会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ゴーン前会長【無罪主張ビデオ全文・前編】(AERAより)

ゴーン前会長【無罪主張ビデオ全文・前編】「私は無実です」「これは『陰謀』『謀略』『中傷』」

ゴーン前会長【無罪主張ビデオ全文・後編】「日産の業績低下が心配」

日産のゴーン前会長のメッセージを収録したビデオの全文を掲載した記事。

「私にかけられているすべての嫌疑について、私は無実です。

そして、それらの嫌疑に基づいて私に対してなされている非難についてもまた事実無根です。

それらの非難はすべて、私を強欲な人物、あるいは独裁的な人物として塗り固めるためになされたものです。

それらは、文脈から切り離されたり、偏見にもとづいてゆがめられたものです。」

「私がお伝えしたい3点目は、いま起きていることが「陰謀」だということです。

これは単に事件ということではありません。

言われているような「強欲」「独裁」などという話でもありません。

これは、「陰謀」、「謀略」、「中傷」ということです。

なぜか。なぜ、このようなことが起きたのか。

それは、何よりもまず、「恐れ」があったということです。

アライアンスの次のステップ、統合、すなわち合併に向けて進むということが、ある人たちには確かな驚異を与え、それがゆくゆくは日産の独立性を脅かすかもしれないと恐れたのです。」

「今回の汚い企みを実現させるべく仕掛けた多くの名前を挙げることができます。」

ビデオ自体はこちらから。弁護団の記者会見の動画ですが、最初の方に(開始から6分ぐらいから)ゴーン氏のメッセージが含まれています。(英語の勉強にも役立つ?)

「今起きていることは陰謀」 カルロス・ゴーン元会長のビデオメッセージを公開(YouTube)

米国のマスコミは陰謀説のようです(ゴーン氏に不正がなかったとはいっていませんが)。

ゴーン失墜の内幕、日産幹部が恐れた仏支配(DOL)(WSJ配信)

1月31日にルノーと日産のトップが会談したそうです。

「会談内容に詳しい人物によれば、西川は次のように語った。日産幹部の一部が、ある目的を持ってゴーンに不利な証拠を集め、日本の当局に提供したと自分は認識している。彼らは日産とルノーの全面的な経営統合をゴーンが推進しているのではないかと恐れ、その可能性をつぶしたいと考えていた。日産内部の反乱者たちは、自分たちの日本企業がフランスの支配下に入ることを恐れた――。

自動車業界の巨人であり、ルノー・日産連合の総帥として世界を飛び回っていたゴーンに日産がなぜ突然反旗を翻したのか。夕食会での西川の驚くべき告白は、以前からささやかれていた疑いを裏付けるものだった。

日産の内部調査に詳しい人々や各種資料によれば、経営統合のこれ以上の進展を阻止しようと決意した日産の幹部2人が調査を主導、以前からうわさされていたゴーンの不正行為を調べ、検察当局に提出できる金融犯罪の証拠を見つけたという。2人の考えをよく知る人々によると、主要な動機は日産を守ることだった。それは世界の国々が依然、国を代表する企業を保護している現実を反映しているかのようだった。」

「ゴーンの追い落としを計画した日産幹部らが期待していた通りに、経営統合の協議は振り出しに戻った。」

フランス政府や日本の経産省、官邸も登場します。(ゴーン氏が動画で名指しした(公開版からは削除された)人物も含まれている?)

「仏政府は、ルノーに取締役として送り込んだマルタン・ビアルを通じ、より直接的に関与するようになった。マレーシア出身で日産に長く勤めるCEOオフィス担当の専務執行役員ハリ・ナダは、4月23日にビアルと面会し、自身としてはありがたくない統合への圧力を受けた。これはナダがゴーンに出した会合の報告書によって明らかになった。

この報告書によると、ビアルは統合の利点についての書簡を送ってきていたが、それは「日産の株主の主張や視点に対応したものではなかった」。

両社のCEOを10年以上務めたゴーンを知る人物らによると、各社の独立性を擁護する立場を取ることで知られていた。

ナダはビアルに日産の要求を伝えた。それは、ルノーが日産への出資比率を引き下げるとともに日産の支配権を求めないことを約束すること、そして仏政府が撤退することだった。

