四半期開示の短信への一本化(四半期報告書廃止)についての記事。監査業界にいろいろ聞いて、レビューがなくなることを問題視しているようです。
「「四半期報告書が残ると思っていた」。大手監査法人パートナーは驚きを隠さない。開示改革で音頭をとる金融庁からは、監査業界に対し事前の調整はなかったという。」
「日本公認会計士協会のアンケートでは、主に中小規模企業を担当する準大手や中小の監査法人の半数強が「顧客の開示情報の信頼性に懸念がある」と回答する。監査法人の「レビュー」が義務づけられた四半期報告書がなくなると、開示の質を保てなくなる恐れがある。」
「現状は監査法人が指導し適正さを保っているが、効率化の一環で監査法人の関与が減れば「適切な開示に疑念が生じるケースが出てくる」(会計士協会の小倉加奈子副会長)。足元で増加傾向にある会計不正の兆候を捉える機会も減りかねない。米国では正確な適時情報の開示を求める機関投資家の支持で、今も四半期の法定開示が義務付けられている。
またレビューが無くなり不正が増えれば、監査法人側は追加の対策を求められる。「作業減の利点は得られず、逆に現場の負担が増すのでは」。慢性的な人材不足に陥る監査法人の憂いは大きい。」
5月23日の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」の会議資料をみると、四半期報告書を廃止するといっても、今のところ、廃止されるのは、第1・第3四半期だけで、第2四半期は残るという結論になっており、従来どおりのレビューまたは、半期報告書制度による中間監査は行う方向のようです。だとすれば、それほど大きな問題は生じないのでは。
また、第1・第3四半期のレビューを行わないとしても、会計処理や開示に関する会社との事前の打ち合わせや、実績数値に関するヒアリングなどは、年度監査の期中監査として、行うことになるでしょうから(会社との交渉次第でしょうが)、監査日数が大幅に減って、本決算の監査の質が落ちることもないという見方もできます(楽観的すぎる?)。
四半期レビューがないと、監査の質が落ちるとすれば、本決算しか監査対象にしない法人(会社法監査だけの場合や、独法、学校法人その他)は粉飾だらけということになりますが、そんなことはないでしょう。
もちろん、レビュー対象から外れる第1・第3四半期については、不正が見逃される可能性は高まりますが、その後の第2四半期レビューや本決算の監査で見つけることは可能でしょうし、3か月後に発見されるような不正を会社があえてやる可能性も低いでしょう。そもそも、レビューなのですから、保証水準も高くありません。
(第1・第3四半期のレビューがなくなる前提でコメントしましたが、「ディスクロージャーワーキング・グループ」の会議資料をみると、いまのところ、四半期決算短信(の財務諸表)を対象にレビューを行うという選択肢も、一応、残っているようです。)
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