金融庁の公認会計士・監査審査会は、「令和3年版モニタリングレポート」を、2021年7月9日に公表しました。
「審査会が実施するモニタリング活動の状況と成果を中⼼に、...情報提供する観点から」作成されているものです。審査会の検査だけでなく、監査業界の概況を知る際にも役立つ資料です。
レポート本体(全部で約130ページ)のほか全7ページの「主なポイント」が掲載されています。
以下のような内容です(プレスリリースより)。
Ⅰ.監査業界の概観
「公認会計⼠・監査法人の概況、被監査会社や新規上場(IPO)監査等の状況について記載しています。」
Ⅱ.審査会によるモニタリング
「モニタリング関係のデータ更新のほか、令和3事務年度監査事務所等モニタリング基本計画の説明を記載しています。」
Ⅲ.監査事務所の運営状況
「データ更新のほか、監査業務をサポートする組織体制に関する記載を充実させるとともに、監査事務所におけるリモートワークやバーチャル・リアリティ(VR)を活用した研修の取組などについてのコラムを追加しました。」
Ⅳ.監査をめぐる環境変化への対応
「近時の監査をめぐる環境変化を踏まえ、ITを活⽤した監査に関する記述、企業の海外展開への対応に関する記述を充実させるとともに、会計監査に係る最近の動向として、新型コロナウイルス感染症拡⼤の影響と対応や監査上の主要な検討事項(KAM)への対応状況、監査に関する基準等の最近の動向や公表された重要な報告書などについて記載しています。」
監査人交代の状況は...
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(主なポイントより)(画像クリックで拡大。拡大してもグラフは読みにくいかもしれませんが、その場合はレポート本文のグラフを見てください。)
大手監査法人から、準大手・中小監査法人への交代が、さらに多くなっているようです。交代理由は、継続年数、監査費用、監査対応などが多いようです。規模の小さい監査事務所へ異動で、監査報酬が減少するケースが7割(中小事務所への異動では9割)とのことです。大手の報酬についていけない会社、特に、新型コロナの影響を強く受けているような会社は、メンツを捨てて、より小さな事務所に乗り換えざるを得ないのでしょう。
当サイトの関連記事(令和2年度版について)
監査事務所変更、5年で最多の207件 20年7月~21年6月(日経)(記事冒頭のみ)
「国内の上場企業が契約先の監査事務所を変更した件数(合併による変更を除く)は2020年7月~21年6月の1年間で207件となった。公認会計士・監査審査会が9日に明らかにした。過去5年で最多となる。監査報酬額を巡る意見が監査事務所と企業の間ですれ違い、大手の監査事務所から中小に変更する例が増えている。」