ビアルは「犠牲が多すぎる」として、この要求を却下したと報告書には記されている。

この争いに、日産の渉外担当責任者を務める川口均が加わった。報告書によると、川口は経済産業省の関係者と頻繁に連絡を取り、「日産の後ろ盾となる」よう要請した。

経産省は仏政府宛ての覚書の草案を作成し、ナダの要求を事実上盛り込んだ。それは基本的に、フランスが日産の独立性を尊重すると約束すること、いかなるやりとりも日本政府を通じて行うことを求めるものだった。

日産の関係者でさえ攻撃的すぎると感じる内容だった。川口は「草案は少し行き過ぎだ」とゴーンに伝えていた。日産CEOの西川は、経産省が限度を超える行為を続けているとし、首相官邸に同省を抑えるよう要請する必要があるかもしれないと話した。」

「仏政府およびゴーンからの圧力が高まるにつれ、かつての仲間は彼の追い落としを画策するようになった。

内部調査を知る日産関係者によると、ナダは何年にもわたってゴーンに仕えており、オランダにある日産子会社ジーア・キャピタルの関与した複数の不可解な金融取引を知っていた。ジーアの設立・登記に詳しい人物らによれば、同社はスタートアップ企業に投資することになっていた。

ところが、ジーアはゴーンが管理する他のオフショア企業を通じてゴーン用に複数の住宅を購入した。本人の広報担当者によれば、これらの住宅は会社の所有であり、購入は適切なルートを通じて行われたという。

日産関係者らによれば、内部調査の結果、ゴーンによる一連の不正行為が見つかったが、その中には会社の資金で購入されたベイルート、リオデジャネイロ、パリにある住宅をゴーンが使用していたことも含まれている。本人の家族は、これらの住宅は日産内の関係者によって承認された通常の特典であるとしている。

日産関係者の1人によると、ナダは昨年6月、日本の検察当局と司法取引を行い、刑事捜査が加速した

事情を知らないゴーンは2社の統合深化に向けた自身の計画を引き続き推進した。」

「日産の内部調査に詳しい同社関係者によれば、西川は10月上旬、検察当局がゴーンを刑事訴追するのに十分な証拠を集めたと考えていると、ナダと川口から知らされた。

ナダはその後の数週間で、ゴーンのプライベートジェットが東京に到着した時点で捜査当局者が機内に乗り込めるよう手はずを整えた。」

“サラリーマン会社”の日産では派閥争いが「求心力」だった(日刊ゲンダイ)

「戦争の足音が近づき、自動車産業を国策として強化する必要があった。当時、商工省でその強化策を推進していたのが、安倍晋三首相の祖父、岸信介氏だ。36年には岸氏が中心となって外資を排除するための自動車製造事業法を制定した。

日産の創業者、鮎川義介氏は旧長州藩士の子として生まれた。同じ長州つながりで岸氏と蜜月関係を築き、ともに満州に渡った。戦後、鮎川氏は岸内閣の経済最高顧問を務めた。創業の頃から非常に政治に近い会社だった。」

安倍政権の下でゴーン氏が失脚したというのも戦前からの因縁でしょうか。

異文化の各国弁護団がゴーン事件で持つ同じ目的
再逮捕はゴーン・前日産会長の無罪獲得に影響するか
(朝日)

「特に、米国では裁判官に対して無罪と答弁した被疑者は保釈されるのが基本である。1990年から2004年までの統計では、(1年の禁固・懲役以上の)重罪犯被疑者のうち62%が保釈され、残りのうち保釈金を用意できず保釈されなかった者を除く、最初から保釈が認められなかったのはわずか7%なのである。なお、90年頃を境に勾留された被疑者が無罪判決を受ける例が増加、2007年以降はその比率が6割を超えていたこともあり、米国では保釈金額引下げを検討する動きが進んでいる。

これは日本と真逆のルールであるが、米国では、推定無罪の原則の下、有罪判決を受けるまでの被疑者を勾留しないことで、社会の信用、職業、財産、家族を失うリスクから守ることを目的としている。証拠隠滅の恐れについては、証拠の保全を政府の責任として、それが妨害された場合は別の犯罪として対応する仕組みだ。なお、保釈金が逃亡を防ぐ効果についても問題視する声が強まっており、カリフォルニア州では昨年保釈金ゼロの法案が通過した(今年10月より施行)。」
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