「データ・サイエンティスト」が引く手あまただという記事。
「...大学の研究職を辞してアマゾンなどの企業へ転職する経済学者・統計学者・情報工学者などはこの数年で格段に増えた。
こういった民間企業は、給与面だけでなく、研究費や研究補助員などのサポートといった環境面でも破格の条件を提示して教授・准教授・助教授を大学から引き抜いている。
特に引き抜きの対象になっているのが「データ・サイエンティスト」と呼ばれる、データ分析に長けた研究者たちだ。例えば、統計学・計量経済学の専門知識を持つ統計学者・経済学者、そして、人工知能を使ったデータ分析を開発する工学者などである。
この流れは米国内に留まらず、日本を含めた各国に押し寄せている。2017年夏、アマゾン・ジャパンは香港科技大学のビジネススクールで准教授を勤めていた渡邉安虎氏を上席エコノミストとして引き抜いた。
渡邉氏は米国で経済学博士号を取得後、米国と香港の大学で教鞭を執ってきた経験を持つ一流の経済学者である。こういった人材を経営に活かそうという動きが日本でも始まってきたということだ。」
人工知能だけでは不十分なのだそうです。
「今のところ人工知能だけでは解決が難しい課題がある。それが「因果分析」である。例えば、特定の広告をどの顧客に出すと購買を促す効果が出るのか、という課題を考えよう。
ここで知りたいのは広告の効果という「因果関係」であり、相関関係ではない。人工知能は相関関係を見つけることは得意だが、今のところ因果関係を導出するにはデータ・サイエンティストによる分析が不可欠である。」
「実は、ビジネスや政策の設計に有用となるデータ分析をするには、「人間や企業の行動モデル」を構築できる思考法も必要になる。
例えば、人はどのような欲求を持って購買行動をしているのか、企業はどのような目的や目標を持って販売活動をし、他の企業とどんな競争をしているのか、ということである。
こういった思考法なしに分析を行うと、膨大なデータに対しての「切り口」を持つことができず、有用な分析結果を導けないのである。」
ビッグ4事務所がデータ・サイエンティストを盛んに採用しているという話はよく出てきますが、うまく活用しているのでしょうか。また、日本の大手監査法人などでは、どうなのでしょうか。
試行錯誤は必要だとしても、有効な「切り口」がないまま、やみくもに膨大なデータを分析しても、徒労に終わるような気もするのですが...。
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