売却するか、権利行使期間内に権利行使して当該上場会社の株式を取得するかのいずれかを選択しなければ、その価値を失うということ。)。」
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