「従業員持ち株信託」が昨年秋以降に急増しているという記事。
「上場企業の約9割が導入している、従来の従業員持ち株会は事前計画に沿って定期的に購入しなければならない。市場を通して買い取るため、株価が想定できず、高値で取得するケースもあった。これに対し、新制度は株価の下落時に機動的に自社株を取得できるのが特徴で、従業員持ち株会よりも株価上昇の恩恵を受けやすい。
信託期間の5年間の終了時に株価が上昇し、信託内の財産が増えた場合、従業員に分配するといったインセンティブもある。株価が下落し、金融機関が信託に融資した資金を返済できない場合でも企業が不足分を補(ほ)填(てん)するため、従業員への追加負担はないという。」
記事で導入例として挙がっているブックオフのプレスリリースをみてみました。
「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」の導入について(PDFファイル)
第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ(PDFファイル)
「「ブックオフコーポレーション従業員持株会専用信託」(以下、「従持信託」といいます。)を設定し、従持信託は、今後5 年間にわたり持株会が取得すると見込まれる規模の当社株式を予め取得」するというスキームです。
プレスリリースでは会計処理のことはふれていませんが、信託が自社株を取得(ブックオフの場合は会社が自己株式を信託に売却しています)しただけでは、リスクは持ち株会に移っていないため、オフバランスにはできないのではないかと思います(したがって、自己株式のまま残る)。
しかし、議決権については「受益者のために選定された信託管理人が議決権行使等の指図を行う」そうです。会計的には自己株式のままですが、議決権は、自己株式でない場合と同様に(しかも会社の意図したとおりに?)行使できるということになります。
新たな自社株式保有スキーム検討会報告書『新たな自社株式保有スキームに関する報告書』の公表について(経産省のサイトより)
当サイトの関連記事(昨年12月の開示府令改正について)
(ブックオフのプレスリリースより)
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従業員持ち株制度の弊害