大豊建設(東証1部)のプレスリリース。
同社は、従業員不正(水増し発注)発覚と決算発表延期などを開示済みですが、このたび不正を調査していた外部調査委員会の調査報告書を受領したとのことです。
決算への影響は...
「調査の結果、2016 年 3 ⽉期から 2021 年 3 ⽉期第 3 四半期まで(2015 年 4 ⽉ 1 ⽇から 2020 年12 ⽉ 31 ⽇まで)に判明した不正の⾦額の合計は 291 百万円で、当社の 2021 年 3 ⽉期第 3 四半期決算における損益に与える影響としては 66 百万円の利益増となります。
当社は、過年度連結財務諸表に与える影響は軽微であるとの判断から、過年度の有価証券報告書、四半期報告書、内部統制報告書および決算短信の修正は⾏わない⽅向で監査法⼈と協議し、2021 年 3 ⽉期第 3 四半期決算において⼀括処理する予定です。 」(プレスリリースより)
調査報告書は60ページ超のもので、PwCが関わっているようです。
どのような不正だったか...
「本調査の結果、大豊の各支店において、以下の不正行為が行われたことが確認された。
① 原価付替不正
大豊の東北支店、東京建築支店、名古屋支店、大阪支店及び九州支店において、大豊が外部業者に発注する工事等の原価が、異なる工事等の原価に付け替えられていたことが確認された。原価の付替えは、大きく以下の 5 つの類型に分類される。
㋐ 工事下請業者に対する契約金の水増し又は架空発注、あるいは減額契約を締結すべき場合における減額相当分の預かり依頼
⇒ 同一業者に対する異なる工事現場の工事代金へ充当
㋑ 検査補修業者に対する契約金の水増し又は架空発注
⇒ 同一の工事現場/異なる工事現場の検査補修業務の代金へ充当
㋒ 材料納入業者に対する契約金の水増し又は架空発注
⇒ 異なる工事現場の材料代金へ充当
㋓ 建築部において、工事下請業者からの請求金額を、同一工事下請業者による異なる下請工事の請求金額として計上
㋔ 建築部と土木部の両方による工事が必要となる案件において、土木部が負担すべき工事原価を建築部の工事原価として計上
② 私的流用
大阪支店建築部において、材料納入業者に対して契約金の水増し又は架空発注を行い(①‐㋒)、当該水増発注分の金額を私物の購入代金に充当するという行為が行われた。」(報告書より)
いかにも、建設業でありそうな不正です。
組織あるいは会社ぐるみの不正ではないという結論のようです。
「本件不正行為は、東北支店及び大阪支店の建築部、並びに、東北支店、東京建築支店、大阪支店及び名古屋支店及び九州支店の各現場において独立して行われたものであり、大豊全体として組織的に行われたものとは認められない。 」(同上)
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