日本公認会計士協会は、租税調査会研究報告第35号「法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点整理」を、2019年10月7日付で公表しました。
「上場企業における役員報酬制度改革の更なる推進の一助となるため、また、会員の実務に資することを目的として、役員給与に関する税務上の論点について検討を行い、その結果を報告するもの」とのことです。
本文は約90ページで、そのほかに参考事例資料(参考事例の有価証券報告書、プレス・リリース、株主総会議案などの抜粋を集めたもの)がついています。
「はじめに」で論点整理を行った背景について述べています。
「...役員報酬の改革を通じて、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促すことが期待されている。具体的には、経営陣にそのインセンティブを付与することができるよう、金銭だけではなく株式による報酬や業績に連動した報酬等の導入を図る整備が進められている。一方で、不適切会計による巨額の会計上の修正等や投資の失敗による巨額損失発生に対し、報酬の払戻しを強制するリスク管理メカニズムの導入を求める動きも見られる。」
「税法においても、特に平成28年度及び平成29年度において役員報酬の改革に対応した改正が行われている。そこでは、株式報酬等の導入等に関する税制改正が行われた。一方で、法人税法上、役員給与は恣意性の排除の観点から損金算入が制限されてきたこともあり、これらの立法の在り方やその解釈をめぐって従来から多くの議論がある。また、所得税法上も退職所得が優遇されていることもあって、所得区分の問題など古くから議論がなされてきた。」
以下のような構成となっています(目次より)。
Ⅰ 概論
Ⅱ 在任時報酬
Ⅲ 役員退職給与
Ⅳ 役員給与の減額・返還
Ⅴ 役員給与に関するその他の諸問題
Ⅵ 企業活動のグローバル化と役員給与制度について
これらの論点に関連して、現行制度の幾つかの点について、明確化を希望する事項・改正要望などにもふれています。
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