大手監査法人トップによる新年メッセージを集めました。あらたは、加盟するネットワークの日本部門トップのものです。新日本はメッセージの更新が確認できなかったので省略しました。
あずさ監査法人
「あずさ監査法人の存在意義(パーパス)は「社会に信頼を、変革に力を」です。財務情報の信頼性を確保する自らの責任を果たし、信頼に応えると同時に、企業や社会が課題解決のために進める変革を、MDMファームならではの、監査・税務・アドバイザリー領域の多様な専門家の連携によるインサイトの提供を通じて支えていきたいと考えています。
2023年も「信頼」をすべての根幹に位置付け、高い倫理観の醸成と高品質な業務の遂行を最優先とし、「監査品質の追求」「デジタル化のさらなる進展」「非財務情報に係る開示の拡充への対応」に力点を置き、またAudit Transformation for Trustのコンセプトのもと監査の変革に取り組んでまいります。」
力点を置く3つのポイントについて、それぞれ簡単に説明しています。
監査法人トーマツ
「トーマツは1968年5月に創設され、今年で55年を迎えます。」
「我々は、これまで築き上げてきた監査の信頼を基礎として、監査・保証業務とリスクアドバイザリーで培った強みを結集し、社会課題の解決に貢献することで新たな価値を提供し続ける“唯一無二”の監査法人を目指して参ります。」
「具体的には、まず、我々の基盤である財務諸表監査に加え、非財務情報の保証等、社会の変革に際して重要となる情報の信頼性確保に貢献することで、複雑かつ様々な社会課題の解決を支えていきます。特に、昨今注目されているサステナビリティ領域については、開示拡充、内部統制強化、経営管理の高度化等のアドバイザリー、さらには今後の保証ニーズへの対応に向けて、監査法人だけでなく、デロイト トーマツ グループ一体となって社会の期待に応えていきます。」
「これらを実現するためには、多様な「人財」とそれを支える組織基盤が不可欠です。...」
PwC Japanグループ
「2022年を振り返ってみますと、日本と世界にとって、「激動」という言葉がこれほどふさわしい1年は、近年なかったように思います。」
「PwC Japanグループは、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というPurposeのもと、価値創造主体である企業の皆様の期待に適う高品質のサービス提供を通じて課題解決と競争力向上を支援し、ひいては社会の持続可能な発展に貢献してまいります。」
約16分の長さの動画もあります。
(補足)
新日本だけ抜けていましたが、同法人の広報誌に理事長の「新年特別対談」が掲載されていました。
サステナブル時代のディスクロージャーと監査法人の役割(新日本監査法人)
対談相手は、昨年6月まで金融庁の幹部だった人です。
サステナビリティ関連のサービスを宣伝している箇所。
「片倉 EYでは長年、CCaSS(Climate Change and Sustainability Services)というサステナビリティの専門家チームがあります。サステナビリティに課題を持たれている企業に向けて、気候変動や人的資本などのアジェンダを経営戦略に組み込むところから統合報告書に至るまで、一気通貫でサービスを提供しており、日本では監査法人としてサービスを提供しています。このような取組みは会計士以外の専門家の力に加え、財務情報との整合性が見られる会計士との連携によるメリットも大きいと考えています。
古澤 サステナビリティについては、戦略、実行、開示、保証をトータルで考えるアプローチが大切だと思います。しかし、監査のプロフェッショナルとしての視点やノウハウが大きな力になることは、言うまでもありません。特に、サステナビリティに関する動きはアジア、欧州、米国でそれぞれ異なりますから、貴法人のようなグローバルネットワークを持つファームは、各国の状況に合わせた対応ができることがメリットであり、期待されていることだと思います。」
EY分割後は、こういうサービスはどうなるのでしょうか。
人材育成について。
「古澤 20代30代の若い方が公認会計士を志して監査法人にどんどん入ってきていることは、素晴らしいと思っています。ぜひとも、業界全体で意欲と能力のある若手を育んでいってほしいですね。グローバル人材の育成や、モビリティの推進を積極的に進め、優れた人材を世に輩出していただくことも、社会が主要な監査法人に大きく期待していることの1つです。
片倉 おっしゃるように、会計人材をインキュベートすることも、監査法人の使命です。当法人としても積極的に役割を果たしていく所存です。」
監査法人で孵化した会計人材が、独立・転職により、世に輩出されることは、よいことなのでしょう。
中身はともかく、監査法人は金融庁から監督される立場なのに、その広報誌に、退任したばかりの金融庁幹部が登場するというのは、独立性の観点からはどうなのでしょう。当然、監査法人からなにがしかの謝礼は払っているはずですが...。