会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「スカイマーク」総資産以上の隠れ債務(zakzakより)

「スカイマーク」総資産以上の隠れ債務

スカイマークの決算を取り上げた一般向けの簡単な解説記事。

「貸借対照表・・・を見てみよう。資産に対して純資産が4割以上あり、これだけで判断すると安全性についての懸念は無いように見える。しかも、銀行からの借入れが全くない。会社の安全性を表す貸借対照表がこんなにピカピカなのに、どうして経営破綻に至ったのだろうか。

その原因はリース取引にある。リース取引にはファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の2種類があり、オペレーティング・リース取引によるリース料の将来支払額は負債に計上しない会計ルールになっている。

スカイマークは主に、このオペレーティング・リース取引によって航空機を取得しているため、将来支払うべきリース料は負債に表れていないのである。しかし2014年3月期の決算短信におけるリース取引の注記情報を見ると、前期末時点ですでに未経過リース料が907億円もあったのである。同社の資産総額をはるかに上回る巨額の隠れ債務である。」

当サイトでも、ダイヤモンドの記事を紹介する形で、取り上げています。

当サイトの関連記事(2014年8月)

その時はふれなかったのですが、その後の会社発表や報道等によると、リース債務が簿外になっているだけでなく、その簿外債務に外貨建てのものがかなり含まれており、最近の円安により傷口を広げたようです。有報では、未経過リース料の金額は注記でわかるのですが、それが外貨建てだということまでは記載されていません。また、簿外債務なので、リース債務の為替差損計上もなかったのでしょう。

スカイ再生のカギ握る「エアバス10機」の重荷(2015年3月7日)(東洋経済)

このリース契約について少し詳しくふれています。

「実は、一定の条件が整えば、違約金を減額する意向がエアバスにはある。その条件とは、スカイマークがリース契約で保有している、10機のA330の活用だ。

言い換えれば、事業スポンサーを選定するうえでの重要な要素は、この10機をどこまで引き取る能力と意思があるか、なのだ。

A330の初号機をスカイマークが受領したのは14年2月。同年6月に就航(羽田─福岡線)させたが、搭乗率が思うように上がらず、ドル建てのリース料も円安で負担が増した。経営の再建に当たって、スカイマークはA330のリース契約を解除する意向を示しており、2月1日から5機のA330の運航を停止。米ボーイング製の「B737」に一本化し、効率化を図っている。だが、羽田空港に置かれたA330は、駐機料など維持費がかかり、中途半端な状態のままだ。」

記事によれば、エアバス社がリース会社の損失を回避するような約束をしているのではないか、だから、この10機の活用ができるのなら違約金について譲歩するかもしれないという見方をしています。いずれにしても、スカイマークにとって、この簿外となっているオペレーティング・リースが大きな重荷になっていることは間違いありません。

スカイマーク:赤字拡大136億円 エアバス違約金含まず(毎日)

2014年4月〜12月期の四半期決算に関する記事。

「超大型機「A380」の購入契約をめぐって、エアバスから求められている巨額の違約金の扱いは、「交渉に左右される部分が大きい」として、決算には反映させなかった。」

運行を停止したというA330のリース契約についても、このまま運航せずに解約する可能性が高ければ、解約金を損失計上すべきでしょう。

もっとも、四半期レビューは結論不表明なので、監査人には関係のない話ですが。

「結論の不表明の根拠

 継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は平成27年1月28日開催の取締役会において、民事再生手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地方裁判所に申立てを行った。平成27年2月4日に東京地方裁判所から民事再生手続開始決定が発令されているが、現在、再生計画案は作成中である。今後、再生計画案は東京地方裁判所に提出、受理された後、裁判所の認可を得た上で遂行されることになるが、現時点では再生計画案は未確定である。このため、当監査法人は継続企業を前提として作成されている上記の四半期財務諸表に対する結論を表明するための手続が実施できなかった。」
(四半期報告書の四半期レビュー報告書より)
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