日本公認会計士協会は、業務本部審理ニュース[No.6] 「退職給付会計における未認識数理計算上の差異等の費用処理方法等の変更について」を、2010年2月12日に公表しました。
複数の会員や企業関係者から、会計士協会に対して、退職給付会計における過去勤務債務及び数理計算上の差異の費用処理方法の変更及び費用処理年数の変更についての質問が寄せられていることから、あらためて注意喚起を行うものです。(新たなルールが定められるわけではないようです。)
このような注意喚起を行う背景については以下のように述べています(「別紙」より抜粋)。
「最近の変更事例をみると、年金資産の運用実績の低迷による数理計算上の差異の多額な発生に伴う償却額が期間損益に与える影響が大きくなる環境において、費用処理方法等の変更事例が見られるなど、利益操作と見られかねない事例が見受けられる。」
留意事項として挙げられている主なものは以下のとおりです(「別紙」より)。
・費用処理年数の変更は、基本である従業員の平均残存勤務年数の大きな変動など、合理的理由の存在が必要である。
・償却年数として「平均残存勤務期間以内の一定の年数」を採用している場合は、例えば、大量退職などにより既に採用している償却年数より平均残存勤務期間が短縮される場合には、見積りの変更となり、これ以外の合理的な理由がある場合に変更するときは、会計方針の変更になる。
・単なる経済環境の変化のみを理由とする費用処理年数の変更は直ちに正当な理由とはならない。年金資産の運用実績の低迷を理由とする変更も同様
・一括法を採用する場合は、その期に全額が費用処理される方法であるため、1年以内での費用処理年数の変更はあり得ない。
・定額法と定率法の間の変更及び費用処理の開始時期の変更については、変更理由に合理性が認められる場合のみ変更可能であるが、数理計算上の差異の性格上、規則的処理の方法を変更し得る状況について、現時点でその事例を挙げることは困難
・現在採用している会計処理方法の変更には常に正当な理由があることが必要であり、一定期間継続適用した後であれば変更することが可能であるという考え方は、現行会計基準にはない。
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