会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

"ブラックボックス"役員報酬見直すべき訳(プレジデント・オンラインより)

"ブラックボックス"役員報酬見直すべき訳
ゴーン氏の報酬が高額になる理由


日本企業の役員報酬について解説した記事(一般向け)。

経営者の報酬体系を変えることが有効だといっています。

「日本企業の経営者の報酬は固定報酬が中心です。これを、海外企業のように業績連動報酬中心の仕組みへと変える。つまり、経営者がリスクを取るようなインセンティブ(誘因)を報酬体系に取り入れるのです。人がインセンティブによって行動を変えることは、過去のさまざまな研究によって示されています。そういう意味でも、経営者の報酬のあり方は、企業の進む方向や業績を左右する重要な要素です。

以前、日米の企業の業績と経営者の報酬の連動度をシミュレーションによって比較したことがあります。その結果、同程度の業績の向上を達成したときに、日本企業の社長の報酬は約400万円増加したのに対して、米国企業のCEOの報酬は2億850万円ほども増加しました。日米の業績に対するインセンティブに、大きな差があることがわかります。」

業績連動といっても、どういう業績指標を使うのかが問題となります。

「経営者の報酬は、リスクを取るために業績との連動を強めることが重要だと述べました。ただ、どの業績との連動を強めればよいかは、業種によって異なりますし、競争力の源泉がどこにあるかによっても異なります。

共通するポイントとしては、短期的な業績だけでなく、長期的な業績も考慮すること。また、株価とそれ以外の業績とのバランスも重要です。つまり、1つだけではなく、複数の指標を組み合わせた報酬体系にすることです。

さらに、自社だけで業績を評価するのではなく、同業他社と比較した相対的業績評価も必要です。例えば、あらかじめベンチマーク企業をグローバルに20社ほど設定しておき、その20社と自社の株価上昇率を比べて、そのポジションによって報酬を決めるようにするのです。」

ESGに関する指標なども取り入れるべきとのことです。

「近年、欧米の企業では、株主以外の利害関係者に関する業績指標を導入する傾向があります。特にアメリカでは、半数以上の企業がCSR(企業の社会的責任)やESG(環境・社会・ガバナンス)に関する指標を取り入れるようになってきています。例えば、管理職における女性の割合やCO2排出量、従業員の働き方などに関する目標を設定し、その達成度で報酬額を決める指標を加えています。

日本企業は株主重視ではなく従業員重視とよくいわれますが、そうであれば、欧米企業のように、従業員の働き方に関する指標を取り入れるとよいでしょう。また、日本企業は中期経営計画を立てることが多いですが、そうした経営計画との関連づけも必要です。このように、企業が重視する業績指標と経営者の報酬を連動させることによって、経営者のコミットメントや企業の目指す方向が明確になります。」

役員報酬の開示については...

「現在、日本では個別の役員報酬は1億円以上の場合に限り開示が義務づけられています。これは、払いすぎを防止するという意味ではいいのですが、きちんとした報酬が支払われているかどうかを確認するためには不十分です。株主や投資家が、前の年、他の役員、さらに同業他社と比べて妥当性を判断できるようにするには、すべての役員報酬を開示すべきです。

アメリカ企業のアニュアルレポート(年次事業報告書)を見ると、役員報酬の説明にかなりのページを割いています。役員報酬は、株主や投資家にとって非常に重要な情報であるという認識を、日本企業も持つべきでしょう。」

ということで、有報の役員報酬開示もますます重要になってくるということでしょう。
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