日経新聞の監査法人に関する連載の第3回は、富士フイルムでした。
海外子会社の監査の問題を取り上げています。
「富士フイルムは2016年6月末の株主総会後に会計監査の担当を新日本監査法人からあずさ監査法人に切り替えた。国内はあずさが監査し、海外グループ会社はあずさと提携するKPMGが各地域を受け持つ体制だ。
「日本のあずさがまとめ役となり海外から情報を吸い上げる仕組みが効果的」。富士フイルムのグローバル監査部の花田信夫部長はKPMGのネットワークを評価する。
実際に子会社の富士ゼロックスの海外子会社が起こしたリース取引の不適切会計では、このネットワークが機能した。あずさとKPMGが監査で疑問点を見つけ、不適切会計問題にメスを入れるきっかけにつながった。」
記事を読むと、監査人交代後すぐに、KPMGのネットワークを利用して、不正を暴いたような印象を受けますが、実際は、現地マスコミで2016年9月に不正疑惑が報道されていたにもかかわらず、十分に調べず、第3四半期まで不正を見逃しています。期中のレビュー手続や期中監査手続で不正を発見するのは難しかったかもしれませんが、遅くとも、報道があった時点では現地KPMGは異常に気付いたはずで、その連絡があずさに届いていなかったり、届いていても十分検討していなかったとすれば、問題でしょう。もっとも、本決算では訂正しているので、監査人としての最低限の役目は果たしたのかもしれません。
海外関係会社の監査体制は...
「海外ネットワークの整備が急ピッチで進む。あずさは海外の会計事務所とのやり取りを密にするため、海外赴任経験のある人材を大幅に増やした。さらにグローバル企業を担当する国内の監査チームが、海外子会社を担当するKPMGの現地事務所の監査チームに直接指示を出す体制に切り替えた。「現地の情報を収集しやすくなり、不正につながる情報も素早く把握できる」(金井氏)
かつてあずさは現地拠点を通じて国内と海外の監査チームが間接的に情報をやり取りする体制だった。今は国内で監査全体のリーダーを務める会計士は、海外の監査チームの人事権までも持つ。」
これは一般論としては正しい方向なのでしょう。しかし、東芝のように、うるさいことをいう海外子会社監査人を、会社が親会社監査人を使って黙らせるという例もあるので、親会社監査人がしっかりしていないとダメでしょう。
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