日経で、2回にわたって、「CFOの時代」という連載をやっていました。
CFOの時代(上)社長の参謀、現場奔走
フジクラ、資金捻出へ慣行にメス カゴメは買収で現地社長と交渉(記事冒頭のみ)
「日本企業の財務トップが経営の最前線に立ち始めた。東証プライム上場で最高財務責任者(CFO)を置く企業は3割を超えた。株主から資本効率の改善を求める声が強まるなか、もはや数字のミスなく決算書を作る従来の経理・財務担当では立ちゆかない。CFOが社長の参謀として成長戦略の策定や株主づくりに奔走し、企業価値を高めている。」
具体例としては、フジクラ(飯島氏)とカゴメ(佐伯氏)を取り上げています。
フジクラは、22年に財務を俯瞰するCFO職を新設。資本効率の改善を現場とともに考える。投資資本利益率(ROIC)は24年3月期に11%(3年で約7ポイント上がった)。取引先との支払い条件にもCFO自らメス。「CFOは一歩進んで株価や資本効率に説明責任を負う」(飯島氏コメント)
カゴメの初代CFO佐伯氏は、最高リスク責任者や投資委員会委員長も務める。米トマト加工大手の買収では現地社長らと膝詰めの議論を重ねた。買収費用(360億円)は自社株の売却で一部をまかなった。「財務体質を早期に戻すことが必要」(佐伯氏コメント)。また、M&Aの成果をアピールしながらが以外株主づくりにも動いている。
学者の研究にもふれています。
帝京平成大学の小林教授によると
・東証プライムの3割超がCFOを設けていた(23年末)。15年からの増加が目立つ。
・PBRは、CFO設置企業は平均2.7倍(未設置企業は1.7倍)。例えば、フジクラは約3.9倍。
・CFOに「取締役」など経営に近い役職が付く企業ほど増配や自社株買いへの依存度が低い傾向がある。「CFOが...投資案件などを精査して稼ぐ力を高める役割を担っているのではないか」(小林教授コメント)
とのことです。
増益や自社株買いに頼らず、正攻法でやっているCFOが多いということでしょうか。
CFOの時代(下)「分身」が縦割りの壁壊す
富士通、世界に400人管理徹底 キリンHD、設備投資戦略を精緻に
「財務戦略を担う最高財務責任者(CFO)が経営実態を迅速に把握しようとしても、縦割り組織の壁が阻むことがある。富士通などはデータ分析の専門家をCFOのもとに配置。改善を目指す動きが出てきた。」
会計やファイナンスの専門職である「FP&A(フィナンシャルプランニング&アナリシス」の導入例を紹介しています。
富士通(CFO傘下に約400人のFP&A部門を新設)、味の素、キリンホールディングスなどで導入しているそうです。
また、経産省の「持続的な企業価値向上に関する懇談会」でも、FP&A機能の強化が議題に上っているとのことです。