ライブドア2004年9月期決算の不正経理疑惑の記事。関係会社の利益を本体に付け替える手口だそうです。
グループ内の取引(押し込み販売など)で、親会社に利益を計上させるというのは、古典的な粉飾の手口ですが、記事によるとライブドアの場合は、若干込み入っています(以下、一部推測も入っています)。
つまり、正式には関係会社にはなっていないが、実は投資組合を通じて実質的に支配している(あるいは相当の影響力を行使できる)会社に対して架空の売上を計上したということのようです。形式上、グループ外の会社にあたるので、連結決算でも売上を消去する必要はありません。また、IT企業ですから、取引の実態がなくても、形式的に契約書を取り交わして、さもサービスやソフトウェアの提供が行われたかのように見せかけることは簡単だったのかもしれません。もちろん、相手先がライブドアとは独立している会社であれば、架空売上に対する代金は支払われず、債権の滞留から粉飾がばれてしまいますが、実質支配している相手先であれば、キャッシュを動かして、売上債権が回収されたように見せることは容易です。
こうしたことをやれば、その後その会社を子会社化する時点では、会社の価値は架空サービスに対する代金を支払った分だけ目減りしてしまいます。しかし、買収金額が変わらなければ、差額は連結決算上、のれんとして計上されるだけなので、ライブドアの決算では大きなマイナスとはなりません。むしろ、粉飾決算によって株価を上げれば、株式交換の会計処理を行う際の取得の対価の金額が水増しされ、差額概念であるのれんの金額も膨らむことになります。また、もともと実質支配している会社ですから、あらためて本気でデューデリをやって企業価値に問題がないか調べることもありません。
以上、マスコミの尻馬に乗って、ライブドア本体で粉飾が行われたという前提でまとめてみましたが、実際に粉飾決算として追及するためには、本当にこうした取引が架空であったことを立証する必要があります。テレビ報道で堀江氏の発言を聞くと、「粉飾とは考えていない」といっています。おそらく書類的にはもれがないようにしているのでしょう。そんなに簡単な話ではないと思います。
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