金融庁の公認会計士・監査審査会は、「監査事務所検査結果事例集(令和3事務年度版)」を、2021年7月9日に公表しました。
監査事務所の検査で確認された指摘事例等について、年次で取りまとめたもので、170ページほどあります。2008年に最初のものが公表され、それ以降毎年改訂されています。
今年の改訂のポイントは以下のとおり(金融庁プレスリリースより)。
・最新の事例を追加するとともに、「Ⅱ.品質管理態勢編」及び「Ⅲ.個別監査業務編」では、特に中小規模監査事務所における改善に資するよう、「評価できる取組」の事例を充実させています。
・「Ⅱ.品質管理態勢編」に、新たに「新型コロナウイルス感染症による監査業務への影響と対応」の項目を追加し、求められる対応等について記載しています。
・「Ⅳ.その他」として、新たに「検査結果の通知」の項目を設け、根本原因の究明を踏まえた審査会検査結果通知の内容・取扱い等を説明しています。
新しい事例は、「NEW」という印がついています。
監視委の委員で公認会計士の浜田氏の書籍では、この事例集について「こんなミスをしていたのか、ということがわかる程度の情報なので、役に立つものであるにせよ、監査スタッフの教育研修の資料としての有用性はあまり高くありません」と述べています。そのとおりだとは思いますが、審査会検査の「傾向と対策」を知るには、これ以上のものはないので、検査対象となりそうな監査事務所関係者は、読んでおく必要があるでしょう。当サイトでも、かつて、2008年版事例集に基づくチェックリストを作成したことがあります。
当サイトの関連記事(令和令和2事務年度版について)