7月2日現在の役員報酬額1億円以上の個別開示(2020年3月期)の状況をまとめた記事。
「7月2日17時までに、2020年3月期決算の有価証券報告書の提出は累計2,240社が確認された。このうち、報酬額1億円以上の個別開示を行ったのは239社で、人数は488人だった。」
「2日までに報酬額1億円以上で開示された488人のうち、最高額は住友不動産の高島準司元会長の22億5,900万円。2位はソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長COOの21億1,300万円。3位は武田薬品工業のクリストフウェバー社長の20億7,300万円、4位はソフトバンクグループのラジーブ・ミスラ副社長の16億600万円、5位はトヨタ自動車のDidier Leroy元副社長が12億3,900万円、6位はソフトバンクグループの佐護勝紀副社長CSOの11億1,000万円、7位は武田薬品工業のアンドリュープランプ取締役が10億4,600万円、8位のソニーの吉田憲一郎代表執行役会長兼社長CEOが10億2,300万円と、8人が報酬額10億円以上を受け取った。」
最高額を支払った住友不動産の「役員の報酬等」の開示は以下のようになっています(2020年3月期有報より)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/1e/a59a5f572ef8ea281e13b84157038d80.png)
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全体の報酬額の5割前後しか支給しておらず、残りは退職金、退職後の相談役・顧問としての給与等にあてるのだそうです。また、この留保部分は誰の分なのかが決められていないのだそうです。(誰の分か決められていれば、その分も含めて個別開示するかどうかを決めることになるはずです。)
今回の最高額支払いは同社の会長だった人物へのもので、過年度に支払いを留保された報酬総額より支払われたそうです。
報酬総額は20億円ほどですから、その半分約10億円の支払いが保留されているということになり、5年分貯まっていると仮定すると、約50億円、あらためて総会決議にかけることなく、取締役会あるいは取締役会で一任された取締役が自由に配分することができるのでしょう。
日産ゴーン事件の例と比べてみると、ゴーン氏は、名目上減らした年間10億円の報酬を、取締役報酬全体の支払い留保分ということにしておき(費用は計上する)、退職時・退職後にゴーン氏の退職金なり顧問報酬なりとして確定したことにすれば、問題なかったのかもしれません。
ただ、住友不動産は、本当に留保分について、各取締役の金額は確定していなかったのでしょうか。普通は、退職慰労金の内規などがあって、金額を計算できるようになっている部分もあるはずですが...。
また、本当に各取締役の金額が確定していないとして、会計方針として、そのようなどの取締役の分だということが決まっていない金額を、費用計上していいのかどうかも疑問です。(注:留保額からの支払いとされている部分を除き役員報酬開示と費用計上額が一致しているものとします。)
高島準司氏死去(住友不動産会長)(2019年9月)(時事)
「住友不動産会長の高島準司(たかしま・じゅんじ)氏が25日午後、心不全のため東京都内の病院で死去した。89歳だった。在任期間は約25年にわたり、オフィスビル事業を収益の柱に育てたことで知られる。」